最終話 次の日

「おはよう!まに太さん。昨日は楽しかったね!」

 弘子ちゃんが明るく声を掛けてきた。

「遅くに帰ったからお母さんに怒られちゃったけど」

「ぼくもだよ」

 恐竜の化石は見つけられなかったけれど、みんなで遠足に行ったような気分で楽しかった。動かなくなってしまったブッコローは、まに太くんの机の上に飾ってある。


「あのね、まに太さん。ずっと思っていたことがあるんだけど…」

 弘子ちゃんは腕を後ろに組んでモジモジとしていた。

「な、なにかな。弘子ちゃん」

 決心した弘子ちゃんは、まに太くんの耳に手を当ててささやいた。

「郁ちゃんて、まに太さんのことを好きだと思うよ」


「えええええ!そ、そうなのかな?」

「きっとそうだよ!好きだからいじめちゃうんだよ!」

 まに太くんは顔を赤らめた。


「おい!ふざけんな!聞こえてるぞ!!」

 突進してきた郁ちゃんは、まに太くんに飛び蹴りを食らわせた。 

(ぼくが言ったんじゃないのに…)

 まに太くんは床に転がった。

「もう!郁ちゃんたら、照れないで!」

「照れてんじゃねえ!」

「渡邉くん、乱暴は良くないよ」

 出来芝くんが仲裁に入った。

「君はいつも言葉遣いが悪いね。君は茨木のり子先生の詩集を読むといいよ。美しい日本語を身に付けるには、美しい日本語が書かれた本を読むことだよ」

「お前、いつも何言ってんのか分からねえんだよ!出来芝ァ!」


「はーい、みんな席について!朝礼始めるよー」

 先生が教室に入って来た。今日も賑やかな一日になりそうだ。

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まに太の恐竜 夏野 @natsuno11

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