【若者のせいじゃない?】投票率が低迷している要因を探ってみた

エテルナ(旧おむすびころりん丸)

【若者のせいじゃない?】投票率が低迷している要因を探ってみた

昨今、投票率の低さが問題となっており、特に若者の選挙離れが問題視されています。


実際に衆・参・地方の選挙の推移を見てみると一目瞭然、20代の投票率の低さが目立ちます。

なぜ投票に行かないのか、その理由として、以下の例がよく挙げられます。


・選挙に関心がない

・どの候補者にすればいいか分からない

・自分のような政治が分からない人間は投票しない方がいい

・選挙で政治は変わらない

・自分が投票したところで何も良くならない


こう言われると『なるほど、そうに違いない』と思えますが、果たして本当にそうなのでしょうか?


投票率の推移を別角度で分析してみましょう。(筆者、政治関連はオタクでもなく、詳しくもないので、そこのところはご承知おきください)


まず前提として、投票率の推移に見る一時の大きな下落や向上が嫌でも目に付きますが、あくまで仕組みの変化や事件による全年代層に見られる現象なので、これは特に年齢による問題とはみなしません。


では衆議院選の投票率、大きく下落したH(平成)8年の20代を見てみましょう。

H8年20代:36.4%


低いですね。では約10年後、H17年に彼らが30代に成長した時の投票率は?

H17年3代(元20代):59.7%


上がってますね。同じように、H8年に30代だった者がH17年に40代になるとどうなるか。

H8年30代:57.4%

H17年40代(元30代):71.9%


上がってますね。まあH17年は一時の盛り上がりを見せているので、もっと長いスパンを、今度は当時と今の同年代同士で見てみましょう。


H8年~R(令和)3年の推移

H8年30代:57.4% R3年30代:47.1% 下がってますね

H8年40代:65.4% R3年40代:55.5% 下がってますね

H8年50代:70.6% R3年50代:62.9% 下がってますね

H8年60代:77.2% R3年60代:71.4% 下がってますね

H8年70代:66.8% R3年70代:61.9% 下がってますね


【H8年20代:36.4% R3年20代:36.5% 上がってますね!?】


参議院で見ても、20代は若干下がっているとはいえ、H10年からR4年までほぼ横ばいに推移しているのに対して、各年代はH10年からR4年までに大きく下落しています。


これ、何が言いたいか分かりますか?


①前者は歳を経るごとに投票率が上がっていくことを示しています。これは当然、歳を取る毎に選挙に興味を抱くチャンスが確率的に増え、年代が上がるごとに投票率が増えるのは当然だということ。


②後者はその上げ幅が徐々に小さくなっていること。そして――


【そもそも20代時点では、政治や選挙に興味を抱きはじめる割合は常に一定層発生しているのだということです!】


これを鑑みるに、投票率の低さは本当に20代が問題なのでしょうか?

筆者が思うに真の問題は――


【30代以降に政治を興味を抱く層の割合が減っていること!】


なんじゃないでしょうか?

H10年以降、35%前後で20代の投票割合は発生するが、その後の生活において政治に関心を抱き、投票に行くような人間を作れないでいること。

30代から70代までの間に、投票に行く人間になるケースが減っているということ。要は中年から年配層の政治・選挙育成が止まっているということです。


となればこれ、20代だけの問題じゃなくないですか?

どっちかというと、昔30代・40代・50代だった人たちが、今になって50代・60代・70代になった時の投票割合の方が、昔の50~70代より減っているんです。

20代は20年前と変わらない、投票に行く割合が発生しているのですから、むしろその後に歳を経ても、一向に選挙に行かない中高年の方が大問題です。


「今の若者は選挙に行かない! 自分の未来がかかってるのに、投票しないなんて馬鹿なのか!?」


なんて言う方、自分の10~25年前を見てください。今の若者となんら変わりない投票率ですよ?

歳を経るごとに選挙に行く人が増える摂理がありますが、あなたの年代の割合は10~25年前より減ってますよ?

いい歳して投票に行く人が増えない、中高年のあなたたちが問題なのではないですか?


ちょっと嫌味のある言い方になってしまいましたが、若者ばかりに矛先を向ける前に、己の年代の不甲斐なさも承知しておくのがフェアでしょう。


世代を問わない【政治・選挙への関心育成】、これの減退の要因は現代の生活スタイルに根差しているのだと予想します。

テレビや新聞を見なくなる弊害と言えば分かりやすいでしょうか。ただし決して、テレビや新聞の内容が優れているという訳ではありませんし、ネット記事が劣ってる訳ではありません。オールドメディアには偏向報道もあるでしょう。


【そんなことより問題は、正しい情報か偏った情報に関わらず、政治を含めた見るつもりのない情報、そのものに触れる機会が確率的に減ったこと!】


テレビを流し見ていれば、嫌でも政治について知る機会を得たでしょう。

新聞や雑誌を見ていれば、嫌でも政治問題が目に入ったことでしょう。

それが例え間違った情報であれ、自然と知らない情報に触れる確率が多くありました。


しかし今はネットの時代。見たいものだけに焦点を絞って見れるが故に、無駄を効率的に排除できるがゆえに、興味のあるものしか目に入らない時代になりました。

これはSNSに特に言えることですが、アルゴリズムの関係上、その人好みの情報が勝手に流されるようになっています。


つまりSNSなどで、誰かが選挙問題を大声で叫んでも、政治に興味のある人のアルゴリズムには引っ掛かりますが、そうでない人には一切届かないということです。

政治や選挙に興味がある人は、より多くの情報が目に入るアルゴリズムとなり、これだけ話題になるのだから知ってて当然だと思いがちです。

しかしそれは大きな勘違いであり、政治に興味の無い人の端末には、あなたがまったく知らないコンテンツの話題が、さも常識のように流れています。


テレビや新聞には個人に特化したアルゴリズムがありませんでした。ゆえに社会全般の情報が広く薄く行き渡りました。

政治に関心を惹かせる機会はところどころにあり、ある時ふと「選挙に行ってみようかな?」と、改めさせる確率に恵まれていたのです。

しかし今はネットの時代で、個人の趣味を狭く深く特化します。アルゴリズムの他にも、消費しきれない動画やゲームなどの楽しいコンテンツが無限に満ち溢れ、30代・40代・50代になっても政治に関心を抱くチャンスは一向に訪れません。

選挙に行かせるだけの、政治に関心を抱かせる確率の、試行回数が極端に減ってしまったのです。


つまり、若者だけに特化した対策は意味がないということ。

意味がないというより、アルゴリズムや娯楽コンテンツをすり抜けて、政治を目にする機会を増やす必要があるという、全年代共通の問題であるということです。


いくらSNSで選挙に行こうと叫ぼうと、SNSであるがゆえにアルゴリズムの呪縛に絡められ、効果的な成果を得られない。

この点を打開しなければ、今後も政治に興味のある層を育成していくことは不可能でしょう。


次回はおふざけ半分、選挙に行く人を増やす方法について書いてみようと思います。

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