第7話

「ごめんなさい」


「謝んなくていいよ。それより良くミユキはこんなこと知っていたな」


 いくらミユキもミナミの幼馴染だったとしてもここまで詳細にはわからないだろう。


「一部はむかーし本人から直接自慢気に聞いたし、聞いてない話は他の女の子から話が流れてきていたもん」


「まじで? 自分からペラペラ喋っていたのか……。うわぁ、なんで俺気づかなかったんだろう」


「そんな話は男子には流さないよ。ヘタに流しでもしたら確実に女子の間でハブられちゃうから」


 女子の中では女子の中でしか通じない厳格なルールってもんがある、らしい。


「こっわ」


「そういえばカズヒトはあの女が最初っから処女じゃないって気づかなかったの?」


「わかるわけ無い。血も出ないことがあるって言われりゃ信じる」


「そっか」


 俺も初めてだったしそんな細かいところまで気が回らない。


 そんなところまで騙されていたかと思うとなんだか吐き気をもよおしてくる。


「そういえばさ、さっき俺のこと男と見られないのに付き合った理由は話せないって言っていたよな。なぜだ?」


「い、言えないものは言えないんだよ」


 あそこまで赤裸々に語っておいて俺に関するところだけ濁されるのは何故か。言えないようなとんでもない理由でもあるのか。


「そこをなんとか」


「そこはわたし個人の問題にもなるから……ううん。やっぱ言えない」


「そっか。簡単には言えないよな。うん、ごめん。ありがとうな」


 結構長居をしたようで窓の外はすでに暗くなりかけていた。


「そろそろ帰らないとだな。送っていく」


「いいよ。だいじょうぶ」


「じゃあ、言い方変えるわ。ミユキんちまで送らせてくれ」


「っ! わ、わかったよ。ったく、あんたズルいね」


「ズルかろうとなんだろうとかまわないよ。可愛い女の子を夜道に一人帰らすほうが問題だからな」


 昨今田舎のこんな街でも凶悪事件は起きているらしいからな。用心に越したことはない。


「か、かわいい?」

「ああ、可愛いだろ?」


「だ、誰が……」

「おまえ。ミユキのことだよ」


「なぁっ‼」


 ミユキは変な声を上げて真っ赤な顔になってしまう。褒めたつもりなんだが怒らせてしまったか。しくじったな。





 ミユキの家までは駅から歩いて一五分ほど。


 俺の自宅からでもミユキんちは徒歩だと一五分はかかると思う。家が近ければ、今度から一緒に学校に行くのだが。

 でも一応聞いてみるだけ聞いてみる。


「明日から一緒に登校しないか?」

「え?」


「いや、待ち合わせして一緒にいくのはどうだろうかと思ってな」

「なんで?」


「大した理由はないんだが、あの女と鉢合わせするのは嫌だし、かと言って一人で登校するのもつまらないし。ミユキは俺と一緒だと嫌か?」


「……………いい、よ」

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