第38話 北朝鮮収容所!




 高級マンションで一緒に生活している男は、スホと同年代の男で20代後半~30代前半のKポップスタ-のような華やかな男なのだが?


 ロアと一緒に同居している男の会話だが、えらい馴れ馴れしそうな会話?

 やはり年の離れた恋人なのだろうか?


 ある日の一コマ。

「アア~!おはよう!」


「おはよう!ママ!」2人は何の躊躇もなく抱き合っている。


「ドヒョン、今日は輸入雑貨の仕入でタイに行ってくれない?アロマキャンドルや、かごバッグなど売れそうなものを仕入れて来てくれる?」


「アア!分かったよ。色々売れそうな物を仕入れて来るヨ」



 *****

 実はロアには人に言えない辛い過去がある。


 政治犯の汚名を着せられた夫ゴヌのせいで、北朝鮮収容所に収容されていたのだが、ある人物の手助けにより脱北して現在は韓国に住んでいるロア。


 1995年に金星日体制下の北朝鮮で平和に暮らしていた『ロアの家族』パク一家だが、ある時、夫ゴヌが政治犯の疑いで逮捕され、母子は強制収容所に入れられてしまった。


「お前は星日様に反旗を翻した謀反の罪で処刑する」


「そ そ そ それは何かの間違えです。私は星日様に反旗など?何かの間違えです」


 もう一方の党幹部側に付いた謀反の罪で処刑されようとしている。


「チチ 違います。お許しください。私は決してそのような事はしていません!」

 刑務官に必死に命乞いをするゴヌ。


「タタ 助けて 助けてください!」


「エエ————イ!鬱陶しい!」足で踏みつけ、蹴り倒している。


「グウウウウ~!😭」


 逮捕後40日ほど経った某日、処刑場には市の幹部やその家族、教員、大学生など500人が動員された。その最前列には、ゴヌの家族が立たされた。


 本人が刑務官に引っ張られてきて、判決文が読み上げられる。


「…我が社会を抹殺しようとする者どもを『幇助(ほうじょ) 手を貸すこと』する反動行為で、反動分子どもは我が社会のいかなるところにも頭をもたげて生きてはいけない」


 怖がり恐怖におののく罪人に無理矢理目隠しをして、猿ぐつわをする前に口のなかに石を入れるという念の入れようで、声を立てさせないようにしている。


 読み終わると間髪入れずに、12発の小銃弾が朴に打ち込まれた。何という事を!死に行く恐怖はいかばかりだった事か……。


 ズタズタになった遺体はむしろに巻かれ、箱に入れられどこかへと運び去られた。


 最前列で銃殺の一部始終を目撃させられたゴヌの妻や子供達は、全員が気を失い倒れてしまった。この時射殺されたゴヌの妻がロアなのだ。


 夫が射殺された後は、収容所での暮らしの始まりだ。極寒の収容所での暮らしは凄惨を極めるが、耐え忍びながらも生き延びている。


 一家は吹雪の中の政治犯収容所に収容された。


「大きな門だ。この中に政治犯が多数収容されていると思うと背筋が冷たくなる。高い塀は山の中までめぐらされていて、施設がかなりの大きさであることが分かるわ。あああなんてことを……」


 施設の中では雪が積もる中、大きなおけを運ばされる複数の男や女たち、収容者だろう。


 彼らは皆、起きている時間の殆どを過酷な労働に従事させられている。これに加えて、教化所(刑務所)や労働鍛錬隊(強制労働キャンプ)などの拘留施設、そして炭鉱や農場での強制労働を合わせれば、相当な数の人々がこの現代において「現代の奴隷」となっている。


 もし従わなければ自由を奪われ酷い暴力と虐待が待っている。幾多の人々が命を落とした事か……?


 これらの収容施設に囚われていなくても、北朝鮮の人々は一年中、なんらかの国家事業や奉仕活動に強制的に動員されている。


 国民を安価な労働力扱いにして、愛国や国家への忠誠を建前に、過酷な労働を強いている。そのため、労働環境は劣悪で過去には悲惨な事故が多発していた。



 児童強制労働


 幼い頃から北朝鮮の教育制度の下で子供達は、農村動員、物品収集、建設事業などの強制労働を強いられている。収容所と孤児院、救護所の子どもたちも辛い労働の対象となっている。


 特に過酷なのは強制収容所に収容された子供たちだ。完全に虫けら扱い。

 本当に酷い。


 収容所に収監された子供たちは、暴行と暴言から逃れることはできない。多くの子供たちが暴力と虐待に勝てず、命を落としている。


 子供たちは人生のほとんどを、電気鉄条網に塞がれた息苦しいところに閉じ込められて、生活し, ここが本当に良いところだと教えられているのだ。


 被収容者は奴隷生活同然の、虐待と厳しい労働に苦しめられ、家畜と同様の待遇を受けている。

 時折教師が気に食わない事が有ると、小さなミス1つで子供たちに。暴行を加えることもある。


 子供たちを罰するのは教師と学級委員。失敗した責任は学級委員(学生)に転嫁され、暴力の連鎖が繰り広げられている。通常教師は学級委員を殴り、学級委員に他の子供たちを殴らせると言った具合だ。


 収容所での生活は過酷でいじめがや虐待が日常茶飯事。


 あまりの過酷さに息子のドヒョンは「父のせいだ!お父さん何したのさ? お父さんなんか死んじゃえばいいんだ!」


 余りの辛さから、父なんか死んで欲しいとまで思うようになって来ている。


 それだけ過酷なのだ。絶望の淵に立たされ、自暴自棄となり次第に追い詰められていくドヒョン。


 さらに、お腹を空かせた年端も行かない妹が我慢できずに、じゃが芋をかじって食べてしまい、散々殴られ蹴られた挙句、見る影もないほど顔がボンボンに腫れあがり死んでしまった。


「ああああ……!アアアア————!許せない!」


 その時に妹虐待に手を貸したのが、その当時収容所の監視官だったあのイケメンジゴロ男、ドハなのだ。


 一体どういう事?自分の娘を殴り殺した男と付き合っていたとは、そして10年の時を経て、今また交際が続いているとはどういうことなのか……?


 本来ならば恨みしかない筈なのに? 一体何故???




 ある日の収容所の一コマ。


 本当に酷い!


 場所によっては高圧電線らしきものがめぐらされていて、トイレらしき屋外の場所に列を作る収容者。トイレを我慢できずかがんで用を足す収容者。


 場面が変わって、わらのようなもの上に白菜を干す収容者。近くに監視員がいるが、その目を盗んでむさぼりつく収容者。


 高圧電線の向こうで白菜を干す収容者


 ヨ○ク政治犯収容所と言えば、北朝鮮の人権問題を象徴する場所だ。


 施設には高圧電線が張り巡らされ、見張り小屋に銃を持った監視役


 監視員の目を盗み凍った白菜を食べる収容者(それだけ食糧事情がひっ迫しているのだ)


 こんな悲惨な過去を持つロアとドハにはどんな結び付きが有るのか?




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