偽りの家族(策略と愛憎劇の果てに……）

第19話 謎の母の正体

　2010年現在キム・スホ27歳は高級住宅地が、連なる漢南洞（ハンナムドン）のマンションで、母親と名乗る謎の女性、輸入雑貨商社を経営しているヤリ手女社長と暮らしているが？実は全くの赤の他人だ。

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　謎の女社長キム・ロア、出自などは謎だが、かなりのヤリ手女社長。

　もう直ぐ58歳のこのロア、実は輸入雑貨販売を行っていた、あの男「岩田」リ・ドハと旧知の中で、同年代の60歳のドハとは男女関係にあった仲なのだ。

　ク－ルで、渋みを増したイケメンドハにぞっこんだった、このロアのお陰で全くのド素人ながら商売は繫盛していた。そして標的にされた幸子は、この男ドハによって人生を狂わされた。

　女を手玉に取るペテン師にしてジゴロ。女性を喜ばせ自由自在に操る恐ろしい男。

　その男に狂った挙句の果てに、身包み剝がされて殺害されてしまった幸子にして、スホの事実上の母詩織。

　詩織とすみれ、百合の3人を殺害したのは一体誰なのか？

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　あの日父陽介に詰め寄り聞いた真実。

「お父さん、あなたが母とすみれと百合を殺害したのですか？」

「そ　そ　そんな訳、ある訳ないじゃないか？」

「でも……人づてに……聞いた話では、お父さんが3人を殺したことになっている！」

「グウウ…( ﾉД`)ｼｸｼｸ…確かに殺害されたあの日俺は、詩織と喧嘩したんだ。あの日俺が仕事に向かおうとしていると……男が訪ねて来たんだ。そして詩織とは別れろと脅されたんだ。俺もあの日は急用で急いでいたんだが……その男と口論になりその時にクウウ( ﾉД`)…ワァ～～～ン😭詩織が…詩織が…男と秘密裏に交際中で『決定的な写真まで持っている。詩織との結婚は許さん！』と暴れまくったんだ。『エエエエ————ッ！詩織に男がいるだって？詩織それは本当か？もし本当だったら絶対に許さん、言ってみろ！』すると詩織は只々泣きじゃくるだけだった。そこで詰め寄って聞き出そうと詩織に近づいたんだ。だが……後の記憶は一切無くなったんだ。殴られて気を失っていたんだ。そして目を覚まして周りが血の海となっていて……3人が多分絶命していたと思う。取るものも取り敢えず……その場から殺人犯にされてはと思い逃げたんだ。そして今でも嫌疑が晴れずに追われている身なんだよ。だけど絶対に俺じゃない。俺は詩織と結婚の約束をしていたんだ。心から愛していた女を殺す訳無いだろう？あの日の…あの男の手掛かりさえ掴めれば……すべてが分かるんだが……あの朝鮮なまりの眉間に三日月形の傷跡のある男だった……」

　一体その男は誰なのか……。

　スホは眉間に三日月形の傷痕が残る北朝鮮人籍の、元AV男優の過去を追っている。

　警察の調べで分かったのだが、どうも北九州市に拠点を置く最大勢力指定暴力団、近藤会の影が見え隠れするのだ。

　麻薬密売に手を染めている元AV男優の、北朝鮮工作員カク・ヨヌの事が少しづつ分かって来た。

　警察の調べではヨヌの側近から聞き出した話では、北朝鮮でしばらく日本語教育を同年代の10～15歳の子供達に、個別で教えていたのだが、娘さん達が母詩織にこっそりと北朝鮮の重要機密を話したらしいのだ。

　口止めされていたのだが、母親とは一心同体の様なもの。あれだけ口止めされていたにも拘らず、うっかり母詩織に話してしまった。

　母の詩織が、「それは大変とんでもない事！」信用できる極身近な人物に漏らしたらしく、それが重大事件に絡んでいるらしい。

　一体どんな重要機密が隠されているのか？

　その側近も即射殺されて振り出しに戻ってしまい、スホは探偵に依頼した。そして…カク・ヨヌの手掛かりを徹底的に追っている。もちろん警察もジアンの父親も血眼になって捜している。

　だが、カク・ヨヌは既に殺害されているとの情報を得た警察は、そこで日本人妻が居たとの情報を得て、その田中紀美子と言う女性の居場所を懸命に追っている。

　その田中紀美子とは誰なのか？