第16話

時は、深夜11時過ぎであった。


またところ変わって、房江ふさえの家族たちが暮らしている家にて…


家の広間に房江ふさえ房代ふさよがつかれた表情で起史たつしの帰りを待っていた。


この時、ダークブラックのスーツ姿で黒の手提げかばんを持っている起史たつしがものすごくつかれた表情で帰宅した。


「ただいま。」


房江ふさえは、ものすごく怒った声で起史たつしに言うた。


「遅いわよ!!今までなにしていたのよ!?」


房江ふさえから怒られた起史たつしは、ムッとした表情で言うた。


「オレは、2時間前に残業を終えて帰って来たばかりだよ!!」


起史たつしが言うた言葉に対して、房江ふさえは怒った声で『ウソ言われん!!』と言うた。


起史たつしは、ものすごく怒った声で房江ふさえに言うた。


「ふざけるな!!オレは残業を終えたばかりでクタクタになっているのだよ!!」

「家で起史たつしの帰りを待っている房江ふさえとおかーさんの気持ちが分からないのね!!」

「なんだよその言い方は!!残業することがそんなにいかんのか!?」

「おとーさんは、家族を大事にする人だったから…」

「かあさんこそウソつくのもいいかげんにしろよ!!」


思い切りブチ切れた起史たつしは、ダイニングに置かれている冷蔵庫のトビラをあけた。


起史たつしは、冷蔵庫の中からサントリートリスハイボール500ミリリットル缶とヤマザキルヴァン(ビスケット)の箱を取り出しながら怒った声で房江ふさえに言うた。


「かあさんは、オレになにを求めているのだよ!!」

「なにを求めているって…」

「かあさんが求めていた理想の結婚相手はどんな人なんや!!」

「おかーさんは心細いのよ…」

「またそれをいよる!!『心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い…』その言葉は頭に来るのだよ!!心細いからどうしてほしいのだ!?」

「だから、まっすぐ家に帰ってほしい…」

「ふざけるな!!」


起史たつしは、トリスハイボールの500ミリリットル缶の中に入っている中身を一気にごくごくとのみほしたあと房江ふさえに言うた。


「それじゃあ、とうさんはかあさんの理想の人であると言うのか!?どうなんだよ!!…かあさんと房代ふさよは『心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い心細い…』といよるけど、なんの行動も起こしてないじゃないか!!…房代ふさよが自分ひとりの力だけで結婚相手を探していたが途中で脱落したみたいだな…房代ふさよも、かあさんと同じ理想の相手じゃないといかんのか!?オドレなんとか言え!!」

「ぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすんぐすん…」


起史たつしに怒鳴られた房代ふさよは、ぐすんぐすんと泣き出した。


ふざけるな!!


ふざけるな!!


起史たつしは、ものすごく恐ろしい目つきで房江ふさえ房代ふさよをにらみつけたあと自分の部屋に逃げ込んだ。


房江ふさえは、ものすごくつらい表情であたりを見渡した。


これから先…


どうすればいいのか…


分からない…


(カランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカラン…カランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカランカラン…)


時は流れて…


8月5日の昼過ぎであった。


ところ変わって、中村区内にある教会チャペルにて…


この日、起史たつし華保かほが挙式を挙げた。


立会人は、房江ふさえ房代ふさよ母娘おやこだけであった。


華保かほは、7月21日に親きょうだい全員を亡くした…


一人ぼっちで生きていくことができないので、与田なこうどの命令で起史たつしと結婚した。


その上に、房代ふさよが結婚相談の店で深刻なトラブルを起こした…


房代ふさよが起こした深刻なトラブルは、与田なこうどの家が後始末を引き受けた。


起史たつしは、与田なこうどの家に恩返しするために華保かほと結婚した。


8月7日に、起史たつし華保かほは婚姻届を区役所に提出した。


起史たつし華保かほはひどくあいまいな形で結婚したが、それでしあわせになれるでしょうか?


【第一部・おわり】


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