0ーC、役職配布

白い視界が少しずつ暗転していき、有名ゲーム会社のロゴが出てくる。

3秒ほど表示された後、狼が夜鳴きしている背景に「VR人狼 ver0.3.2」

と書かれた赤字の文字が出てくる。

「うわぁ、怖いよぉ…、タクミぃ…」

とおびえた声を出すのは吉田楓。

「わかったから、いったん落ち着いてください!吉田先輩!」

そんな他愛ない会話が続いた後。

「それじゃぁ、ゲームを始めるわね、

 心の準備はいいかしら?」

「「「はい!」」」

先生の声が、天から降ってくる。

なんだか不思議。

「じゃぁ、ゲームの説明に移るわね。」


さて、まずは役職の説明から。

まずは役職から。

今回は、人狼陣営である人狼が四人、狂人が一人、呪われし者が一人、

村人陣営の占い師が一人、霊媒師が一人、共有者が二人、執行官が一人、

第三陣営として妖狐が一人、背徳者が一人、猫又が一人、

そして、残りの八人はもれなく村人陣営の村人となるわ。

「役職多くないですか?」

「今までやってきた役職詰め合わせって感じだね」

まぁ、こんなに大人数でやるとこうなっちゃうのよ。

役職多いほうが楽しいでしょ?

ちなみに、ゲームの舞台はこの小学校に設定したわ。


このゲームでは『昼』『夕方』『夜』三つのターンがあるの。

まず、『昼』。このターン中に村人陣営は『仕事』をこなすわ。

この『仕事』をすべてこなせば村人陣営の勝利となる。

そのほかの陣営の人たちは、村人の貢献になってはなってしまうけど、

フェイクとして『仕事』をやっておいたほうが疑われないわね。

まぁ、簡単にいえばみんなで学校を掃除するような感じよ。

「えぇ、それ適当な口実でみんなに大掃除させてるだけじゃん…」

こら!そこ!うるさいぞ!


ちなみに、人狼陣営もここで人を殺めることになるわ。

勝利のためなら、仕方ない…から、勇気を出して頑張ってね!


この言葉に、一同は凍りつく。


続いて、『夕方』。

ここで、みんなは職員室にあつまって会議をするわ。

職員室の机は取り払ってあるから、かなり広い空間になっているはずよ。

疑わしい人や、見てしまった真実をここで宣言するの。

また、各会議ごとに一人を追放できる。

さっきの怪しげな人を追放するのよ。

無実の人を吊ったら不利になるから気を付けてね。


最後に、『夜』。

人狼は人狼同士、共有者は共有者同士、妖狐は背徳者と

みんなにはバレない会話ができる。

有効に活用してね。

ちなみに狂人は人狼と仲間だけど、この会話には参加できない。

というより、人狼が誰かもわからないわ。

なかなかハードな役職よね。


「こんなもんかしら。何か質問はある?」

「はい!先生!」

「はい、津島ハナノさん、何ですか?」

「吊られたり、殺されて死んでしまった人はどうなるんですか?」

「その場合、別なVR空間で先生と一緒に試合の成り行きをモニターで見ることに

 なるわ。VRゴーグルをとると、再度の接続は難しいし私も気づかないから、

 ゴーグルを取らないよう注意して。」

「ヤバっ、気を付けないと…」

そうつぶやくのは佐合ななみ。

確かに、おっちょこちょいなとこあるし、気を付けないとかもね。

「他の質問はないかしら?」

「ヤバい、すごいワクワクしてきた…」

そう言うのは大西タカシくん。

ポジティブだなぁ。


「じゃぁ、ゲームの舞台へと転送するわ。

 いってらっしゃい、楽しんできてね!」

楽しむところではないと思うんだけど。


そこから、視界が少しずつ白くなっていく。



















気づけば、いつもの見慣れた昇降口に立っていた。

いや、正確に言えば学校のような空間の中の昇降口のような空間か。


目の前に、黒い四角形が出てきて、レトロなゲームのフォントのような文字で

こう書かれる。



「あなたの役職は…

          ▼(Aを押すとテキストが進みます)」








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ラストイベントには人狼を リゲル @jyaponica

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