そして、ケンカが始まった

5月のある日

私たちは、ケンカをした。

彼氏とのケンカではない。

彼とは、遠距離ながら

うまくいっている。



その子とのケンカだ…。



ただ高校生ってのは、

思春期真っ只中だ。

目の前に人が歩いてるだけで

イライラするような時期だ。



そして、誰と誰が付き合ってるとか

教室でキスしてたとか

あいつが逆告白してたんだって~とか

ただ目の前を通った人をターゲットにして何か話したりとか

どうでもいいことを話したりする時期である。



本当、どうでもいいよね。

自分に関係のない

他人の話なんか…。


そんな時期もあってか

私はイライラを積もらせていた。


学校では、その子にそっけない返事しかされないし

中途半端なヤンキーはいるし

顔がヤバい女子生徒はいるし

ものすごいデブはいるし

デブな女が威張ってるし

授業中いつも後ろ向いて

えげつないエロ話してる女はいるし

そいつの後ろになってみろ

相当イラつくぜ。


貞子みたいな女はいるし

そいつもクラスのトップになった気にでもなってるのか、威張ってるんだ。



クラスに必ず1人はいるよな


例えば、次に言うやつ。


クラスを引っ張ってる気になってる奴。

自分の意見が正しいみたいな

男好きで平気で人を売るようなやつ

そのくせ友達のふりをして

相談にのってるやつ

そしてその相談内容を他の奴に流してるやつ。



お前だよ。おまえ。


ゴールデンウィーク前のある日

私は、もどかしい気持ちになった。



どうして、そんな態度をとるの?

どうして、うまくいかないの?

どうして、ほっといてくれないの?

どうして、そんなに冷たいの?

どうして、仲がいいふりするの?



どうして?

ねぇ…

どうしてこうなったの……?



そう心の中で、私の言葉が流れていった。



もう限界だったんだ…


すべて…



うまくいかない自分に

イラついてたんだ……



だから…

あの時にすべて失ったんだ……



あの生暖かい午後に……



ケンカが起こる前までは

その子とは、何回かメールをした。


入学当時は、自己紹介が書かれたメール

どこ中とか誕生日とか

そんな他愛ない話…



今ではもう

アドレスも電話番号もすべて消してしまったから

もう誕生日メールとか送ることなんてないんだけどね。

一回も誕生日メール送ることなく終わったから。




そして、入学当時は早めに学校に来ていた私は

段々、チャイムぴったりに教室に着くようになった。



そうすれば、話をしないで済む…

辛い時間を少しでも減らすために…

自分を守るために…



自分を守るために編み出した案だった。


そして、あの日が来た。

いつもと同じようにお弁当を食べ終えて、次の授業が始まるチャイムが鳴る頃に聞いてみたんだ。


その子に。



「どうして、いつもそっけないの?」

「もしかして、私のこと嫌いだった?」


って聞いたんだ。



そしたらね、

その子の口から衝撃な言葉が出たんだ。



その言葉で、私たちの薄い仲が終わることも知らずに……


「いつも機嫌悪そうだから」


そう、その子が言った。



「っ……。」

私は、言葉を失った。

機嫌悪いのはその子の方じゃない。

どうして、私がっ…。


そう言われてなにも言えなかった。

と同時に怒りが込み上げた。



どうしてよ。

そっちじゃない。

いつもそっけなくてなに考えてるか分からないのは。って。



そして、私は席に着いた。

授業が始まる。



私は、先生の声など耳の遠くの方でしか聞こえなかった。


ずっと、頭の中でさっきの言葉がエンドレスに流れるのだ。


いつも機嫌悪そうだし…

機嫌悪そうだから……



目を閉じるしかなかった…。



そして、授業が終わった。



帰りは、その子になにも言わずに

先に帰った。



苛立ってムカついて悔しくて

悔しくて震えた。



そして、制服のポケットからスマホを出した。



アドレス帳を開いて

その子のメールアドレスと電話番号を着信拒否した。



震える手で素早く着信拒否した。



私を苛つかせるからよ。




スマホをポケットに閉まった。



そして、駅のベンチに座った。



ゴールデンウィーク前の出来事だった。。




明日からゴールデンウィークが始まる。



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