まだ許せていない
朝
わたしの特別な場所
殺したい人がいた。
かつては優しかった恋人だ。
瞬きする間に人を貶め、蔑む最低な人間になっていた。
ハラスメントの意味もよく知らなかった私は、恋人を殺さねば終わらないと思っていた。
真っ暗な部屋で画面にかじりつく。
何とかしてください。
そうして見つけたのは、自宅から2時間ほどの場所にある小さな神社だった。
どんな後ろめたい願いも聞いてくれる、神様。
道中は、不思議と静かだった。
電車には人のようなものが乗っていた。
どれも私とは別世界の、関係のないところで生きているもののようだった。
しとしと降る雨に、傘をさして歩く。
誰ともすれ違わずにたどり着いた神社は、昼間でも薄暗かった。
最低限のスペースだけ確保されているようで、一人でお参りするのがやっとだ。
境内に足を踏み入れる。
塗れた地面を踏みつける音しか聞こえない。
もう雨に濡れても構わない。
傘を閉じ、絵馬をかける。
「××が凄惨な死を迎えますように。家族もどうか不幸になりますように。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます