フィルター

フィルターの中

放置され続けているアイデア

掃除できずに

根詰まりを起こして

破裂したがっている

君が汚れを掴むときに使っている

豊かな酸味が

昔誰をどんなふうに傷つけてできたものなのか

私は絶対忘れない

記憶を執拗に練り上げて

口の中で弄び続けたい

振動する顎から伸びてくるのは

随分と煌びやかな

繊維質の音

私が体中に飼っている

中身がスカスカの感情たちを

ピンポイントで震わせて

地崩れを起こします

ちょうど頭上を飛んでいく

ヘリコプターの音が

胃の奥のひだを

一枚ずつ引き抜くような感覚で

古いものは面白くないって

君が言うから

私のアイデアは

これ以上分解できずに

途方に暮れている

破裂したがっている

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る