第5話朝倉義景




それは、1人で眠れる夜を淡い灯火ともしびを頼りに手紙を書いてる時だった。

淡い灯火が揺らいだ。


「何奴じゃー、朝倉義景あさくらよしかげと知っての狼藉ろうぜきかーー」


合戦でなく、住まいで死ぬ羽目になろうとは思いもしない。

それに誰も来ない。


「服部半蔵、見参!・・・主、三言さまから書状を持ってまいりました。お読み下されませ」


人に名を名乗る時は、絶対に「服部半蔵、見参!」と言うように言われたが、いまだに真意が聞けてない。

何か訳がありそうな・・・


「裏切ったな半蔵、どれくらい貰ったのだ。その倍はだそう・・・」


それがしは、真意を貰い受け申した。あなた様に、それが出来ようとは思ってもおりません」


「忍び風情が・・・斬るなら斬れ」


その場がシーンとする。


「そのような命は受けておりません。重々、三言さまをあなどるなかれ・・・必ず後悔することに・・・それでは御免」


殺さぬのか・・・感ずかれていないだろうが、冷や汗でびっしょりとは情けない。

くるくると書状を開き見る。なんと面妖な書状よ。


手に持ったまま立ち上がり「誰か!誰かおらぬのか」


1人、2人と眠り扱けているとは、足で蹴り起こす。

なんと起きぬとは、もしかして死んでるのか・・・息はしてる。

またまた面妖な・・・





朝早くから呼び出しを受けて、重要な戦が始まるのかと駆けつけたが、誰も内容を知らぬとは何事ぞ。


不安が不安を呼び集めるように、城内は重い空気によどんでいる。


「静まれ、静まらぬか!殿からの下知げちなるぞ」


「昨晩、加賀国の三言から書状が届いた。弦馬げんば、読み上げよ」


「1つ、三言教は無闇に他国の侵略はしないと誓う。1つ、侵略されれば倍返しだ。1つ、1度目は大目に見ることもあるが2度目はない。1つ、どうしても困ったことがあったら相談に乗らないこともない」


「ふざけているのか!」


「黙れ山田だ!ここは詮議せんぎの場で怒鳴る場ではない」


又も重い空気がよどみだす。


「聞きたいのですが、三言とは如何いかがなる人物なのでしょうか・・・」


弦馬「某が知ってることは、すでに加賀国をぶんどった坊主らしく、それも1人でやって退けたと聞き及んでいる。某もそんな話は信じられないが、現に加賀が制圧されている事実は変わらないことを考えてくれ」


「そんなバカな・・・」


「あり得ぬことぞ」


「某も商人から聞いたぞ。人を真っ二つに斬ってしまうらしいと」


「忍びは、なんと言っている」


「忍びの服部半蔵は、三言に転んだようだな。ぬけぬけと寝所まで書状を届けたのが半蔵本人よ」


「それでは、書状に書いてることに反しているのでは・・・殿のお命が危なかったことになりませんか」


「いや、服部半蔵に三言を殺せと命じたのは、某だ・・・だから何も言えぬわ」


「皆の者、殿の苦汁の決断は間違ってない。某もそう思った。それ程に恐ろしい男なのだ。この書状を見ろ」


次々に回し読みする書状を見て「面妖な書状よ」と声がもれる。


「もう雪の季節よ、来年までに考えをまとめようではないか・・・」


「それしあるまい・・・雪の季節か」







三言寺の奥の部屋では、「服部半蔵、見参!」と言う声がもれている。


「それで半蔵、事の始末はどうであった」


「能登と越中は、雪になったので戦の準備はしておりません」


「来年か・・・あきもせずに来るのか・・・暇な奴らだ」


「何人かの内通者も、来年が待ち遠しい!と言っております」


「それで半蔵の家族や配下は元気にしてるのか、伊賀に比べて寒かろう」


「懐が温かいので喜んでおります」


「そうかそうか、それはよかった」


そしてむくりと立つ。


「検索の間に行かれるのですか、あまり無茶むちゃをしないで下さい」


「ああ、あれか、夢中になり過ぎただけだから心配無用だよ。体には、なんの異常もないからね」


引き戸を引いて、検索の間に入った。

がらんとした10畳ぐらいの空間の部屋だ。


胡坐あぐらをかいて低い台を引き寄せる。

その上に和紙を何度も引き伸ばしながら文鎮ぶんちんを4スミに置いて準備完了。




加賀を乗っ取りながらLVは、結構上がった。



【LV6になりました】

【アイテムボックスを取得】



【LV7になりました】

【瞬間移動を取得】



【LV8になりました】

【検索を取得】



アイテムボックス

中々便利な物だ。いろいろと詰め込んで、どこでも自由に出せてしまう。

どれ程入るか、なんか怖いぐらいだよ。

入った物は、時間停止がいいよね。冷たい物は冷たいままだから・・・


瞬間移動

これは、一度行ったことがある場所なら一瞬で移動出来る。嘘のような能力だぜ。

アイテムボックスがあれば、どこでも大量の物を運んでしまう・・・何度も何度も触って確認したよ。

これは本物の激レアだぜ。


検索

はじめは「検索だと・・・何に使うんだよ。こんなのどうする」とボヤいたぜ。

触ってみて驚いたねーー。


不思議なことに俺が居た時代に繋がっているらしい。検索サイトで自由に検索できるなんて・・・

3日前、喜び過ぎて使い過ぎて気絶していたらしい。

それも、すっかり何を検索しのかも忘れるヘマをしている。

気絶がアウトなら教えてくれよーー。


それで、服部半蔵や田吾作じいさんから小言を何度も聞かされる羽目に・・・

さあ、今日は書き写しながら検索しよう。



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