坂本龍一氏の訃報に思う

夢美瑠瑠

 

 元YMOの坂本龍一さんが亡くなった。

 月日の流れの速さに感慨深い。

 YMOというのは 「YELLOW MAGIC ORCHESTRA」の略称で、かつて僕の青春時代に一世を風靡した音楽グループです。「テクノ・ポップ」という音楽ジャンルの草分けで、シンセサイザー等の電子機器を取り入れた最先端のサウンド、演奏スタイルが非常に斬新で世界的に人気を博した。音楽界のみならず文化や流行、ファッション、その他マスコミ全般に社会現象のようなセンセーションを巻き起こした、一種独特な存在感を持つ”伝説”レジェンドなグループと言えるかと思います。

 

 坂本氏は東京芸大大学院卒業という異色の経歴と、哲学者のごとき言動と風貌で、なんというか音楽家というだけでない時代の寵児?、知的なアイドルとなっていた。「戦場のメリークリスマス」、「ラストエンペラー」などの芸術的な映画に主演して、その音楽を担当して、アカデミー賞をさらったこともあるのは周知の功績です。「世界のサカモト」とも呼ばれて、オノヨーコとかに比肩する「最も有名な日本人」の一人だった。 


 

 青春時代に僕は坂本氏の担当する「サウンドストリート」というラジオ番組を毎週聴いていました。ご存じの通りに氏は訥弁で、終始低い小声で穏やかに、ボソボソとトークを展開するのですが、その内容も調子も不思議と不愉快でなく、温かくて理知的な人柄、深い音楽や文学その他の教養造詣に満ち溢れていて、坂本氏の「サウンドストリート」を聴いていた時間は、僕にとっては自分の精神形成史における、特別な一ページ、青春のある象徴となっています。


 坂本氏はアレンジャーとしては音楽界で若いころから名を馳せていて、その関係でいろいろなマニアックな女性アーティストの音楽にも触れることができました。現代音楽や武満徹という人の音楽にも触れられました。奥様だった矢野顕子さんの「ごはんができたよ」という坂本さんプロデュースの名盤のいわく言い難い素晴らしさは筆舌に尽くしがたい。(トートロジーやなw)


 僕は精神を病んで、世の中から遠ざかって、最近に坂本さんがどういう活動をなさっているのかもあまり知らない。が、「非戦」という本を出版したりして、かつての全共闘?世代の面目躍如をなしたりしていたことを仄聞して、まだまだ元気で、これからも活躍してくださると信じていました。


 残念ですが、盛者必滅、会者定離。諸行無常、栄枯盛衰は人の世の定めです。

 僕の青春のアイドルだった坂本さん、どうか安らかにお眠りください。

 合掌。

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