第12話 悪役と暗殺計画(因果応報ということで)

 霧江恭吾は焦っていた。何故なら、自分の息子を殺す依頼をしたはずの殺し屋の『針』と連絡が取れなくなったからだ。


 報連相は社会人の基本だが、殺し屋にそれは適用されるとは思えない。しかし、つい先日逃げた橋雨の行方が分かったとの連絡があったばかりだ。


 いくら自分の息子が強いからといっても、『針』は要人暗殺のプロかつ今までに何人もの強者を葬ってきたプロ中のプロだ。


 そんな彼もしくは彼女が、異能がちょっとばかし強いだけの息子に負けるはずない。そう思っていたのに、連絡が途絶えた。


 電波が通じない、又は厄介な所に潜伏しているわけでもなく、公園で何かしているとのことだったらしい。罠だった可能性もあったのかもしれないが、やはり『針』が負けるとは考えられない。


 霧江恭吾は焦っていた。



     やってきました、霧江邸〜〜〜〜。


 と、某日本テレビの番組のような挨拶をした俺は今、霧江恭吾の住む霧江邸(豪邸)の真ん前にいる。門の前に見張りがいるが、念力で自分を浮かせて塀を越えるので問題なし。


 ルパンもビックリな華麗な侵入を決めた俺は霧江恭吾の部屋を探す。だって部屋わかんないんだもん!!


 霧江恭吾の部屋は3階の一番右にあるようだ。使用人が部屋に食事を運んでいるのが、窓の外から見える。ちなみに俺は恭吾の部屋の扉の前にある窓を、上から覗き込んでいる。


 霧江恭吾の部屋の窓はカーテンが閉まっていて見えないので、念力でちょっとだけカーテンと窓を開ける。すると食事を食べながら何やらブツブツと聞こえてきた。


「針の連絡はまだか?」や、「奴は死んだのか?」というような感じだ。多分針はメグのことで、奴は間違いなく俺だろうな。


 さて、どうやって殺そうかな~。


「お前、そこで何をしている?」


 あ、見つかっちった。こいつはたしか護衛タイプDの何がしさんじゃないか!!


「おいおいおいおい。俺を誰か忘れたのか?霧江橋雨様だぞ?」


「そのような人物は霧江家には存在しない。お前を住居侵入と暗殺未遂で拘束する!!」


「落ち着けよDくん。お前1人じゃきついぜ?」


「1人で、とは一言も言っていないが?」


 うわっA、B、Cもきた。でも、念力で全員拘束からの地面打ち付けで終わるんだよね。


「「「「うわぁーーーーーーーーーー」」」」


「な、何事だ!!」


「侵入者がいるぞ!!」


 そっこーで囲まれた。当たり前なんだよなぁ。


「両手を挙げて膝をつけ!!」


「そこから動くんじゃねぇぞ!!」


 筋肉と銃に囲まれても嬉しくないのでさっさと霧江恭吾の部屋へ向かう。逃げてなきゃいいけどなぁ。


「に、逃げたぞ!!」


「撃てーーーーー」


 銃弾は全て空中で止まり、届かない。そして俺は霧江恭吾の部屋に窓から入った。が、


「誰も居ねぇじゃん」


 霧江恭吾は逃げていた。探すのめんどくさー。


 何て思っている時期もありました。10秒で見つけたんだけど。


         護衛護衛護衛

         護衛恭吾護衛

         護衛護衛護衛


 って感じで逃げてた。俺はそっこーで向かう。しかし護衛が邪魔をしてくる。でもそれが仕事なんだよね君達は。


「おいおい恭吾く〜ん。俺と遊ぼうぜぇ」


「なっ貴様、針はどうした!?」


「メグなら絶賛拘束中なんで。乙でーす」


「チッまぁいい、ここで死ね。殺れ!!お前達!!」


 つよつよな護衛が全員かかってくる。でも残念。異能は封じたよ、そこの焦る君。


「能力が使えねぇぞ!!」


「でも能力以外なら俺達のほうが強ぇぞ!!」


「死ねやボケ!!」


 だがしかぁし。俺にはこの2つ目の能力、念力がある!!


「右から順でいいか」


「あ?何言って――」


「グボッ」


「ガハッ」


「ギィヤァアアアアア」


 このように相手の関節が全て捻れます。うーん痛そう。


「ってあれ?恭吾君は?どこいったか教えてプリーズ」


「し、知らないです!!」


「い、命だけはお助けください!!」


「いや流石に殺さんて」


 でもどこ行ったんだろな、あいつ。



「クッソ、橋雨め」


 1人の男が、薄暗い倉庫で呟く。彼は自宅を自分の息子に襲撃され、この緊急用の倉庫に逃げ込んだのだ。


 しかし、その姿をじっと見つめる者がいる。それに恭吾は気付いた。


「何者だ!!」


 答えない。が、敵であることに間違いないと判断した恭吾は銃を手に取る。しかし、目と口から血を流して倒れた。


 その者の名は殺し屋の『針』またの名をメグ。契約金が払われていないことに気付き、彼を殺した。


〜次の日〜


『霧江家当主暗殺か。遺体、海で発見。毒殺か』という見出しのニュースがあった。毒殺、なぜだ?もしかして?


「もしかしなくてもですよ、橋雨様」


「げっメグじゃん。なんでいるの?」


 アオイが拘束しているはずのメグがいる。アオイと一緒に。


「なぜここに?」


「ご想像にお任せします」


「あっそうですかぁ」


 つまりアオイを説得→ワープで恭吾の所へ→ころころ→俺の所に来た

 こうかな?でもなんで殺したんだろう。忠誠心?まさかね。


――――――――――――――――――――――――

金≫依頼≫橋雨≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫恭吾

 

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