第三章 決闘祭どこいったし

第11話 悪役と???(俺達の過去とか)

「あ、これは死んだ」


 そう思う瞬間は人生で1度は訪れる。俺の場合はトラックだった。運転手がよそ見をしていたせいで、信号を渡る俺に気づかず曲がってきたのだ。


 まぁ轢かれて死ぬよな。でもそこで終わりじゃなかった。死んで魂のような霊のような状態になった俺の体から『何か』が抜ける感覚がした。魂なのに。


 そこから先はよく覚えていないが、気づいたら河川敷のようなところに突っ立ていた。


 橋はなし、道路もなし、なんなら俺の居る場所の奥は黒い霧で覆われている。


 てか俺の顔もなんか黒い霧で覆われてるし。笑えねぇ。


 状況を整理するに俺のいる芝生の奥が多分冥界だろう。そして目の前の川が三途の川ってところかな。でもなぜ?


 考えていても仕方がないので川で遊んだり釣りをしたり1人キャンプをしたりしていたら、すぐ近くにある小さい池に何かが映った。1人の赤ん坊だ。


 誰だと思う前に気付いた。あの時俺から抜けた『何か』が転生したのだと。それから俺はそいつを観察しはじめた。


〜約17年後〜


 今日も今日とて釣りをしながら映像の観察を始める。最近のお供はココアだ。


 いつもどうり鑑賞が終わり寝ようとするが、様子がおかしい。誰かが川を渡ってきたのだ。その人物は――――。


「霧江橋雨じゃん」


「お前は誰だ!?なぜ俺様の名を?いや、知っていて当然ともいえるな」


「自己紹介だ。俺は■■■■■という者で前世の君にあたる。よろしく頼むぜ」


 霧江橋雨は体全体が黒い霧で覆われている。理由は知らん。


 でも何故彼はここに来た?彼なら布団でぐっすりなのに。よし、説明くれ。


「何故お前がここに?」


「一応教えておいてやる。1度しか言わん」


 どうやら意識、いや自分の魂が『何か』を置いて体から抜け、気付いたら河原にいたので川を渡ったら前世とか色々と知ったらしい。


 そしてここへ来る途中に自分から出た『何か』と自分の中にあった『何か』が混ざっていたようだ。


 これは前世の俺成分と霧江橋雨成分が混ざったということでよさそう。いいよね?はい、いいらしいです。


 霧江橋雨これからどうすんの?ここに住む?いやいいけど。あ、それ俺のカップ麺だぞ!!なに、しょうがないなぁそれじゃ一緒にしますか。鑑賞会を。


〜それから2ヶ月後ぐらい〜


■■■「てなかんじなんだよね」


橋雨「くっそどうでもいい情報をありがとう」



     第1回どうすんの会議、開始!!


 さて始まってまいりましたどうすんの会議。今俺は六角家の病院から退院して割と近くの公園にいます。


 今後の方針ですが、重要なのがメグと霧江家当主の恭吾です。どうしましょ。


「どうすっかなぁ」


「どうにもならないと思いますが?」


「!?」


「お久しぶりです、橋雨様」


「なっメグ、何故ここが!!」


「カメラに映ってました」


「クッソ、テレビの生中継の後ろでエイサーすんじゃなかったぜ」


 よりあえず距離をとる。毒の有効範囲内にいるのはそうとうマズい。


「ご安心下さい。一撃で終わらせます」


「安心できんわ!!」


 ナイフを出したメグが人とは思えないスピードで向かってくる。捕捉が出来ないから念力が使えない!!そうお思いの奥さん、策があるんですよこれが。


 メグが後ろに回り込み毒付きナイフを刺そうとするが刺さらない。予想道理って顔がムカつく。


「まぁそうなりますよね」


「当たり前だっての」


 しかし、焦らない。俺の足が動かしずらいから?予想的中だから?違う、メグは毒を空気中にばら撒いているのだ。念力で毒の霧は掴めないし、走ることもできない。


          詰み。 


「んなわけないんだよなぁこれがぁ」


「へ!?」


 メグが驚いた声を出す。珍しい。何故か、聞いて驚け見て驚け!!俺は、のだ!!アオイの能力の次元干渉を使い、別次元に退避し毒を回避する。アオイの能力が1度きりしか使えないタイプだったが問題はない。メグを念力で捕まえチェックメイトだ!!


「さて、取引をしようか」


「殺さないのですか?」


「もちのろん。俺は情報がほしい」


「私に情報を吐けと?」


「教えてくれると嬉しいな〜。あ、能力は使えないから抵抗しないでね」


 情報を言いそうにないのでアオイに異次元に拘束してもらった。アオイさん有能すぎ。


 俺の今知る情報だと当主、霧江恭吾を消す方法は分からないが取り敢えず会いにいってみよう。どんな顔すっかなー。


――――――――――――――――――――――――

メグの毒を最初に無効化出来なかったのは毒を体内で生成していたからです。(触れたらOK)


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