第11話

「俺の自己紹介はこれで終わり。今度は2人の事を教えて欲しい」


「分かりましたご主人様。私はカレア17歳です。闘気使いで使っていた武器は……双剣です」


「なるほど。双剣って事は片手で武器を使うのに慣れてるって訳だ。得意なのが両手武器じゃなかっただけラッキーだったと思おう」


と言ってもエリクサーで欠損した腕を治すのでどちらでも構わないけどね。


「じゃあ次、クリスの番ね」


「クリス、8歳だ」


「クリス!!も、申し訳ございませんご主人様」


「あ〜俺はそのぐらいで怒らないから心配しないで」


8歳児までご主人様呼びって逆に気持ち悪いし。


「それじゃ、自己紹介は終わったし。これからは2人に何をしてもらうつもりなのか説明させて貰うと言っても、色々して貰う訳じゃなくてカレアには俺の護衛。クリスは俺の魔法の弟子になってもらう」


「その……私は隻腕ですし。弟を弟子にですか?」


「隻腕の問題についてはコレを飲めば解決する。月の女神からのプレゼントだ。クリスを弟子にする理由は俺が教える魔法は全て俺が作った新しい魔法だからベラベラ周りに言いふらしたりしない奴隷の方が良いだろうと思ったからだ」


奴隷には最低限守秘義務があって雇用主が話してはいけないと言う事を他人に喋ろうとすると声が出なくなるようになっている。


物理的に勝手に言い降らせないってのは凄い楽でいい。


まぁ、最初は万が一情報が漏れてもいい魔法を作ってそれを教えるつもりだけど。


「まっ待ってください!腕が治るってもしかしなくても、エリクサーって事ですか!?つっ使えません!そんな高価なもの」


「いや、でもさっき言った通り月の女神がカレアに使うためにくれたものだからさ。気にせず使って貰わないと困る。これ比喩とかでは無くリアルな話しね?って事でクリス、カレアの事を拘束して」


何となく自分の意思で飲ませるには時間がかかりそうなので、無理やり飲ませる事にした。


冷静になって考えれば、最初から飲ませようとするんじゃなくてカレアが何度か護衛として活躍した後、渡せば良かったかな?と思わなくも無いけど。

護衛をして貰うなら最初から100%の力を発揮してくれる方が雇い主的には助かるし。


姉の腕が治ると言う事でクリスは俺の指示を直ぐに聞いてカレアを拘束する。


まぁ、カレアの方が力が強いようで一瞬でひっぺがされたけど。


「月の女神にグロルのお店に行けば信用出来る仲間と会えると言われてエリクサーを渡されたからね。何度も言うけど、月の女神はカレアの為にエリクサーをくれたと思うんだよね」


後で聞いた話。奴隷なら雇っている期間は裏切ることは無いし、グロルのお店は奴隷の体調管理に凄く気を使っているからオススメって意味だけ言っただけで、そこまで計算してなかったらしいけど。


偶然って凄いよね。


「う……」


カレアが考え込んでしまった。

そう言えばエリクサーって飲んでも効果が有るけど。

傷に振りかけても効果があるって話だよね?


丁度俺の方見てないし。コルク栓を抜いてエリクサーをカレアの腕が欠損した方の肩に垂らす。


カレアがあっ!?っと声を上げるのと同時に欠損した腕がにょきにょき生えて来た。

ちょっと気持ち悪い。後、すっごい激痛が走りそうなもんだけど。

カレアが痛そうにしている様子は無いし、流石エリクサーってところだろうか。


「どう?生えた腕は動かせる?」


「はい……問題なく動きます」


俺が質問すると諦めたような表情になってさっきまで無くなっていた腕を動かしてみて問題ないと返事をしてくれる。


「そろそろ王城に到着するみたいだ。王城の中を移動しているときは俺から逸れないようにね」


そうは言うけど。俺も王城内を迷わず移動するなんて無理だけど。



「奴隷の2人が2人だけで王城を歩いていると嬉々としてちょっかいかけてくる残念な人もいるから申し訳無いけど。俺が居ない時以外はこの部屋から出ないようにね」


従者専用の部屋にはトイレは有るけど。シャワー室が無いから申し訳ない。


俺の借りてる部屋のを使わせて上げるつもりだけど。それだと2人の好きなタイミングでとは行かないからな。


「この部屋で十分過ますから気にしないで下さい」


確かに王城だから従者の部屋と言っても結構しっかりしてるし綺麗ではあるよな。


まぁ、いつまでも俺がいたらリラックス出来ないだろうし自分の部屋に戻ろう。


クリスに教える用の魔法も作らなきゃなんないし。


今から作るとなると100%新しい魔法じゃなくて、既存の魔法のアレンジだな。

ってなるとやっぱりランス系かな。

属性を決定する部分を変えるだけの簡単な作業だし。


クリスだって先ずは自分の魔力を制御して正確に魔法陣を作る練習からだから。

比較的単純な構造なランス系の魔法陣が丁度良いだろう。


でもなぁ。何故か属性のところをルーン文字で闇って書いてもランス系の魔法発動しないんだよな。


ルーン文字で影って書けば発動するけど。

クリスに教えるのは後々広める事も考慮しているので、こう書けば影って意味なのかってバレるのが嫌だから使いたくないんだよね。


う〜ん何か良い方法がないか少し考えて見るか。丁度時間はある事だし。


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読んでいただきありがとうございます。

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