夢の日々

  聖母マリアの蒼穹の瞳から

  こぼれ始める 幸福しあわせの海

  思いもよらぬ天使からの接吻くちづけ

  の豊かな白銀の肌は

    世のけがれを覚えずとも

    世のくるしみを知ればこそ

  ほんのりと あかねを帯びて……


賛美歌のような瑠璃色の約束を

僕との日暦ひめくりに大きく描くいとしい貴女の

紅玉こうぎょくかんばせにも似た熱い髪にいだかれて

ける 熔ける

理屈の 靴の 深海ふかみの ゆが


そして 僕の空にたたず

諦めという名の黒い星が


落ちて


落ちて


そして


    パリン







        おーい


 どこに落ちたあ


          こっちだぞお


無邪気な子どもたちの真綿の声が

真実ほんとうの朝に目覚めた僕にも届く

この 穏やかなるも快活な

平和な景色に遊ぶ花々の

いと優しき透明で緩慢なだらか

桜の丘のうたの上


せいの歓びは 今日もかろく歌い 笑い……






ねえ マリア


まさたおれ逝かんとする僕に

心ゆくまで

しとやかなる温もりを

たおやかに

しかし 力強く寄せてくれたのは


「聖母」という名の 貴女でしたね






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