腕組まれ　戸惑う君はピタゴラス

淡いサイダー　想いはじけて

躊躇（ためら）いに身を縮めたる蝸牛（かたつむり）

甘き雨の音（ね）　熔（と）けてゆく空

夜を追い　この身は解（ほつ）れ

月に酔い　歌を忘れて

鳴かぬ椋鳥（むくどり）

五月雨（さみだれ）を　未だ見ぬとは云ふけれど

春の涙よ　汝（なれ）　此処（ここ）に居（お）り

雨枯れてなお　空に鳴く

蛙（かわず）らの心に沁みる

檸檬（れもん）の月よ

蟋蟀（こほろぎ）の　琥珀の雨に飛び込みて

歌ふ響きよ　秋風に乗れ

ふと柔らかなる秋桜（コスモス）の声

夕の陽（ひ）を背に　何を語るや

揺蕩（たゆと）う風はシュトラウスワルツ

星を運びて　宙楽（そら）を翔（かけ）るや

薔薇の詩（うた）　詠みて枯れたる掌（たなごころ）

風に預けし　あの冬の恋

故郷（ふるさと）の御天（みそら）に

星のあるを見ん

いかで忘るや　あの日の君を

冬の風　春呼ぶ声の首を刎（は）ね

夜に散らすは　悔やみたる雨

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