コカインの海

一粒の勇気が黙して横たわるのを

胸の中に眺めていると

私の景色は

(いつも通りの無言のカオス)

C17H21NO4 の

Co-Cain の

コカインの海にしぼんでいく














────── 萎め!! 








あの神秘の夜の時計のリズムで

アア やってくる やってくる 

見えてくる 聞こえてくる……

紅い三日月のカーブに沿って

死の世界の なんともあでやかな住人が

古風なうたを今日も並べている……


 ただ 静かにぬべし 去ぬべし

 あはれ さる翼なぞ 

 空をくせば如何なるや?

 眼につらなりし涙とて

 心亡くせば如何なるや?


うたた寝を始めた

私の たった一粒の勇気

そこに 黒い手が

あの コカインの海の手が

朗らかな顔をして絡み付いてくる


ギギギギ…… ギギギギ……










アアア 分からない


もう全てが ワカラナイけれども

あらがいという命の飛沫しぶき

ただの一つも見せることなく────


コカインの海の Vierge Noireヴィエルジュノワール

私の歩む光の道を

こうして今日も また呑み込んでしまった










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