第1話中編

「とりあえず、自己紹介から始めたほうがいいな。」

そして、一人ずつ話していく。

             

「まずは俺から、岸花ひばな 彼方かなただ。まあ、なんていうか、この部活の部長やっている。」


最初に俺に話しかけてくれた先輩は、

岸花先輩だったようだ。


次に話し始めたのは、時々岸花先輩の会話の

軌道修正をしてくれていた人だ。


「えー、自分の名前は尾ノ岡 路威ろいです。

向こうの机で、ノーパソで作業してるやつは、高橋 律と言ってこの部活の、情報処理担当だ。」


名前以外はとくに明かしてくれなかったが、

大体は把握できた気がする。

尾ノ岡先輩が喋り終わってすぐに、岸花先輩が話し始めた。


「ここで問題です!なんの活動もしていないこの部活が存在する理由は何でしょう?

葉山くん、答えなさい。」


岸花先輩が質問してきたが、言い方が完全に

ふざけた奴の言い方だった。

そんなことを思いながら、内心答えがわからなくてヒヤヒヤしている。


「はい!10!9!」

手をカウントダウンに合わせて叩いていて

しかも、表情はかなりの笑顔で俺はこの時

悟ったのだ、ああこの先輩はかなりクズだとそうこうしている内に尾ノ岡先輩は、

教えてやれよと、そんな感じで鎮めてくれた。

俺はじっくり話を聞こうと思って、

近くのソファーに腰掛けた。

そうすると、俺が話を聞こうとしている姿勢が伝わったのか高橋先輩の近くにあった、

ホワイトボードをガラガラと引っ張ってきた。

そこにおもむろにピラミッドを書き出した。

描き終わったと思ったらホワイトボードを

叩いて、勢いよく話し出した。


「いいか!この部活はこの学校が生み出した

負の遺産だと言っても過言ではない、いや

過言だ。」

ここから先は、深呼吸して冷静に説明してくれた。


「まず、この部活がなぜあるかって言うのを

説明するならまず、この学校の隠された制度

について話さないといけないな…」


そこからの話はまるで漫画のような、誰でもわかる冗談のような話ばかりだった。



大体話していた内容は主に3つ言っていた。


1つ目は、この学校の隠された制度について。

どうやら、この学校では実力主義が教師に

よって深く根付いてる、そんな話だった。


詳しく言うと、どの部活に入っていて

その部活がどれほどの戦績を残したかによって教師達の対応が変わる物だった。

また、テストの成績なども対応に関わるらしい。


2つ目は、その制度とこの部活の関係について。


どうやら、この「臨床心理科学部」は、

成績不振、素行が良くない、部活での失敗

こういうことが、続くとこの部活に強制的に

入れられることになるという。


そして、話の流れからついに先輩が書いたピラミッドが出てきた。

そのピラミッドには上から順番に、


1段目、運動部(全国大会優勝経験あり)

2段目、運動部(全国大会多数出場

)3段目、文化部(全国大会優勝または、コンクール最優秀賞の経験あり)

4段目、文化部(全国大会出場またはコンクール入賞の経験あり)


最後の段は、特に成果が出ていない部活と

あってボードの一番下に「臨床心理科学部」と書かれてあった。

俺は、臨床心理科学部がなぜ下にあるか

最初はわからなかったが、そこも

丁寧に説明してくれた。

そもそもこのピラミッドは、「この学校のスクールカーストのランクと教師の贔屓度ひいきど」を表しているらしい

この臨床心理科学部は、ピラミッドに置いて最底辺で教師から、最も見放された部活であると教えてくれた。

この部活に入るということは、スクールカーストで一番の下の存在になることと同じことで、この学校では「死」を意味するとも言っていた。

だから、全員が教師を恐れて、

常に良いパフォーマンスを出そうとするため

この学校の偏差値、部活はトップレベルの実力を持っている、という馬鹿げたような話だったが、妙に納得できた。


3つ目は、この部活に入っている先輩達の

野望についてだった。

その野望は、「この制度をぶち壊したい」たったそれだけだそうだ。

さらに話を聞いていくと、この学校の制度を入学する前から知っており、この制度を壊す

ために入学したとも言っていた。

この部活に入るために、三人で入学初日に

盛大に遅刻、岸花先輩は生徒代表の挨拶を

任されていたのにも関わらず遅刻したため、

かなり怒られたそう。それを、笑いながら言っていたのでこの人たちは、ヤバい人だと再認識させられた。


「まあ、こんな感じで俺たちはこの学校を

ひっくり返すつもりだから。お前、いや

葉山も手伝えよ?」


部活をしている生徒は帰る、最終下校のチャイムが校内に鳴り響いた。

俺は岸花先輩が下校する前に聞きたいことがあった。

みんなが、淡々と帰る準備を進める中、

俺はひとつ質問をする。


「なんで、俺は一発でここに送られたんですか?

だって、俺殴れてないしなんなら殴られましたよ?!」


「あー、それはサッカー部のエース殴ろうとしたからやられたんだな、エースになんかあったらチームも困るからな。」


よし!と、バックを背負って岸花先輩は

言い放った。


「俺たちは、葉山の復讐をしてやろう!

まあ、この前までは部員が少なくて廃部の 危機だったが、お前のおかげでピンチは脱却した!葉山は今日色々あって疲れただろ。 ゆっくり休めよ。」


先輩はそう言って、静かに去っていった。 先輩達が去ってから数分で荷物を、まとめて下駄箱に向かったが先輩達の姿は、とっくに見えなくなっていた。







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