烙印はねのけ生きていきます

エナジードリンクの妖精

第1話 前編

中学校から幼馴染と同じ高校に行きたくて、

必死に勉強して、念願の高校に入った。

だがしかし俺は生徒指導室にて、

先生と対面してるのだ。

事態はほんの数時間前まで遡る


▽ ▽ ▽


まだ入学式から一週間ほど経った日の放課後

唐突に呼び出された。

何を言うことがあるのだろうと思いながら、言われた通りの場所に行くと、そこは

サッカー部の練習場所だった。

俺が入学した学校は、部活に力を入れており

どの部活も全国クラスで専用の練習場所も

用意されている。

言われた通りの場所にいると、

サッカー部の先輩と一緒に幼馴染の結衣が、

やってきた。

そのサッカー部の先輩は、新入生の俺でも

知っているような有名なサッカー部エースで

イケメンで、女ぐせが悪いと言う噂だ。

そんな人が、結衣とともに俺の元に来たため

慌てて、俺は問いかけた。


「用事ってなんだよ?!急に呼び出して、

 しかも先輩まで連れてさぁ」


一体どうしたんだよと、言おうとした瞬間。


「もう、私に関わるのやめてくれない?

 あなたが幼馴染だと私まで下に見られるし

 それに、私は草薙先輩と、付き合うことに

 したから♪」


調子の良さそうな声でそう言われた。

俺は信じられなかった。

昔、将来は結婚しようなんて幼稚園児の

テンプレ的なセリフを言っていたことを

俺はいまだに覚えていた。


「てなわけで、もう関わるのやめろよ?

 俺たちの格が下がるからな笑」


俺の肩を軽く叩いて言ってきた。

その瞬間、俺の怒りの糸が音をたてる間もなく、切れた気がした。

そして、


「お前が…お前がたぶらかしたのかぁぁぁ」


そう言い放つと、俺は草薙先輩を思いっきり殴った。

だがしかし、勉強ばかりしている人間と

運動をしている人間が戦うとどうなるか

結果は見えていた。

俺の拳は、とくに怖がれることなく受け止められた。

俺は、そんなバカな…

なんて気持ちになったが、相手からの膝蹴りによって見事に気絶した。


▽ ▽ ▽


急いで起き上がると目の前に座っている先生と、目があった。

そして、現在に至る。


「お前は、新入生だな?名前は?」


「葉山、朝陽あさひです…」


か弱い声で、伝えるとそこから先生による、永遠と思えるほどの説教が始まった。

その先輩が怪我してたらどうするんだとか、

そんなことばかり言っていった。

そして、最後に一言。


「こりゃ、心理科学部行きだな。

 底辺で反省してきな!クズが!」


そう言われて、指導室を追い出され、

そこに向かうように指示された。

俺は、クズとかそこまで言わなくていいんじゃないかとか、そんなことを思いながら渋々そこの部室に向かった。

部室の前にはわかりやすく、


      「臨床心理科学部」


と大きな文字で荒々しく手書きされていた。

俺は、ドアの前で一度深呼吸して、

恐る恐るドアを開けて言い放つ。


「一年C組の葉山 朝日です…部室の場所、

ここで合ってますよね?」


全員きょとんとした顔でこちらを見ている。


「お前、こんなところにどうした?

一年が来るところじゃねえぞ?」


俺はその言葉に衝撃を受けた、その言葉でこの部活がどんな部活がさらにわからなくなった気がした。しかもその部室は学校とは思えない場所だった。

テレビに、ソファーなど本来なら部室には

ないようなものばかりだった。

しかも、先輩たちはそのテレビでゲームをしているのだった。

とにかくこの部活聞いてみることにした。


「この部活って具体的に何をするところなんですか?」


そう聞くと、なんと言えばいいかわからない表情で、答えてくれた。


「何をするって言ってもなぁ、なにもしてねぇからなぁ…」


今の言葉を聞くと、そもそもこの部活が作られた理由すらも謎になってしまう。

しかし、先輩の見た目も決して真面目な生徒と言えない、そんな人に質問するのをどうしても躊躇ってしまう。

そんなことを思いながら、視線をウロウロさせていると先輩が聞いてきた。


「オマエもしかして、この学校の仕組みが

全然わかってないんじゃないか?」


この学校に入学して、1ヶ月も経っていない奴に、仕組みを理解させるのは無理だろなんて思ってしまったが心の中に留めておく事にした。


「彼方、流石に新入生に対してこの学校を知っていると言うのは無理があるんじゃないか?俺たちの名前も教えてないのに」


もう1人の先輩が自分の心の中を代弁してくれた。

「そうだな、この学校の制度について教えてやろう…」


これから何が始まるんだろうか、不安と絶望で溢れる自分の中に、少し光が宿った気がする。



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