第十二話 親と子と絆
親と子と絆①
学校敷地内の全ての物が膨張し、輝きを放つ。そして爆発の直前、夏目を含めたほぼ全ての者達の体が結界に覆われた。
(!!? これはオッサンの─────)
相良が状況を悟った瞬間、建造物は爆発。強烈な風と爆炎が熱波に乗って辺り一面を破壊し尽くす。
地面は黒い煙を上げながら焦土と化し、散り散りとなった瓦礫や焼け跡はその威力を物語っていた。
しかし抉れた地には衝撃波によって気絶はしつつも、結界の防御によって無傷の生徒達。そして夏目と相良、その敵対者も守られた。
が、結界の主である鏑木は変異力を大幅に失い酷く疲弊。周囲に張った分だけ自身の防御はおろそかになり、炎熱によって皮膚がただれていた。
ほんの一瞬、凛風はその隙を見逃さない。
「後手に回ったナ」
薄くなった防御に気が付き、即座に攻撃を仕掛ける。"致命打"とはならずとも確実に響く打突が鏑木を襲う。避ける体力も無い、中年の身体はほんの少し宙を舞った。
《
そしてその機を逃すことなく、凛風は更にその身を自分ごと天へと打ち飛ばす。
強烈なGが鏑木を一気に襲う。勢いによって生じた空気圧によって身動きが取れない。
(つッ、吹き飛ばされた勢いで体勢が保てない! 結界で足場を────)
その瞬間、鏑木は目を見開いた。視界に捉えた女の傍らに、八十センチ前後のそれがあったから。
『
それは2000年代初頭、戦争で実用化された燃料気化による超高威力の爆弾。
核に次ぐとされる兵器を凛風は更に改良し、そして変異力で強化することにより、有効範囲数百mを更なる地獄と化す悪魔の道具へと変貌させていた。
「そんなことしたらお前も巻き込まれるぞ!! 自爆覚悟か!!?」
「そんな訳ないダロ、ワタシは
《防爆服》+《
凛風の身体は濃い緑と黒に彩られた対爆性の服に覆われ、更にそれを囲うように分厚い壁で構成された大きな部屋が空中に出来上がった。
「ハハ、やっぱりすごいな中国の嬢ちゃん。おじさんからで悪いけど…………"満点"だ」
次の瞬間、爆弾から鈍い機械音が響き渡る。急激な加圧沸騰により蒸気を膨張させたその爆発は、先程の威力とは比べ物にならない爆炎を鏑木を中心に周囲へと撒き散らした。
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