第24話 お母さん

先輩に連れられて家に着くと、中からとても可愛らしいおっとりした女性がでてきた。


「俺の母さん」


「は、初めまして!葉山詩ですっ」


「あらあら、いらっしゃい!待っていたのよっ中へどうぞ」


「はい、お邪魔しますっ」


先輩の家はなんとなくだが、居心地の良さそうな感じがした。


「クッキー焼いてみたのだけれど、好きかしら?」


「はい!お菓子は大好きなんです!」


「よかったわ!」


「俺、着替えてくるからゆっくりしてて」


「はいっ」


八神先輩はそう言って自室に向かい、リビングには私と先輩のお母さんだけになった。


「この前はプレゼント選んでくれてありがとうね。」


「いえっ私は先輩に提案しただけで、最終的に決めたのは先輩です!」


「それでも、一緒に選んでくれたのが嬉しいのよ。」


「喜んで頂けたならよかったですっ」


「詩ちゃん。焚翔の元カノの琴羽(ことは)ちゃんのことは聞いてるかしら?」


「あ、はい。ご病気…だったんですよね?」


「そう…それ以来焚翔はあんな風になっちゃってね…優しい子のままなんだけど、心を閉ざしてる感じでね。」


「…」


「でも、最近あの子すごく楽しそうなのよ。やっと前に進めたような感じというか…詩ちゃんの話ばっかりするのよ(笑)」


「わ、私の?」


「えぇ。"守ってあげたい可愛い子がいる"ってねっ」


「そ、そうなんですか…」


「これからも、あの子と仲良くしてあげてね?」


「はいっ」


私とお母さんが仲良く話していると着替えを終えた先輩が戻ってきた。


「母さん、変なこと吹き込んでないよな?」


「何も言ってないわよ。でも、詩ちゃん凄く良い子ね」


「葉山は誰にでも優しいからな」


それから世間話をしたりして過ごした後、先輩に家まで送ってもらうことになった。


「今日はありがとな」


「いえ、先輩のお母さんすごく雰囲気もだし人柄も良くて話しやすかったです!」


「そっか。」


「「…」」


しばらく私たちは喋らずに歩いた。

家が近くなってきた頃に先輩が急に話し出した。


「葉山、ちょっとだけいいか?」


「なんですか?」


「俺、お前が好きだ」


「…え?」


「いつの間にかお前のこと好きになってて。…俺と付き合って欲しい。」


「…私でいいんですか?」


「お前がいいんだよ。」


「…」


「返事はすぐじゃなくてもいい。」


「…私も。先輩のこと好きです。」


「…え!?」


「なんで驚くんですか!」


「いや、蒼也のことが好きなのかと…」


「水元先輩は眼中に無いです!」


「はっきり言うな…」


「私、たぶん。先輩とぶつかった時から好きですよ?」


「そんなに前から!?」


「はいっ」


「そうか…詩。俺と付き合ってくれるか?」


「はい!よろしくお願いします!」


「ありがとう」


先輩はそう言うとこの前みたいに、私のおでこにキスをした。


そして"明日の朝迎えに行くから一緒に登校しよう"と言ってくれたので"待ってます"と言って別れた。





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