第23話 未遂

今、ちょっとヤバいです…

昨日、先輩に言われた通りに1人で教室に残ってるんだけど…一ノ宮先輩が…


「お前、調子乗んなって言ったよな?」


「調子になんて乗っていませんよ…」


「じゃあこの前のなんなの?焚翔とデートとか…お前みたいなのが釣り合うわけないじゃん?」


「そうですね。私は一ノ宮先輩みたいに可愛くも綺麗でもないです。」


「分かってんじゃん」


「ですが、八神先輩のことを好きな気持ちだけは先輩に負けたくないんです。」


「…」


「陽、こいつどうすんの?」


「一度痛い目見せた方がいいんじゃない?」


今、一ノ宮先輩の他に先輩が2人いる。

"木内奈那(きうち なな)"先輩と"古宮知佳(こみや ちか)"先輩だ。


どうやら一ノ宮先輩の取り巻きで八神先輩のファンクラブにも入っているらしい。


「そうだね。あんたが悪いんだからね」


そう言って一ノ宮先輩は私の胸ぐらを掴んで叩こうとしてきた。


が、それはある人が教室に入ってきて未遂に終わった。


「葉山、帰る…お前ら何やってんの?」


「あっ焚翔…これはその…」


「なんで葉山の胸ぐら掴んでんの?」


「…」


「答えろ」


「…」


「答えろ!!!」


何も答えない一ノ宮先輩に痺れを切らした八神先輩が怒鳴ったことで、私を含めた全員が体をビクッとさせた。


「もういいや。2度とこいつに関わるな。次なにかしたら…覚悟しとけよ。」


八神先輩は一ノ宮先輩たちを睨むと"行くぞ"と言って私の手を掴んだから、慌てて自分の鞄を掴むと先輩に着いて教室を出ていった。


「あ、あの。先輩っ」


帰り道、一向に手を離してくれない先輩に声をかける


「…ごめん。」


「あ、いえ…」


手を離してはくれたけど、なんとなく寂しく感じてしまった。


「もしかして、いつもあんなことされてたのか?」


「あれは今日が初めてでした…」


「"あれは"ってことは他になにかされてんのか?」


「んー…」


「正直に教えてくれ。」


「一ノ宮先輩なのかわからないんですけど、たまに下駄箱がゴミ箱になってることはあります」


「ご、ゴミ箱?」


「はい。なんかいろんな紙くずとか入ってます」


「えっと…なんで平然と言えるんだ?」


「え?だってただのゴミなんで、捨てれば問題ないかなーって!」


「あー…なるほど…?」


私が平然とそんなこと言うもんだから先輩は呆れているというか、困惑しているというか…そんな感じだった。


「もしまた、今日みたいなことがあったらすぐに言え。助けに行くから」


「先輩…」


「…お前だけは失いたくないんだ。」


「え?」


「なんでもない。ほら行くぞ。」


そう言って先輩は歩き出したから後を付いて行って先輩の家にお邪魔することになった。





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