とあるサイコロトーク!

夕日ゆうや

カラオケ店にて。

「とりあえず、サイコロトークしようぜ?」

「いいな、姫もいいかな?」

「いやーん♡ いいかも♡」

 あざとい可愛さを振りまく姫。

 姫。

 姫路ひめじ愛香あいか

 ピンク色のブラウスに黒のスカートを履いたいわゆる地雷系ファッションを愛するあざと可愛い女の子。

 ピンク色のロングヘアーに、水色の瞳、浮世離れした可愛さをもつ彼女はこの部活で姫扱いされていた。

 その親衛隊が俺を含め三人。

「サイコロトーク!」

 俺がサイコロを転がすと、『野菜』の文字が。

「いやなんだよこれ。なんの話するんだよ」

「僕はありますよ。野菜スティックのセロリを鼻から食べました」

「は?」「え?」「おう……」

 なんだかすごいエピソードが飛び出した気がするが気にしてはいけない。

「じゃあ、野菜スティック食べてみて?」

 俺の手前にある野菜スティックのコップがある。

「あー。はい」

 俺は哀れみを浮かべながら及川おいかわにわたす。

「……食べますよ」

 意を決した及川が頑張って鼻にニンジンを突き刺す。

「いって! いって!」

「まあ、普通に考えて無理だろ」

 俺は嘆息混じりの本音を言う。

「ふふ。わたしの可愛い子」

 もはや好きとかではなく、子どものように見守る姫。

 好き放題やっているが、俺が陰から暗躍しているとも知らないのだろう。

 無邪気な笑みだ。


 その夜、俺は姫とともにいた。

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