第11話

笠原視点


 私には友達が沢山居た。


 勇者は私達にとって笑いのネタだった。


 勇者がテストで低い点を取る度、授業で当てらた時に答えられない度にネタにした。


 クラスは彼をネタにしている。

 「勇者また、落としたのかよ。」「あんなに勉強してたのにね。」

「勉強の仕方変えた方がいいんじゃんない?」


 そして私もネタにしている。

「勇者って、本当に馬鹿だよね。」



私達にとって勇者はある意味欠かせない人だった。


 勇者はいつも残って勉強をしている。よく、花江さんがが教えている。


 あんなにいっつも頑張って教えるのに結果が出ないんだから、花江さんの方が可哀想だ。


 私はほっとけないから花江さんに話しかけた。


 「花江さん、あの馬鹿にそんなに教えてないで、私達と遊びましょうよ。」


「ありがとう誘ってくれて、でも私は勇者に勉強を教えたいから」


「花江さんは嫌じゃないの?」


「嫌って??」


「あんなに毎日教えてるのに、テストでいい点が取れなくて、教える方も結果がよくないのと嫌でしょ」

 私も他人に教えることがあるが正直めんどくさかったし、何時間も教えても結果が出なくてムカついたことがあった。


「うーん、まぁ多少はあるかな」


「なら、私と遊びましょう」


「でも、いいの。」

 その顔は嘘とか遠慮でもなく真っ直ぐ答える。


 「絶対私達と遊んだ方が楽しいよ!」


「そうかも」


「なら、」


「確かに楽しさはあると思う。でも私にとっては勇者と一緒が落ち着くの」


「でも、さっき多少はって」


「それは、結果が出なくて私も悲しいだけかな。教えることは苦じゃないし、ずっと教えたいくらい」


私はこの花江って子がやばい子に見えてた。


 「・・・フフ」


やばい、この子、不気味。


 「ごめん、ごめん。おかしくて」


「何が??」


「いや、私も前も笠原さんと同じだったんだよね。」


「えっ??」


「勇者って余りにも馬鹿で不器用だから、見ていてストレスが溜まることがあるんだよね。」


 なのに、毎日一緒にいる。言ってることが矛盾してる。

 正直、あの馬鹿よりこの子の方が頭がおかしいと思い始めた。


「私はもうそう感じない。」


この子、ヤンデレか何か?ダメな人に依存するタイプ?


 「もしかしたら、笠原さんも勇者のことが分かる時が来るかもよ。まぁ私的には困るんだけど。」


  何その遠回しの、将来の恋のライバル発言。


 「いや、それは無いよ。」


「私もそう祈りたいな。」

 

 

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