第4話勧善懲悪






有無相生

勧善懲悪



 運命がカードを混ぜ、われわれが勝負する。


         ショーペンハウエル






































 第四昇【勧善懲悪】


























 「煙桜、大丈夫でしたか」


 「ああ、平気だ」


 「それにしても、結界が壊れるなんて、あの子の鳴き声ってすごいのね。耳が痛いけど」


 ライラン、モラ、バレンタ、壟歩、零との戦いを無事に終えた煙桜、琉峯、そして麗翔は集まっていた。


 ピクリともしなかった結界が壊れ安心したのだが、それは同時に鬼たちが入ってくるかもしれないという事態であることも瞬時に把握した。


 ピンチかチャンスか、それは悪魔たちにとっても同じことで。


 「見ろ。もうあいつらが来たぞ」


 煙桜が煙草を消しながらそう言うと、ヴィルズ、ライ、そしてダスラがこちらに向かって飛んでくるのが見えた。


 人間相手とは全く違う敵に、とにかくやるしかないという気持ちなだけ。


 「ったく。こんなとこで犬死にすんのは御免だぞ」


 「それは俺も同じです」


 「烏みたいね、あいつら」


 麗翔がちょっとズレたことを言っていたが、それは聞かなかったことにしよう。


 結局のところ、悪魔に勝つ方法なんて本には載っていなかったし、人知を越えた存在に人間が勝つなんてほぼ不可能だ。


 「ライ、お前誰が良い?」


 「別に誰でも。どうせ全員潰すんだし」


 「ヴィルズは?」


 「俺も誰でも。ダスラが先に決めて良いよ」


 「じゃあ・・・まずは弱そうな女からってね!!!」


 ひゅん、と風のように速いダスラが、いきなり麗翔のすぐ前まで来た。


 目を丸くしながらも、避ける体勢に入った麗翔だが、その必要はなかった。


 「あ」


 麗翔の前には、誰かの背中があった。


 それは見覚えのあるような、ないような、確か知っている背中には、麗翔よりも長い黒髪があったはずだが、それがない。


 だが確かにその人物の背中だ。


 「おい、お前一度死んだも同然だろ?なんでまた俺達の前にたちはだかる?また死にねえのか?」


 「・・・・・・」


 「何とか言えよ。それとも、やっぱり怖くてちびっちまったのか?たかが人間が、俺達に刃向かおうとするなんざ、天地が引っくり返っても無謀なことなんだよ」


 「・・・せぇ」


 「あ?」


 「うるせぇんだよ、さっきから」


 たかが人間の拳が、ダスラの顎に命中して、ダスラは翼に抱えられながら地面に叩き付けられた。


 ダスラの体重がどのくらいかは分からないが、悪魔の翼は重たい。


 天使の翼は軽いのに対し、悪魔の翼は吸い込んだ人間の悪の分だけ重たいのだ。


 それも尋常じゃないほどに、何キロとか、そういうレベルの重さではないはずなのに、その翼を持っているダスラを殴り飛ばした。


 ヴィルズとライは男の方を見て警戒する。


 一方で、煙桜は新しい煙草を吸い始め、ようやく見せたその背中に厭味を言う。


 「死んだかと思ってたよ」


 「・・・・・・」


 「抜け殻の背中には見えねえな」


 「・・・生憎、三途の川渡ってた舟が沈没しちまってな。泳いでみたら、あの世じゃなくてこっちに戻ってきてたみてぇだ」


 おまけに六文銭もなくて、なんて冗談交じりに言う背中が、ゆっくりとこちらを向いた。


 琉峯も麗翔も、思わず顔が綻ぶ。


 「て、帝斗!!!」








 すっかり髪の毛が短くなってしまった帝斗を、琉峯と麗翔はマジマジと見ている。


 「んな見るなよ。前より男前になったからって」


 「なんか違う。帝斗って感じしないわ。あの邪魔くさい長い髪の毛があったから帝斗って感じがしてたのに」


 「そうですね。なんか違いますね。あれだけ髪の毛切るの嫌がっていたのに、なんで切ったんです?」


 「あんまり似合ってないわ」


 「なんだよ、折角復活したってのに、髪の毛のことばっかりか。てか何?俺は髪の毛の印象しかねえのか?これも似合ってんだろうが。なあ、煙桜?」


 「・・・・・・」


 帝斗の問いかけに、煙桜は黙って煙を吐き出した。


 わーわーと騒いでいる帝斗たちのもとに、静かに忍び寄ってきた影。


 「!」


 突如、帝斗が身体を屈めたかと思うと、ダスラの蹴りが帝斗の顔面に来た。


 しかしダスラの足を掴み動きを封じようとしたが、背後からライが帝斗の首を狙って黒い羽根をカッターのように投げつけてきたため、それも間一髪で避ける。


 「っぶね・・・!」


 ふう、と一息ついたところで、ヴィルズが帝斗の心臓目掛けて腕を突きつけてきた。


 それを避けた帝斗だが、帝斗の代わりに貫かれてしまった瓦礫は、綺麗にそこだけすっぽりと破壊されていた。


 あれが身体に突き刺さっていたらと思うと、ゾクリと身体が震える。


 「おい」


 「なんだ、どうした」


 「なんだじゃねえよ。何してんだよ」


 ふと、帝斗が横を見てみると、そこには手助けをしようなんてこれっぽっとも思っていない、煙桜たちが適当な場所に腰を下ろして一息ついていた。


 煙桜だけならまだ分かるが、琉峯と麗翔まで、お茶を啜っている始末。


 「帝斗、お前は知らないだろうがな、俺達はもう疲れたんだよ。後は頼んだぞ」


 「嘘だろ!こいつら相手に俺1人って、嘘だろ!」


 がんばれー、とやる気の無い応援を受けた帝斗は、顔を引き攣らせながらため息を吐く。


 それから、帝斗は少しの間、ヴィルズたち悪魔3人を相手にしていたが、やはり力を持たない今の帝斗ではそれ以上どうすることも出来ず。


 このくらいで息があがってしまうなんて情けないと思いながらも、なんとか足止めだけでもと頑張っていた。


 「!」


 その時、ぐらついた足元と反転していく世界に、帝斗はやってしまったと思った。


 それをヴィルズたちが見逃すはずがなく、容赦なく帝斗に攻撃を仕掛ける。


 攻撃をかわしながらなんとか避けようとした帝斗だが、着地した場所は湿っていて、足を滑らせてしまった。


 眼前につきつけられた長い爪に、帝斗は目を瞑ることも出来ずにいた。


 「・・・へえ、アレを解いたのか?」


 ヴィルズの言葉に、こいつは何を言っているんだと思っていた帝斗は、自分の後ろに誰かがいることに気付いた。


 顔だけをそちらに向ければ、そこには口角をあげて目尻も下げていつものように微笑んでいる男がいた。


 「座敷わらしには感謝しないとね。あの泣き声はきっと、死人も起こせるよ」


 「鳳、如・・・?」


 「やあ帝斗。そんなところにいると、危ないよ」


 そう言われ、帝斗は慌てて身体を回転させて鳳如から離れる。


 「折角良い夢見てたのに、五月蠅くて起きたよ」


 眠らされていた鳳如だが、どうやら聞くところによるとその中でも意識はあったようで、なんとか鎖を解こうとしていたらしい。


 破壊力抜群の座敷わらしの声に、本能が鳳如を起こしたと言っても過言ではない。


 「煙桜、琉峯、麗翔、お前等もそんなところで休んでないで、さっさとこいつらぶっ飛ばすぞ」


 鳳如も力を失っているはずだというのに、気迫というか圧というか、そういったものは一切変わっていない。


 ヴィルズたちも鳳如からは一定の距離を保ったまま。


 「琉峯、麗翔」


 「「はい」」


 「お前等は結界を頼む。2人で出来るよな?」


 「分かりました」


 「任せてよ!」


 鳳如に言われ、琉峯と麗翔は二か所からだが、通常の鬼を通さないための結界を作るための準備を始める。


 この結界を作るのに力はいらない。


 部下たちが作っているのと同じ簡単なものなら、魔法陣のようなものを作れば良いのだ。


 「これで対等に3対3になるだろ?」


 「・・・俺たち相手に、サシでやろうってわけか」


 「余裕そうじゃん」


 「死んで後悔するなよ」


 鳳如がヴィルズの前に立つと、帝斗が鳳如の脇にきて言う。


 「こいつは俺がやる」


 「・・・わかったよ」


 そう言って、鳳如はライと、煙桜はダスラと対峙する。


 煙桜は吸っていた煙草を携帯灰皿に入れると、肩をぐるぐる回した。


 「いっぺん、悪魔ってもんを思いっきりブン殴ってやりたかったんだ」


 「人間相手だからって手は抜かないよ。じゃないと、ここを奪えないからね」








 「ひっく・・・」


 「ようやく泣きやんだか。まったく困った孫だ。ぬらりひょんはよく面倒を見てるな」


 「五月蠅いのう。ワシだって、主じゃなければここまで泣かんぞ」


 「・・・・・・」


 「それより、天狗はどうしたのじゃ?」


 「ああ、天狗はね、今誘拐中だから」


 にこりと笑いながら言うオロチに、座敷わらしは首を傾げる。


 そこへ琉峯と麗翔がやってきて、簡単な結界を作りだした。


 「鳳如ら、大丈夫かのう」


 「大丈夫じゃない?」


 「主、本当に心配しておるのか?」


 「心配してもしょうがないでしょ。あとはあいつらの問題だし。それに、天狗が戻ってくれば万事解決するだろうし」


 「主の言う事は信用出来んのじゃ」


 「何それ」


 そんなことを話しているとは知らず、天狗はこちらに向かって来ていた。


 腕には1人の女性を連れて。


 「かなり飛ばしておるが、身体は平気かのう?」


 「ええ、私のことは心配なさらずとも、今は彼らのもとへ早く帰ることの方が大事じゃ。力さえ戻れば、悪魔とてそう易々とは戦えまい」


 「あ奴等なら大丈夫じゃろう。これまでにも何度となく死とは直面してきたのじゃ」


 「しかし」


 「それに、ぬらりひょんがおる。いざとなれば、奴が本気を出すじゃろう」


 天狗に抱き抱えられながら、清蘭はただ祈ることしか出来ない。


 それからしばらくして、ようやく目的地が見えてきた。


 「見えた!」


 「行くぞ」


 天狗は扇子で風を起こすと、その風に乗ってさらにスピードを上げた。


 ようやく建物に辿りつくと、清蘭の部屋へと入るが、そこにはすでにオロチと座敷わらし、そして結界を作っている琉峯と麗翔がいた。


 座敷わらしは清蘭に泣きながら抱きついた。


 天狗はオロチにアイコンタクトをすると、オロチはニッと笑って小さく頷いた。


 「琉峯に麗翔、戦いはどうなっておるのじゃ」


 「清蘭様、御無事で」


 「あっちなら大丈夫よ。帝斗も復活したみたいだし、鳳如も起きたわ。座敷わらしの鳴き声のお陰でね」


 「そうか。良かった。よし、後は任せてもらおう」


 そう言って、清蘭はいつもの定位置に座ると、両手を大きく広げて深呼吸をした。


 ぽう、と正面にある大きな蓮が光り出すと、琉峯と麗翔が着ている服にも異変が起こる。


 「あ」


 服に描かれている蓮の部分が同じように光り出し、色も以前のように鮮やかになり、蓮の周りにある茎のような部分も辿るようにして光が走った。


 それと同時に、結界が張られた。


 「何だと・・・!?」


 自分たちの作った結界とは違う結界が張られたことに気付いたヴィルズたち、それにガイは、清蘭が今ここにいることを知る。


 連れ去ったはずだが、誰かが連れ戻したということだろうか。


 とにかく、清蘭が戻って結界が張られたということは、普通の人間に戻って力を無くしていた鳳如たちにも、力が戻ったことを意味していた。


 「ちっ。早く片付ければ良かったな」


 「そう舌打ちするもんじゃねえよ。抵抗しねぇ弱い奴をやったところで、何も楽しくねぇだろ?」


 「・・・ああ、そうだな」


 ダスラと向かい合っている煙桜は、大鎌を取り出していた。


 「その鎌で俺をやろうってか。上等だ」


 ブンブンと大きく振りかぶる煙桜に対し、ダスラは翼を広げて空へと逃げる。


 「ここなら鎌は届くまい!!」


 「・・・あーあ。やっちまったな」


 煙桜は鎌を肩に担ぎ、もう片方の手を額に当てて下を向いた。


 その姿を見て、ダスラはクククと笑う。


 「人間というのは空も飛べないもんな。こうして空を動き回れる俺に、どうやって地上から攻撃をしてくるのだ?」


 「・・・こうも思い通りとは」


 「さっきから何を言ってるんだ?」


 ゆっくりと額から手をどかせると、煙桜は大鎌をしまう。


 それが敵前逃亡にでも見えたのか、ダスラは大笑いしながら煙桜を見下し、だから気付いていなかった。


 いきなり力が抜けたような、飛んでいる最中撃たれた小鳥のように、ダスラは地面に向かって落ちて行く。


 堕ちてからも少しの間、ダスラは何が起こったのか把握出来ないでいた。


 うつ伏せでいたダスラの視界に入った男の靴に、顔をあげれば、そこには煙草を吸っている煙桜がいて、両膝を曲げてダスラに煙がかからないよう、一応顔を背けて煙を吐いた。


 「ど、どういうことだ?俺の翼はどうなっているんだ?」


 「悪魔の翼は罪の重さか。悪いモンを吸い過ぎて重くなった方が、まだマシだったかもな」


 煙桜の言っていることが未だに理解出来ないダスラは、なんとか自分の翼を確認しようとするが、翼を開こうとしても開けない。


 重たい翼とはいえども、悪魔はその重さを気にしたことなどないため、なぜだか涼しくなった背中に恐怖さえ覚える。


 「何をした・・・!?」


 ふう、と煙を吐いてから、煙桜は答える。


 「無くなったよ、お前の翼は」


 「なんだと!?そんなことあるわけが!!」


 「どうせ足を使って戦うなんてこと、お前等がするわけない。空に逃げると思ってよ、札をあちこちに仕掛けておいた。思惑通り、お前は空を飛んで、その翼に札を当てちまったもんだから、錆びたんだよ」


 「錆びただと・・・?翼が錆びるなどあるわけがない・・・!!」


 ふたたび煙を吐くと、煙桜は立ちあがって札を見せる。


 「俺の札は何でも錆びさせる。それが人間であってもな。無機物有機物、ありとあらゆるものを錆びさせることが出来る。これでお前は空を飛べなくなったわけだ。わかるな?ましてや寝転がってると、餌食になるだけだ」


 そう言いながら、煙桜はしまった大鎌を取り出して、その切れ味鋭いのをダスラの首にあてがう。


 「悪魔の首を取るか。そんなことでは俺は死なんぞ」


 「死ぬ死なねぇは関係ねぇんだよ。言っただろ。俺は悪魔ってもんを思いっきりブン殴ってやりてぇだけだ」


 そう言うと、煙桜は鎌を地面に下ろし、ダスラの胸倉を掴んで地面に足がつかないように持ち上げる。


 「お前は地獄逝きだな。地獄に来たときはせいぜい可愛がってやるよ」


 「地獄か。上等じゃねえか。俺が地獄に堕ちた時ぁ、てめぇらぶっ潰して俺が地獄の主になってやるよ」


 「ふん、減らず口を」


 「黙ってねぇと、舌噛むぜ」


 「舌を噛んだところで、悪魔である俺達は死ぬわけでも・・・」


 まだダスラが話している途中だというのに、煙桜は構わず殴った。


 ただ一発、思いっきり、今の煙桜が出せる限りの力を全部出して殴ったため、警告も聞かずに話していたダスラは舌を噛んでしまったらしく、その痛さと殴られた痛みとで、伸びてしまった。


 「だから言ったろ。舌噛むと痛ェんだよ」








 「鳳如。ここの中じゃ一番強いって聞いたけど、こんなもん?俺の相手にはならない」


 「何を見てこれが俺の本気か判断してるのか知らないが、俺はお前等相手じゃ本気は出さねえよ」


 「強がりを言うな。現に今だって、俺に殺されかけてるだろ」


 ライの言うとおり、鳳如はライによって心臓部分に腕を貫通されていた。


 傍から見れば、鳳如はこのまま死ぬだろうと思わせる図なのだが、当の本人は笑みを崩さない。


 「・・・俺がこのまま腕を動かせば、お前は心臓ごと引き裂かれる」


 「だろうね。この体勢でお花が出てきます、なんて言われた方が驚きだよ」


 「・・・何故笑ってる?」


 鳳如の表情からは、一切恐怖というものを感じられない。


 通常の人間であれば、自分の心臓がいつ引き裂かれるかもしれないこの状況で、こんなに余裕そうに笑っていられるだろうか。


 まるで友達同士で話しているかのように、鳳如はライに話しかける。


 「確か、魔王の息子だったな。魔王とは違って無愛想な息子なんだな」


 「だから何だ。今親父は関係ないだろう」


 「なんだ、そういう年頃か。父親と比べられるのが嫌だっていうのも分かるが、今のお前じゃ勝ち目はねぇな」


 「さっさと死にたいらしいな」


 「おー、殺してくれんのか。俺も自分がどうすれば死ぬのか興味あるんだ。それをここで証明してくれるなら、嬉しいねぇ」


 「・・・?」


 鳳如はここで中央を担っている男。


 ただそれだけのはずだ。


 どうやって死ぬとか、どうして恐怖で顔を歪めないのかとか、そんな答えを求める前に、ライは行動に出た。


 心臓の真ん中に突き刺していた腕を、思い切り横にスライドさせる。


 血飛沫と一緒に、心臓は真っ二つに切れるはずだと。


 「・・・!?」


 「あー、やっぱりダメか」


 はずなのだが、鳳如の心臓は一旦は裂けたものの、すぐに自然に元に戻ってしまった。


 これが普通の人間の身体なわけはない。


 ライは鳳如に目線を移し、魔王がここを襲う時に言っていた言葉を思い出していた。


 ―人間を侮るな。


 いや、だからといって、切り裂かれた心臓を戻すなどいう能力を、人間が持っているはずはない。


 しかし、鳳如はそれをして見せた。


 しかも、本人はそれを分かっていたようで、少し残念そうにもしている。


 「どういうことだ?お前は人間じゃないのか?」


 「んー、難しい質問だな。人間と言えば人間だ。ただ、ちょっとばかし変わってる、ね」


 「ちょっとじゃないだろ」


 ははは、と笑って誤魔化している鳳如に、ライは小さくため息を吐きながらも、翼を広げて鳳如に向けて風を撃つ。


 それは風のナイフのようで、風のライフルのようで、鳳如はあちこちに傷を作っていくが、未だ笑っている。


 「やれやれ。病み上がりだっていうのに」


 ライに聞こえないくらいの声でそう言った鳳如は、指先をパチン、と鳴らした。


 「!」


 すると、それと同時にライの周りにいつの間にか仕掛けられていた札が発動し、有刺鉄線が飛び出してきた。


 それはライの周りに籠のように出来上がり、気付けば翼を広げることも出来ない広さになっていた。


 「・・・これが狙いってわけか」


 有刺鉄線は徐々にライに近づいてきて、sの距離にライは思わず翼を最小限にまで縮め、身体も丸め出す。


 どうにかして有刺鉄線を、と考えていると、いきなり目の前のそれらは消えて、一瞬呆然としていると、その隙に鳳如がライの身体中に札を貼る。


 それを剥がそうとしても剥がれないため、ライは翼を広げようとしたのだが、どうにもこうにも広がらない。


 「無駄だよ。俺の札に捕まったら、逃げられない」


 「それはどうかな・・・!!」


 そう言って、ライは角を出しながら、無理に翼を広げようとした。


 すると、鳳如の札は少しずつ剥がれて行く。


 「あーあ。だから言ったのに」


 「え?」


 翼が広がった、と思った途端、ライの身体についていた札が一斉に鎖に姿を変え、翼を拘束した。


 同時に、ライの両手足も捕えた。


 「くっ・・・!」


 「先を読んでこそのトラップだろ?」


 にんまりと笑いながら言う鳳如に、ライは顔を精一杯あげて言う。


 「俺がこの鎖を解いたらどうする?」


 「次の札は一斉に槍で攻撃する仕掛け」


 「槍を全て凌いだら?」


 「地面に仕掛けた札で地中50メートルに落とす」


 「そこから這い上がったら?」


 「這い上がれないように、水攻めと壁もつるつるにして、さらに上から落雷する」


 「それでも這い上がってきたら?」


 「這い出てきた瞬間に爆発が起こるようにする」


 「・・・・・・」


 「・・・・・・」


 「・・・・・・」


 「だけどその鎖、解けないだろ?」


 悔しくてうんともすんとも言えなくなってしまったライは、ただ黙る。


 それを見て、鳳如はまたにっこりと笑う。


 「なぁに、殺す心算はねぇよ。ただ、大人しく帰ってくれりゃいいのさ」


 「ふん。親父とあの男と、どっちが強いと思ってるんだ」


 「・・・どっちって、そりゃあ」








 「わざわざ俺の相手をするとはな。やられた傷が癒えてるとも思えないが」


 「うるせぇよ。ただでさえあいつらに恥ずかしいとこ見せちまったんだ。俺に最後の一発入れてきたてめぇの相手をするのは当然だろ」


 「ほう・・・。俺が入れたのが分かってたのか」


 「馬鹿にするんじゃねえよ。こう見えて、俺はめっちゃ強いんだぜ?」


 帝斗とヴィルズの攻防戦は、一進一退といったところだ。


 まだ身体が鈍っているのか、帝斗は札を使ってヴィルズの動きを封じようと試みてはいるのだが、ヴィルズは素早い動きでそれを悉く避けて行く。


 翼も器用に使いこなし、帝斗と距離を離したかと思うと、一気に詰め寄ってくる。


 「ぐっ・・・!!」


 以前やられた傷がまだ痛むのだと気付いた。


 だからといって、こんなところで勝負を止めるわけにはいかない。


 こんな傷、昔感じていた焦燥感に比べれば何でもないじゃないかと。


 「!!」


 くらっと、眩暈を感じた。


 そういえば、まともに食事を取っていなかった。


 まったく情けないことこの上ない。


 あれだけの啖呵を切っておきながら、ヴィルズにまだ一発も入れられていない。


 「終わりか?」


 「んなわけねぇだろ!!」


 帝斗の拳をひょいっと避けると、ヴィルズは帝斗の背後に周り、帝斗の後頭部を鷲掴みし、そのまま全体重をかけて帝斗の顔面を地面にめり込ませる。


 翼の重みもあり、帝斗は呼吸もままならない状態になる。


 最初は手足を動かして抵抗していた帝斗だが、その抵抗がなくなり静かになるが、ヴィルズはそれでもどかない。


 少し経ってから身体をどかそうとしたとき、なぜかバランスを崩した。


 「!!」


 思わず後ろを見てしまったヴィルズは、すぐさま正面を向く。


 すると、そこにはすでに拳が鼻先にまで来ており、そのまま顔面に喰らってしまった。


 数メートル、踏ん張ってなんとかそこで留まったものの、翼の重さを考えれば、それでも結構な距離だ。


 「何をした」


 「へへ」


 顔の泥を裾で拭きながら、帝斗は歯を見せて笑う。


 「お前に倒されたとき、地面に札をめり込ませたんだ。お前が後ろにちょっとでも下がったら足元のバランスが崩れるように、そこだけ重力をかけておいた」


 「こんな子供騙しで、俺を倒す心算か」


 「おうよ。俺はいつだって有言実行だ」


 ヴィルズは帝斗に幾度となく攻撃を仕掛ける。


 帝斗は自分の周りだけに重力をかけ、まるでドーナツのような穴が出来た。


 翼を広げ空を飛んでいたヴィルズは、それを見て眉間にシワを寄せる。


 「何を考えている?それではただ狙い撃ちされるだけだ。お前に逃げ場はないんだぞ」


 「わかってるっつの。一々うるせぇな。お前は俺のおかんかっての」


 「そんなわけないだろう。第一俺は男であっておかんにはならない」


 「わかってるよ!本気で言ってねぇから!」


 冗談も通じないとぶつぶつ文句を言っていると、ヴィルズが足場ほどしかない帝斗に向かって、強い風を吹かせてきた。


 少しでもぐらついてしまえば、帝斗は深い深い穴の奥へと堕ちて行ってしまう。


 なんとか持ちこたえていると、帝斗はふと、何かに気付いた。


 だが、ヴィルズがついに帝斗のすぐ近くまでやってきて、その至近距離で翼を大きく広げてきた。


 「やっと近くまで来たか」


 「!?」


 帝斗は、仕掛けておいた札を全て発動させる。


 すると、帝斗が立っているところも、ヴィルズが飛んでいるところも、いきなり重力によって包まれてしまった。


 ヴィルズは何とか翼を動かしてそこから移動しようとするが、あまりの重力の強さに身体も翼もびくともしない。


 「まさか・・・!」


 「へへ。ご名答。これのために、俺は自分を囮にしたってわけだ」


 最早、帝斗のテリトリーに入ってしまったヴィルズは、ただその重力に逆らう事も出来ず、徐々に地面へと近づいて行く。


 「ならば、お前を殺せば良いだけだ!!」


 「そいつぁどうかな?」


 諦めたのか、ヴィルズは逃げるのではなく、その重力を利用して帝斗に攻撃を仕掛けようとしたのだが、帝斗は先程までいた場所からひょいっと動いて大きな足場へと移動した。


 「!?」


 どうして、と思ったヴィルズに、帝斗はしゃあしゃあと答える。


 「自分の能力に溺れるほど馬鹿じゃねぇっつの。ああ、あと忘れてたけど、俺って札使わなくても重力扱えるようになっててさ」


 そう言うと、帝斗は自らの身体を地中に埋め込むと、姿を消してしまった。


 重力によってすでに地面に足がつくくらいまで来ていたヴィルズだが、地面から出てきた腕に足が捕まり、そのまま翼ごと地面に埋もれてしまった。


 「よっと」


 飄々と地面から出てきた帝斗は、生首のように埋もれているヴィルズに話しかける。


 「あのよ、もしかしてお前の翼って」


 刹那、ヴィルズの目がギラリと光る。


 この話題には触れてはいけないのだと瞬時に悟った帝斗だが、ヴィルズは翼を思い切り動かして地面から逃れようとする。


 「・・・・・・」


 それをただ黙って見ていた帝斗。


 ヴィルズは地面から無事に脱出し、帝斗に対峙したまでは良かったのだが、翼が重くて動かせない。


 「悪魔の翼は重い。だけど悪魔はそれに気付かない。それは罪の意識がないからだ。重力となれば話は別だろ?」


 「俺の翼に・・・!!」


 「お互い様だろ?お前は俺の大事な場所を壊したんだ」


 帝斗の重力を埋め込まれてしまった翼に、ヴィルズもどうすることも出来なくなってしまった。


 「ここから出て行ってくれるときにはちゃんと解いてやるから」








 その頃、結界の外で戦い続けていたぬらりひょんと魔王。


 「このままじゃ決着つかんぞ」


 「・・・・・・」


 ふと、ぬらりひょんは視線を横に動かした。


 「いや、勝負は着くみたいじゃ」


 「何・・・?」


 魔王も、同じようにそちらに目をやると、そこには封印したはずの四神たちが少しずつ動き出しているのが見えた。


 完全に封印したはずなのに、と思っていると、ぬらりひょんが煙管を吸い始めた。


 「所詮、悪魔と鬼は別物じゃ。どれだけ強い結界や封印をかけようと、それは悪魔に有効なものじゃ。ワシらにとっては完全完璧なものじゃなかったというだけじゃ」


 「ふん。これだけ手こずっておきながら、そんな余裕を言えるとはな」


 「勘違いするでない」


 ふう、と煙を出すと、ぬらりひょんは冷たく言い放つ。


 「ただの人間だったあ奴等に攻撃を仕掛けた時点で、主らは恐れておったのじゃ。あ奴らに負けることをな」


 「それは俺達を侮辱してるのか」


 「どう受け取ろうと主らの勝手じゃ。だが、中は決着がついておるようじゃから、自分の目で確かめたらどうじゃ」


 「何・・・!?」


 よもや戦う心算の無さそうなぬらりひょんに、魔王は翼を広げてライたちの様子を見に行く。


 その背中を、ぬらりひょんはただ煙を吐きながら眺めていた。


 魔王がライたちの元に辿りつくと、そこには鳳如しかおらず、鳳如の足元にはライを始め、ダスラもヴィルズもいた。


 「ようやくご到着か。煙桜と帝斗も結界の方に向かったから、四神たちが動き出すのも時間の問題だな。そうなれば、あんたらをここから追い出すのも簡単だ」


 まるで無邪気な子供のような笑みのままそう話す鳳如に、魔王は掌を向ける。


 それに身構えようとした鳳如だが、魔王の後ろから現れた男たちに気付き、すぐにまた力を抜く。


 「これ以上ここで暴れるなら、ワシは主を赦さんぞ」


 「赦さないだと?この俺にかすり傷1つつけられなかった男が何を言うか」


 「・・・・・・」


 ひゅん、と何かが飛んできた気がした。


 それは魔王の頬を掠めて行き、少ししてからすう、と僅かな血が出てきた。


 「ほう、悪魔は血が出るんじゃのう」


 「・・・貴様」


 「こんなくだらぬ戦いは好まぬ。やるなら相手はワシ1人じゃ。もし今後またここを襲う様なことがあれば、ワシは主らをまとめて鬼の餌にしてやる」


 「・・・・・・」


 何か言おうとした魔王だが、その時丁度、四神の封印が解けた。


 「・・・・・・」


 深い海のように青々とした身体の青龍に、炎のように赤い朱雀、まるで白い草原のような毛並の白虎、そして闇さえ飲みこめるような黒い玄武、それから輝く黄金の毛並を持つ獅子。


 封印が解けた彼らは、それぞれの主のもとへと向かい、何かを話していた。


 「どうするのじゃ、ガイ。まだ戦うか?」


 さすがに、力を取り戻した鳳如たち全員と四神を相手にするなど、出来るはずもない。


 ヴィルズもライもダスラも、この通り戦える状況ではないのだから。


 魔王はため息を吐くと、黒い翼を広げた。


 「今回は諦めて帰るとしよう。だが忘れるな。俺達は決してここを諦めん。また貴様等と戦うことになろうとも、貴様が赦さないと言っても、な」


 そう言うと、魔王によってヴィルズたちの身体は解放された。


 だが、ダスラの翼は再生出来なかったため、ヴィルズとライによって抱えられながら去って行った。


 「おっかねぇなぁ。あれを簡単に解いちまうとは」


 「魔王もぬらりひょんも、本気じゃなかったってわけか」


 「帝斗、お前いつから長い髪が鬱陶しいって思う様になったんだ?」


 「思ってねぇから。別にそういうので切ったんじゃねえから」


 短くなった帝斗の髪を見て鳳如がそう言えば、帝斗は鳳如の両頬を抓って思い切り左右に引っ張った。


 そんな帝斗と鳳如を見て、琉峯と麗翔は安心したように笑う。


 「ん?」


 ふと、帝斗は自分の頭の上に何かを置かれたことに気付き、後ろを振り返る。


 そこには煙草を吸っている煙桜がいて、なぜだか帝斗の頭をわしゃわしゃと、撫でているのか遊んでいるのか分からないが、しばらくそこに手を置いていた。


 「なんだよ」


 「いや、あのままくたばってた方が良かったんじゃねえかって思ってよ」


 「はあ!?あのままくたばれるわけねぇだろ!?なんたって、俺はここのエースだからな!」


 「エース?誰が?」


 「俺だよ俺!帝斗が!」


 「帝斗はまだ頭が元に戻ってないらしい」


 「いや煙桜、その調子なら戻ってるよ」


 「あ、そうか。これが帝斗か」


 「鳳如も煙桜も俺に酷くね?」


 今回結構頑張ったんだけど、と小さく付け足していた帝斗に、煙桜は掴んでいた頭を軽く叩いた。


 「わーってるよ。よくやったな」


 「へ・・・?」


 そのまま煙桜は歩いて行き、オロチに良い酒が無いかと聞いていた。


 建物を復興させるにも時間がかかるが、部下たちにも戻ってきてもらい、なんとか7日で完成させることが出来た。


 しばらく力を使っていなかったためか、どのように使っていたのかを思い出す時間も必要で、ぬらりひょんたちはただそれを座敷わらしと共に見守っていた。


 夜、ぬらりひょんが1人で飲んでいると、そこへ珍しく煙桜がやってきた。


 特に何か言うわけでもなく、ただ近くにいって同じように酒を飲んでいるだけ。


 酒を飲みながら煙草も吸い始めた煙桜は、指で氷を溶かしながら空を見上げ、そこにあるまん丸ではない月に向かって煙を吐く。


 「あいつの、鳳如の身体はいつまでもつ?」


 「・・・それをワシが知っておると思うておるのか」


 「いや、思っちゃいねえが。目星くらいはついてるかと思っただけだ」


 「人を嫌う主が、よくもまああ奴には懐いておるのう」


 「懐いちゃいねぇよ」


 俺は犬か、と小さく笑いながら言う煙桜に、ぬらりひょんも微かに笑った。


 「あいつとライの戦いを見て確信したよ。あいつは歳も取れねえなら、死ぬことも赦されねえ。だがダメージだけは身体に残る。それでも生きなきゃならねえほど、あいつは何か罪を犯したってのか?」


 「・・・それは答えかねる。ワシにもどうにも出来ぬ問題故」


 「なら、なんであんな身体になっちまったのか、それだけでも教えちゃもらえねぇか?」


 鳳如の特殊な身体のことは知っていた煙桜だが、なぜそうなってしまったかまでは知らない。


 本人は絶対に話さないだろう。


 「・・・一言でいうなら、奴はここで犯してはならぬ神殺しをしたからじゃ」


 「神殺し?って・・・仲間を殺したってことか?あいつが?」


 「煙桜よ、あ奴がどんな奴か知っておろう。特別な理由もなく、そういうことをする奴と思うか?」


 「・・・・・・」


 「当時のことは、その場にいたあ奴にしか分からぬことじゃ。あ奴のことを信じるも信じないも、主次第じゃ」


 「・・・・・・」


 冷たい風が、煙を連れ去って行った。


 煙桜が何か言おうと口を開いた時、少し酔っぱらった様子の鳳如がいきなり現れた。


 ケラケラと笑いながら煙桜にもっと酒を飲めと勧めてきたため、煙桜は適当にあしらいながら部屋へと戻って行った。


 煙桜の背中にひらひらと手を振っている鳳如は、空を見たままのぬらりひょんに低い声で話しかける。


 「煙桜に余計なこと話してねぇよな?」


 「さてのう」


 「・・・俺の過去なんてどうでも良いだろって。あいつらには関係ないことなんだから」


 「・・・そうかのう」


 「ん?なんだよ、意味深な言い方して」


 「あ奴らも主も、そろそろ互いの過去を話しても問題無いと思うがのう。それだけの信頼関係は出来ておろうに」


 「信頼関係が出来てても、話したくねえことがあんのよ、俺にだって」


 「器の小さい男じゃ」


 「へいへい。俺は器もケツの穴も小せぇ男だよ」


 拗ねるように言いながら、手にもっている酒をぐびっと一気飲みする。


 そして目の前にいる琉峯、麗翔、煙桜、帝斗を眺める。


 「傷つけたくないなどと、そんなこと思う男ではなかったはずじゃぞ」


 「んな格好良いもんじゃねえよ。ただ」


 急に、強い風が通り過ぎた。


 それはまるで鳳如の言葉を連れて行くかのようにして、そこから消える。


 「ただ、何じゃ?」


 「・・・いや、なんでもねぇよ。それより、今回のは借りだな」


 「別に貸しなぞと思っておらんわ」


 「あ、じゃあ上等な酒が入っても俺達で飲んで良い?」


 「・・・今回のは貸しじゃ」


 肩を揺らして笑うと、鳳如はしばらくそこでぼーっとしていた。


 それから翌日になって、ぬらりひょんと天狗は帰ってしまっていたことに気付く。


 オロチはまだいたが、放っておいた。


 「煙桜」


 「なんだ」


 「稽古つけてくれ」


 「あ?稽古?いきなり何だ?」


 「いいだろ、別に」


 可愛げのない頼み方だが、煙桜は煙草を消してすぐに鍛錬場に向かった。


 髪が短くなったからか、帝斗の動きは以前にも増してキレが良くなった気がする。


 琉峯は2人の稽古を見て、自分も混ざりたいなと思っていたが、ただ大人しく体育座りでしばらく眺めていた。


 麗翔は・・・みんなの快気祝いとして料理をしていたなんて、口が裂けても言えないが。


 「帝斗、どうした?」


 「・・・なんか急に寒気が」


 その後、鳳如も交えた4人の男性たちが、麗翔の食事の餌食になったのは、言うまでもない。




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