第19話 不穏な7日目

 7日目

 今日、俺はまた事情聴取をしに行く。

 最後の事情聴取だ。

 最後、、、俺は"白雪姫"に会いにいく。

 俺だっていきたいというわけではない。

 しかし、王妃側の意見だけを取り込んだ状態ではまともな判断ができない。

 これに関しては俺が一番わかっているつもりだ、だからこそ、俺は公平に裁かないといけない。


 これは俺なりの"覚悟"だ。


 俺は白雪姫の部屋まで行き、ドアノブに手をかけた。


「まぁ、王子様ではございませんか!

 中へお入りください!」


「その前に!

 昨日のようなことをするのはやめてください。

 あらかじめ言っておきますが、俺はそれ系統の魔法にかからないという魔法をかけてもらっています。」


 そう、俺は朝一に


「なるほど、、、

 それでは、もう貴方に魔法をかけられませんねぇ、、、

 あーあ、今日こそいけると思ったのになぁ」


「な!?

 もう隠す気もない、か、、、

 では、部屋の中に入るまでもないですね。

 白雪姫、お前は明日の裁判で厳正に裁かれるだろう。」


「まぁ、怖い、怖い、、、

 でも、、、

 美しい花には棘がある、、、

 しかも、その花は簡単には引っこ抜けないものですよ、、、

 まだ、油断なさらずにお願いしますね。」


 ニヤァという不気味な笑顔を浮かべた白雪姫はスーッとドアを閉めた。


(ここまで呆気ないとは、、、

 でも、なぜ白雪姫はあんなにも余裕そうなんだ?

 冷静に考えてもう彼女にできることはないはずだが、、、)


 俺は心に大きなクレーターが残りながらも俺は部屋に戻った。


(久しぶりにこんなに静かな午後を迎えられた、、、

 長かったこのゲームも明日には終わる。

 王妃か白雪姫か、、、どちらかは必ず死ぬ。俺はひとまず、明日に備えなければ、、、)


 俺はそのまま眠ってしまった。


 裁判当日

 俺は事前の打ち合わせを他の補佐官などと一緒に終わらせ、ついに裁判まで残り30分となった。


「王妃様、心配しないでください。

 しっかりと状況が覆るくらいには準備をしています。」


 アディーがペスを励ましている。


(そういえば、アディーというやつもデスゲーム参加者だったな、、、)


 などと緊張感のないことを考えていると向こうから騒がしい声が聞こえてきた。


「ははは!

 白雪姫様が負ける?

 そんなのあり得ないですよ!

 大丈夫です。すぐ終わりますよ!」


 白雪姫と7人の小人たちだ。

 どうやら、両者揃ったらしい。


(うるさくなったり、喧嘩が始まったりしたら止めよう。)


 と思ったが、、、

 俺が思ってたような喧嘩も起きず、

 互いに目を一回合わせたきり話さなかった。


(まぁ、考えてみればそりゃそうか、、

 どちらかが死ぬ、、、

 これは言ってみれば、


 "デスゲーム"


 だ。

 そんな中で罵り合いなんか起きるわけがない。)


 30分が過ぎ、裁判所の扉が開いた。

 二人は立ち上がり、真ん中にある壇上への道をまるで動じていないかのように歩いて行った。

 俺もその列に続き、裁判長が座る席へと向かう。

 それぞれが持ち場につき、ついに裁判デスゲームが始まる。


「静粛に!

 これより、ヒルメ•アマテラス、またの名を白雪姫とパスラ•ペス、現王妃の裁判を始める!」


 俺は高々く宣言した。

 周りには国王をはじめにたくさんの重鎮たちが座り、その様子をまじまじと見ていた。

 俺はまた息を吸い込み、話し始める。


「今回の裁判は王妃が白雪姫を暗殺しようとしたことに対してのその正当性を問うという裁判です。

 もしも、正当性なしとされ場合には国を乱したという反逆罪に問われ、問答無用で死刑、

 正当性ありとされた場合には白雪姫が反逆罪に問われ、死刑となります。

 では、両者、証拠の提示をお願いします。」










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