デスゲーム in異世界

空秋(うろあき)茶

第1話 運命の出会い

 宝石のような瞳、


 天使のような笑顔、


 優しさに包まれた風格、


 これら全てを兼ね備えた、誰がどう見ても、


 "王女"


 にふさわしいと感じる女性がそこにはいた。


「さて、今日は読み聞かせをしますね!

 こっちに来てください。」


 その女性は自分の子供をベッドの上に呼んだ。

 しかし、本を開くわけでもなく、自分の記憶を探るかのように目を閉じ、話し始めた。


「昔、昔、あるところに勇敢で、心優しい少年がいました。

 その少年の名は、


 "ロキ"


 そう、このお話はその少年にまつわる奇妙な運命のお話、、、、」









「さぁ、もうここまでだ!この忌々しい魔王め!」


「くッ、重い一撃をもらってしまった。

 我としたことが、、、少し腑抜けたか、、」


 勇者一行の一人が剣を首元に突き立てる。


「これで、終わりだ。

 苦悩の魔王クレイジープリンセス

 レミリアよ

 最後に言い残したことがあれば、聞いてやらんこともないが、どうする?」


「クレイジー、、、か

 お前たちにはそう見えたかもしれないな、

 だが、そんな我でも、、、


 "娘の幸せ"


 を願うことぐらいはできる。


 ×!@_・?”Q


 これが、、我の人生、、最後の魔法だ、

 あとは頼ん、だ、ぞ」


「お前たち警戒を怠るな!!」


 バタッ、


 その瞬間、人間たちを脅かした魔王

 レミリアはいなくなった。

 そして、それが俺の"師匠"の最期でもある。

 俺はタナトス•ロキ、現在15歳。

 俺は元々、"勇者"になるはずだった___


 今から5年前、俺は日本でごく普通の学生をしていた。

 ある日の下校中、突然光が俺のことを包み、

 気がつくと真っ白な部屋にいた。


「ああ、やっと気がつきましたか。

 私は女神をやっております、ウリルと申します。

 以後お見知り置きを。」


 そこには、白い服を身に纏った美しい女性が立っていた。


 何故自分が選ばれたのか、しかし、謎の納得感があった。

 いや、納得したかったんだと思う。この平凡な生活から抜け出したくて。


「俺は何をすればいいんだ?」


「まぁまぁそう焦らずに、

 貴方には魔法、剣、なんでもありの異世界に行って"勇者"として魔王を倒しに行ってもらいます。」


「それだけ、、、か?」


「はい!それだけです!

 チート能力なんかはありません!」


「あはは、まぁそうですよね」


「では、そのゲートをくぐってください。

 あっちでは王様などが貴方を歓迎してると思いますよ!

 ご武運を祈っております。」


 俺は歩みを進めた。

 当時10歳の子供にとってはワクワクしただろう。

 だか、今の俺ならこのゲートはくぐらなかった。


「では、行ってきます!」


「あの、、、ウリル様、、、?」


「え!?これは違う?1年違うゲート!?

 じゃあ、あの少年は、、、

 ちょっと待って!入らないで!」


「え?」


 気がつくと俺は日本ではないであろう山の中にいた。


「あれ?ここは、、、どこ?」


 それからは地獄だったということ以外あまり覚えていない。

 魔獣がたくさんいるなかで7日間ほど逃げ回った俺はついに空腹で倒れてしまった。


 次に目を覚ましたのは薄気味悪い部屋のベッドだった。


「よう!小僧や、、、

 お主は山の中で倒れておった。」


 身長は当時の俺と同じくらいで黒とピンクの服に身を包んだツノが生えている少女、、、

 俺は迷わず頭を地面につけた。


「ごめんなさい!!

 ど、どうか命だけはッ!お願いします。

 お願いします。お願いします。お願い、、」


「一回黙らんか。」


 そういうと彼女は俺の顔をあげて言った。


「わしはそんな簡単に殺したりはせん。

 怖かっただろう、、、

 もう安心して、泣いてもよいぞ」


「う、うわぁぁぁーーーん」


 軽はずみで異世界にきてしまったこと、魔獣に何回も殺されかけたこと、

 俺は散々泣いたあと事情を説明した。


「なるほどのう。

 お主は勇者として呼ばれたのかもしれん。

 だが、その女神がミスった、、、

 それとも何かの陰謀かもわからんなぁ」


「そういえば、貴方は何者なんだ?

 こんなお城まで持っていて、、、」

 俺は恐る恐る尋ねた。


「ああ、言ってなかったか、、、

 わしはお主が本来倒すべき相手、、、


 "魔王"


 とでも言っておこうかの」


 一瞬の沈黙が流れる。


「も、もしかして、勇者である俺を殺そうとここに連れてきたのか?」


「いや、そうではない。

 しかし、お主には役目がある。

 それは、、、


 わしの弟子になることじゃ。」 


「え?弟子、、、?」


「ああ、そうじゃ、わしは弟子を探しておってなぁ。

 お前だったらこれからのことを成し遂げられると我の勘が言っておるのじゃ。

 これから、お前をビシバシ鍛えていくからな。覚悟しとけよ!」


 これが俺と師匠、レミリアとの出会いだ。












 




































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