第2話 茉白さんが心<其処>すきだ!!

「ってことで、成瀬の勉強見なきゃいけなくなって…茉白さん、ごめん!!3日間だけ、中間テストまでの勉強会、休んでいい?」


「別いいよ?貴方、馬鹿なの?自分で出来るって思ってるから引き受けたんでしょ?偉いじゃない」


「茉白さーん!!藍してるー!!」


「そんな色の愛はあんまり欲しくないな…」


「…なんで、そんなに俺の頭を読むんだ…」


「言ったでしょ?どんな問題より、簡単だからよ…」


「「ふっ…ふふふっ」」


ふたりは、笑い合ってそれぞれの教室へ向かった。




*****




「えー…このΣってなんですかぁ?」


「だからぁ…」


「もう!新くん、教えるの下手!!」


「…………」


「?怒らないの?」


「確かになぁ…。茉白さんは教え方めっちゃくちゃうまいんだよな…。だから、俺、普通コースに入れたんよ」


「…そう…ですか。新くんは特進コースに行きたいって思わなかったの?」


「はあぁあ!?馬鹿じゃねぇの!?無に決まってるじゃん!!俺は、普通で良かったの!!ほれ、問題解くぞ!!」


「はーい…」


(…ん?あれ?今の…なんか茉白さんなら突っ込まれそうな言葉だったような…)


しばらくして、帆積の勉強会を終え、ふたりで部活へ向かった。


「「おう!新!おっせ―よ!!大会ちけーぞ!!テストもちけーけどな!!」」


「おう!武吉!嘉津!お前ら補習コースで大会間に合うのかよ!?」


「「ウワ――――!!それを言わんでくれ――――――!!」」


ワイワイ言っている3人を見つめながら、帆積は、いつだって茉白を褒め千切る新たに…イヤ、茉白に憎々しい想いさえ抱いていた。




―図書室にて―


コンコン!


「?はい。今、私しかいないけど…だれ?」


「どうも。茉白さん」


「あぁ。鳴瀬さん」


「茉白さんて、なんで新くんと付き合ってるんですか?」


「なんでって?すきだからに決まってるじゃない」


「何処をすきになったんですか?自分に合わせて勉強頑張ってくれたからですか?新くんからアプローチしてくれたからですか?無理矢理勉強させて、お節介じゃないですか?新くんはサッカー部ですんごく大切な人なんです。もし、本当に新くんのことがすきなら、一緒に普通コースに進んで、一緒の道を歩いてあげれば良いじゃないですか。それが思いやりってもんじゃないんですか?なんでそうしなかったんですか?」


「…貴女、馬鹿なの?」


「!?」


「もし、私が新くんと同じ普通コースに進むなんて言ったら、むしろ、新くんは呆れて、私に幻滅して、嫌いになっていたんじゃないかしら?本当の思いやりを知りなさい。そんなことも解らないなら、あなたは新くんをすきでいる資格は無いし、サッカー部でマネージャーをやるのもどうかと思うわ」


「な!?」


「そうだぞ。鳴瀬」


「「あ、新くん!?」」


「思いやりと同状を一緒にするな!」


「…新くん、決めた所悪いけど、それは果たし状の状。同情は、と書くの」


「…やっぱり…こんな時でも俺の頭を読むんだな…。だけどな、成瀬。…だからこそ、俺は茉白さんといて心地いい。俺はなんの隠し事も、遠慮もなく、茉白さんと真正面から向き合えるからな。それが解らないなら、俺は、一生茉白さんを裏切って、お前を選ぶことはしない。まぁ、何が怒っても、茉白さんと俺を引き裂こうなどと思うな。無里だ」


「…新くん、怒りを覚えるのは確かだけど、そこは、起こるに、里ではなく、理科の理よ」


「…ふむ。解った。やっぱり鳴瀬。お前をすきになることは無いし、茉白さんが心其処すきだ!」


「…貴方、馬鹿なの?そんなこっ恥ずかしいことをサラリと言わないで…。そしてではなく、ね…」


「…やっぱり、こんな時でも、俺の頭を読むのだな…。まぁ鳴瀬。俺たちは、お前に引き裂かれるような簡単な仲じゃない。茉白さんにこれ以上、迷惑をかけるな」





「…っ!」





ダダダダダダダ!!!!帆積は、何にも、言えず、ただ、階段を駆け下りるばかりだった。


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本当の思いやりを知りなさい。 @m-amiya

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