6/17 「自殺探偵・希死念リョーコ」制作ノート
先日、新作「自殺探偵・希死念リョーコの事件簿」をアップしました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330658903913099/episodes/16817330658903932631
良かったら読んでみてくださいね。
今日は、この作品の制作意図について、日記に残しておこうと思います。
●コンセプト
「とにかくライトに!」が中心コンセプトです。
極端で分かりやすいキャラクター。淡々と出来事を記述する読みやすさ全フリの文体。人物の心情描写も最小限に抑え、また戯画的に単純化して、複雑な動きを一切させない。
そのうえで、密室殺人事件という定番中の定番を、読みやすい6000字サイズの文章に詰め込む。
ハッキリ言って、普段の僕の作風とは真逆ですので、今まで僕の作品を気に入って読んでくれた人にはウケが悪いんじゃないかな……という覚悟で書きました。
バトルシーンもなく、文章のリズムや語彙の美しさ、専門用語の不可解さなどの魅力を一切入れずに書いているため、作者的にはかなり省エネです。
ですが、こういう書き方もやってみて、新しい道を探してみたい……という意図でした。いかがだったでしょうか。
●希死念リョーコについて
サクサク書けました。
常日頃からやんわり「死にたいなあ」と思ってる人間の考えなら、なんぼでも浮かんでくるというか……
希死念慮を抱えたキャラは、「勇者の後始末人」の死術士ミュートとか、過去に何人か書いてきましたけど、その中でもほぼ初めての「死にたい気持ちを笑いの種にする」というスタイルの主人公です。
作者自身の「死にたさ」を、ストレートに悲劇や狂気として描くと、どんどん話が重たくなってしまう。でもジョークに昇華させれば、ライトに笑い飛ばすこともできるのではないか?
そのうえで、助手ココロちゃんという理想的な伴侶・理解者を設定することで、病んだ人間の「こんな子にそばにいてほしい」という気持ち、病んだ人間を支えてくれている人の「そう、こういうの困るんだよな」という気持ち、その両面に共感を呼べたらいいな……と考えて書きました。
ただ踊る道化は道化ではない。王の狂気を茶化し、からかい、笑いの中に真実の針をひと刺ししてこそまことの道化。
リア王の道化は、王の狂気が深化するのに反比例してどんどん常識的になっていきますが、そうなってしまったらいよいよマズいんじゃないかな、と最近思います。頭の中に自分を茶化す道化師を養い、己の中の「おかしさ」を笑いとばさなければ。
リョーコさんはつまり、僕にとっての大切な道化師なのだろうと思います。
なお、頭のイカれた半病人のコミュ障探偵と、仏のような寛容さでそれを支える親友兼助手、というとりあわせは、シャーロック・ホームズとワトソン君のオマージュでもあります。
ホームズ最大の名言は、
ワトソン「誰か君の友人が訪ねてきたんじゃないか?」
ホームズ「僕には君以外に友人なんていないよ」
だと思う。
●ミステリ要素について
掛け値なしに、コレが僕のミステリ初挑戦です。
いちおう、ミステリものはそれなりに読んでいるのですが、自分で書いた経験は全然ないから、トリックや、その情報開示をうまい具合に面白く演出できたかどうか?
僕は作者である以上、もちろん真相を全て知った上で書いてますので、読んだ時に「おおっ」という驚きが得られるかどうか、そもそも「なるほど、こういうことだったのか!」と理解できるかどうか、さっぱり実感がありません。
そこらへん、もし読んでみて「大丈夫! ちゃんとトリックを書けてたよ!」という方は、ぜひ作品への応援コメントか何かで、知らせていただけると嬉しいです。
逆に「いや、こうはならんやろ」とか「何が起きたのかよく分からなかった」という声も、聞かせてもらえると嬉しいです。
以上、制作ノートでした。
もしコレが上手くいくようなら、シリーズ化して続きを書いてみたい気持ちもあるのですが……現状、Twitterでの感想アンケートは「おもしろい/つまらない」が五分五分。これは普段よりかなり低い結果です。
うーん……どうだろうな。悩み中。
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