だから俺は死ぬべきだ


 最近、またちょっと気分が落ち込んでおります。


 僕には、以前から異常に気分が乱高下する悪癖がありまして。

 テンションが高いときには、驚くべき行動力で未知の世界に飛び込んだり、新しいことに挑戦したり、仕事をテキパキ片付けたりするのですが……

 逆に落ち込んでいる時期は、ベッドに横たわって起き上がれなくなり、大好きな趣味も全く面白くなくなり、飯を食うのもおっくうになり、わけもなく独りで涙ばかりこぼしています。


 こうした周期的な気分の上下に、もう二十年近くも振り回されてきたのですが、いいかげんどうにもならなくなってきまして。

 先日きちんと専門医の診察を受け、お薬を処方されました。



   *



 こういう薬って、「ほんとに効くの?」という疑念が、どうしてもぬぐいきれないのですが……

 あ、ちゃんと効いてるのかな? と実感する出来事が、最近ひとつありました。



 気分が落ち込んだとき、たいてい僕は、小説のことからつまずき始めます。

 ついこのあいだも、「俺は文章が下手だー」とか、なんかうじうじ言いだしまして。

 これが危険信号です。なぜならそこから、


「俺は文章が下手だ」

→「だから俺には小説が書けない」

→「小説が書けない俺はクズだ」

→「クズは死んだほうがいい」

→「だから俺は死ぬべきだ」


 って論理展開で、独りでどんどん落ち込んでいきます。

 なんたる論理の飛躍。鬱のインフレスパイラル。



 しかしふと気づいたんですね。

 今は、この連鎖がない、と。

 連鎖の入り口で止まっている。

 もっと言えば、自分のこういう発言を「なんかうじうじ言い出して」と突き放して客観視できているという点で、かなりまともな精神状態を保てているように思えます。


 これが薬の作用なのか、単にまだ落ち込みが本格化してないからなのか、それはよく分かりません。

 しかし、「また落ち込み始めたな」と自覚してから数日経った今、早くも平常のテンションに復帰しつつあるような感覚があります。

 普段なら一度落ち込むと数週間から2ヶ月ほど希死念慮がやみませんので、そのことを思えばかなり程度が軽い。


 やっぱり薬のおかげなのかな?


 医学、薬学、人類の知恵というものは、まことに凄いもんだなあ……と、しみじみ思うダクさんでありました。

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