第7話 ボス戦配信


 私たちはダンジョンの最下層まで到達した。


ブゥウウウウン!!


「順調ですね! ひと……じゃなかったダンジョンライダーさん!」


「うん! もう直ぐボス戦だよ!!」


「あ! あの真っ赤な門はなんでしょうか!?」


「ボスルームだね」


「じゃあ開けるのはどうやって?」


「勿論、このまま突っ込む」


「えええええええええ!?」



バキィイイイイイイイン!!



 扉を破壊してボスルームに突入。


『ちょっwwwwww』

『無茶しすぎ!!』

『そこもバイクかいw』

『降りろしwww』

『盛大に吹いたwwww』

『強引wwwwwww』

『もう好きすぎる』


 眼前には大きなカエルの怪物が居座る。

 体高は20メートル前後だろうか。


 こいつもこのままバイクで倒せたら楽なんだけどな。


「とりあえずチャレンジしてみよっと」


 しかし、


バィイイイイ〜〜〜〜ン!!


 やっぱり弾かれた。

 ボスはちょっと強いんだよね。


「どうしますか? ダンジョンライダーさん」


「うん。降りて戦おう」


「ひと……。じゃなかった。ダンジョンライダーさんが戦うのですか?」


「ふふふ。まさか。戦うのは相棒だよ」


 新しいスキルを試したいしね。丁度いいや。


「バゴーザー!  馬神バジンモード!!」


『ウマッ!!』


ガシャーーーーーーーーーーーンッ!!


『うぉ! 変形したぁあ!!』

『変形すんのかーーいw』

『馬顔のゴーレムか!!』

『ちょっとカッコイイな』

『え、なんかワクワクする』


 ふふふ。


「これが可変ゴーレム。 馬神バジンバゴーザーよ!」


『可変ってそういうことか!』

『バイクに変形するゴーレムね』

『かっけぇ!』

『熱い!!』


 よぉし。んじゃあ、スキルを試して行きますか。

 まずはモンスターの名前からいこう。


「バゴーザー! モンスター図鑑!!」


 大きなカエルの化け物の前に表示が浮かび上がる。


『イービルブリザードイーター』


 うん。

 なんか強そうな名前だな。


『ちょ! そのカエル!?』

『え!? マジでイービルブリザード!?』

『イービル種!?』

『イービルとかマジ!?』

『おいおい。ガチかよ!?』


 ほえ?


「みなさん、このモンスター知ってるんですか!?」


「うわぁあ!! ひと、じゃなかったダンジョンライダーさん危ないです!!」


 イービルブリザードイーターが飛んで来た。

 私たちをその巨体でぺちゃんこにする算段ね。


「バゴーザー!! 私とカメラマンを連れて避けて!!」


『ウマ!!』


 バゴーザーは即座に動く。

 私とウロちゃんを抱いて大きくジャンプした。


 私たちは邪魔だな。

 

「カメラマンちゃんは私と一緒に離れよう!」


「は、はい」


 カエルは冷たい息を吹いた。

 その冷気でバゴーザーは凍ってしまう。

 そこにカエルの舌攻撃が入ってしまう。


ドゴォオンッ!!


 バゴーザーは10メートル以上吹っ飛ばされた。


『うわ! 大丈夫か!?』

『ゴーレム弱っ!』

『ピンチピンチ!』

『負けとるがな』


 ふふふ。

 甘く見てもらっちゃ困るっての。


「立って! バゴーザー!!」


『ウマッ!』


 その体には傷一つなかった。


『うお! 防御力高っ!』

『頑丈w』

『強いな』

『凛々しいw』


 よし。

 今度はこっちが攻撃だ。


「バゴーザー!  鎖拳チェーンフィスト!!」


 拳が飛んで行く。

 命中するとカエルは仰け反った。


 この隙は逃さない。

 新しい技。


「バゴーザー!  馬神バジンカッター!!」


 頭部に付いた馬の立て髪を模した刃。それを外して相手に飛ばした。


 うーーん。

 いかんせん、カッターが小すぎるな。

 カエルの巨体には効かないかな?


 などと思っていると、

 それはクルクルと回って、刃の周囲に巨大な風圧を纏わせた。


ザクゥン!!


 カエルの右手を切り落とす。


『ゲコォオオッ!!』


 おお!

 風圧で切ったのか!!


 カッターはクルクル回ってこちらに戻り際にカエルの左手も切り落とす。


『ゲゴォッ!!』


 おおおおお!!

 効果は抜群!!


 じゃあこれでとどめだ。


「バゴーザー! 速射火炎ブレス!!」


 バゴーザーの口から巨大な炎が発射された。




ボゥワァアアアアアアアッ!!



 

 イービルブリザードイーターは断末魔と共に燃え尽きた。


『ゲゴォオオ……』


 地面に残ったのは魔晶石である。


 よし!


「流石です! 瞬殺でした!!」

 

『ウマ! レベルアーープ!! レベルが11から12になりました。能力 白馬モードを覚えました』


 やったね。

 新しい能力が増えた。

 今回は、上がったのは1レベルだけか。この前はもっとレベルが上がったんだけどな。

 流石に上がりにくくなっているのかもね。


『すげぇえええええ!! S級モンスターを倒しやがった!!』

『すごすぎ……』

『つええええ』

『これはプロのゴーレムマスターだな」

『S級の探索者さんですか?』

『本当に女子高生??』

『S級モンスターがこんなにあっさりと……信じられん』

『S級モンスターがザコに見えるwww』


 ほえ?

 S級モンスター??

 みんな何言ってんだろ?

 これは初級者ダンジョンだから、せいぜいD級とかそんなもんだと思うけどね。

 全部のコメントに反応するなんて大変だからな。ある程度スルーでいっか。


「魔晶石もらっとこっと♪」


 アイテムボックスの能力があるからそこに収納だな。


「バゴーザー! アイテムボックス!」


 すると、バゴーザーの前に真っ黒い穴が開く。

 この亜空間にアイテムを入れれるんだな。便利〜〜。収納っと。


「ダンジョンライダーさん! 大変です!!」


「どしたの?」


「再生数見てください!!」


 ほぅほぅ。どれどれ?


「300くらいいっちゃったとか? あはは。それはないか」


 え!?


「じゅ……。10万再生……!? 嘘でしょ?」


「リアタイで見てる数字がこれなだけです。こ、これ……アーカイブ配信でまだまだ増えますよ」


 うわぁ……。

 すごいことになってしまった。

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