第2話 デートです。

(岳編)

前回、なんやかんやあって有紗と動物園に行くことになった。女子と出かけたことが一切なかった俺は、刃にデートの練習を頼んだ。

刃は「全然いいよ!」と言ってくれた。

そして翌日、刃と動物園デートの練習をすることになった。

「お待たせー!」刃が走ってきた。

「うん。」俺はそう返すと、刃が「違う。こういう時は「全然待ってないよ!俺も今来たところ。」って言うの。」とやり直しをさせられた。

そしてまた刃が「お待たせー!」と走ってきた。

俺は言われた通り「全然待ってないよ!俺も今来たところ。」と言った。

そして刃に「正解!だから、有紗より早く来ないとダメだよ!」と言われた。

「うん!…よし、行こう。」

刃は、「もし、何か見たいと言ったら、この順番は先送りでいい。」と言ってライオン、猿、パンダ、象、キリン、ペンギンの順番で見た。

そして刃は「多分、ここら辺で一旦休もうってなるから、フードコートに座る。」と言って、座った。

そして数分して立ち上がり、その後も色々な場所を周った。

数分後、動物園を出た。「動物園を出た後、すぐバイバイじゃなくてあそこのカフェで一休みしてからバイバイの方がいい」と近くのカフェを差した。

そして窓側の席に座り、「カフェラテ一つお願いします。」「アイスコーヒー一つ。」と頼んだ。かしこまりましたと店員さんが言った後刃が「お願いしますもつけた方が…別にいいと思うけど、そっちの方がいいかも。コーヒーが届いたら「ありがとうございます」って言ったらかっこいいと思う。」と言った。

カフェラテとアイスコーヒーが届き、刃が「ありがとうございます。」と言ったので、さっき言っていたことを見習い俺も「ありがとうございます。」と言った。

すると刃が完璧、とニヤニヤして親指を立て、グッドポーズをした。

カフェラテとアイスコーヒーを飲み終わった後「お会計はとりあえず今は俺が。本番は岳が。」と言って払った。

「ありがとうございました。」と店員さんが言った後、刃が「ご馳走様でした」と言い、先に刃が店内から出た後、刃がドアを押さえて、俺も出た。

そして「出る時まで細心の注意をはらってね!」と言った。

桜の木が連なる道を歩いている時、「ん。」と刃が手を差し伸べてきた。それが何かわからなかった俺は首を傾げた。

「手を繋ぐ。最後。ここ人気少ないし。男同士でも。だってただの練習だし。」と言ってきたので、俺はその手を握った。「ほ、本番では、岳から手を繋ぐこと。」と言い、少し歩いた後、「ここら辺で…もう告白しちゃおう!練習だけど、俺は何も教えない。自分の言葉で。」と言った。

俺は刃の方を向き「高嶺の花の君と俺はきっと釣り合わないと思うけど、俺は高二の時有紗に一目惚れをしました。そして、実際に喋ったら素敵な人でもっと好きになってしまいました。好きです。付き合ってください。」と言った。

刃は、少し俯き「よし。これではいって返事があったら」と言い、ハグをし、顔を近づけてきた。「成功したらキスしよう。」といい近づけてきた。あと数センチで唇が触れてしまうというところで刃は止まり、俺を突き放した。そして刃はあっちを向いて笑いながら「ごめんごめん。笑。まあ、練習。今は俺がしたけど、本番は岳がするんだよ!」と言いこっちを向いた。

そして刃は「もう一回手を繋いで。」と言い今度は恋人繋ぎをすると言ったので、恋人繋ぎをし、そのまま歩いた。

そして、公園に行き、「これは練習とかじゃなくてただの休み。公園で一休みしよう。」とベンチに座った。

さすがにその時は手を離していた。

ベンチに座ると、眠気と疲れがどっと襲ってきた。でもベンチで寝るわけにもいかないなとうとうとしていると、

「膝、枕代わりに使って。」と言われたので俺は言葉に甘え、仰向けでベンチに足を伸ばし膝枕をしてもらった。

この公園に人はいなかったので、ベンチのスペースを全て使い、足を伸ばした。


起きた時、刃が顔をばっと上に向け、「も、もうちょっと寝ててよかったのに。二十分しか寝てないよ。」と言った後下に目線を落とした。

「ありがとう。でももう大丈夫だよ。」と俺は起き上がった。そして二人で立ち上がり、家に帰った。

家に帰った後電話が来て「明日頑張れよ!」と言われた。


そして迎えた決戦日。この間コーディネートしてもらった服で向かうことにした。

「お待たせー。ごめん待った?」

「全然まってないよ!俺もさっき来たばっかり。」

「まじ!じゃあ、行こう!」

刃が木に隠れて見守ってくれるというので、木の方を見た。

すると、刃が木から顔を出し、頑張れと親指を立ててきた。

俺は親指を立て返した。

「岳くん、ペンギン好き?」

「うん。」

「じゃあペンギン見に行きたい!」

有紗に手を引っ張られ、俺はペンギンのところまで走った。

「わー!可愛い!」

「有紗くらい可愛い。」

「…ちょっとやだなー、もう!」

「いや、本当に。」

「て、て、て、照れるなー!…ありがとう!」

「いえいえ。」

俺たちは、ペンギンを見た後、ライオン、猿、パンダ、象、キリンと色々な動物を見て周った。

すると有紗が、「少し疲れたからどこか座ろう」と言い始めた。だから、動物園のフードコートに座った。

「岳くん、今日は文化祭のことは話さずゆっくり楽しもうよ!」

「全然いいよ!」

有紗からそんなことを言われるとは予想もしてなくて嬉しかった。

有紗と雑談をしていると、スマホに通知が届いた。

刃からだ。『今どんな感じ?』と来た。

『文化祭の話はしないで楽しもうだって!今雑談中。』

と送った。すると『まじ!その調子じゃん!行け!』と来た。俺は『うん!』とだけ返してスマホの電源を落とした。

「誰から?めっちゃニヤニヤしてたけど」と有紗がニコニコして言ってきた。

「刃から。」

「刃くんか!二人は本当仲良いよねー!」

「中学の頃、友達いなかったんだよね。唯一の友達が刃でさ。他校だったんだけどね。」

「ほぉー。それで意気投合して同じ高校に…。もう運命じゃん!」

「そうかな?でも、確かにこんなに自分を大切にしてくれる友達いないよ。」

「そっか…刃くんがそんなに大切にしてくれるのであれば、岳くんも刃くんを大切にしないとだね。大切にしてくれる友達こそ、手が離れてどこかへ行ってしまうものだから。大切にしないと。」

「…うん。」

すると有紗が立ち上がって

「さあ、第二回戦と行きますか!」と言った。

「だね!」俺も立ち上がって有紗の横に行った。

「ていうか岳くんの私服ってこんな感じなんだ!めっちゃかっこいい。」

「ありがとう。有紗の服もめっちゃ可愛い。似合ってる。」

「ありがとう!嬉しい!」

その後も色々な動物を見た。

予定通りの順番で動物を見た後、動物園を出た。

スマホに刃から通知が届いた。『順調順調!』と来た。俺は昨日やった練習のように「アイスコーヒー一つお願いします」と言ってアイスコーヒーが届いた時「ありがとうございます」というのを心がけた。そしてまたまた刃から通知が届いた。

『斜め前の席で見守ってるからねー!』と来たのでそっちに視線を向けると小さく手を振っている刃を見つけた。

俺は微笑んだ。すると「どうしたの?」と有紗が不思議そうな顔をして後ろを向いたので、やばいと思い「あ、あの絵!カフェとかに飾られてる絵って綺麗だなって。」と紛らわした。「なるほど!確かに、綺麗。」と納得してくれたのでほっとした。

また刃から通知が届いた。『びびった。笑』と来たので『俺のファインプレー』にドヤ顔の絵文字をつけて送った。

そして、有紗にバレないように机の下で小さくグッドポーズをした。刃も小さくグッドポーズをした。

アイスコーヒーを飲み終わり、俺が払った後、「ご馳走様でした。」と言って俺が先に店内を出た。そしてドアを押さえ、有紗が出やすいようにして店内を出た後桜の連なる道で二人並んで歩いていた。そしてスマホに通知が届いて『手、もうそろ繋いじゃおう。』と来た。俺はそっと有紗に手を差し伸べて、握った。有紗はびっくりして手を見た。

スマホに通知が届いたが、見ることができなかった。

そして昨日告白の練習をした場所で止まり、「ちょっとお話ししたいことがあります。」と有紗の方を向いた。

「なに?」とこっちを向いた有紗の顔は少し赤かった。

俺は昨日の告白の練習の通り言った。「高嶺の花の君と俺はきっと釣り合わないと思うけど、俺は高二の時有紗に一目惚れをしました。そして、実際に喋ったら素敵な人でもっと好きになってしまいました。好きです。付き合ってください。」

すると有紗がお辞儀をして「ありがとうございます。私も好きです。よろしくお願いします。」と言った。

スマホがめちゃくちゃ震えている。通知がたくさん届いている。

俺は「よろしくお願いします」と言ってハグをした後、昨日の練習の通り、キスをした。最初は唇が触れる数センチのところで止まったが、有紗の方から近づけてきたので、唇と唇が触れた。

そして恋人繋ぎをし、歩いた。

スマホは二回ほど震え、そこから震えることはなく止まってしまった。

チラ見した時、『俺もう帰るね!』と来ていた。

二人でいる時にスマホをいじるのはダメだと思い、無視をしてしまったが、帰り有紗と別れた後、返事をした。

『ごめんね、ありがとう』と送って『俺も楽しかったわ!』と来た。とりあえず電話をした。

「おめでとう!俺嬉しいわ!嬉しくて泣いちゃった。」

刃の声は鼻声だった。

「丸わかり。鼻声だもん。でも、本当ありがとうね。色々ここまで。」

「いや、俺こそ。いいもの見せてくれてありがとって感じ。ていうか、ここまでじゃなくてこれからも色々サポートするからね!」

「ありがとう。じゃあ今日はもう夜遅いから。また明日!」

「うん!また!」

電話を切り、ご飯を食べ、歯磨きをし、楽しい一日は終わった。


(刃編)

岳と有紗がデートすることになった。

俺は女子と出かけたことがない岳のため、練習に付き合うことにした。

「お待たせー!」俺は岳のもとに走った。

「うん。」

「違う。こういう時は「全然待ってないよ!俺も今来たところ。」って言うの。」とやり直しをさせた。

そしてまた俺が「お待たせー!」と岳のもとへ走った。

岳は俺が言った通り「全然待ってないよ!俺も今来たところ。」と言った。

「正解!だから、有紗より早く来ないとダメだよ!」

「うん!…よし、行こう。」と岳は歩き出した。

「もし、何か見たいと言ったら、この順番は先送りでいい。」と言ってライオン、猿、パンダ、象、キリン、ペンギンの順番で見た。

そして俺は「多分、ここら辺で一旦休もうってなるから、フードコートに座る。」と言って、座った。

そして数分して立ち上がり、その後も色々な場所を周った。

そして動物園を出た。

「動物園を出た後、すぐバイバイじゃなくてあそこのカフェで一休みしてからバイバイの方がいい」と近くのカフェを差した。

そして窓側の席に座り、「カフェラテ一つお願いします。」「アイスコーヒー一つ。」と頼んだ。かしこまりましたと店員さんが言った後俺が「お願いしますもつけた方が…別にいいと思うけど、そっちの方がいいかも。コーヒーが届いたら「ありがとうございます」って言ったらかっこいいと思う。」と言った。

カフェラテとアイスコーヒーが届き、俺が「ありがとうございます。」と言ったので、さっき言っていたことの通り、岳も「ありがとうございます。」と言った。

そして俺は完璧、とグッドポーズをした。

カフェラテとコーヒーを飲み終わった後「お会計はとりあえず今は俺が。本番は岳が。」と言って払った。

「ありがとうございました。」と店員さんが言った後、俺が「ご馳走様でした」と言い、先に俺が店内から出た後、俺がドアを押さえて、岳も出た。

「出る時まで細心の注意をはらってね!」と言った。

桜の木が連なる道を歩いている時、「ん。」と俺が手を差し伸べた。それが何かわからなかったのか岳は首を傾げた。

「手を繋ぐ。最後。ここ人気少ないし。男同士でも。だってただの練習だし。」と言って、岳はその手を握った。

「ほ、本番では、岳から手を繋ぐこと。」俺は初めて手を繋いだので緊張しながらそう言い、少し歩いた後、「ここら辺で…もう告白しちゃおう!練習だけど、俺は何も教えない。自分の言葉で。」と言った。本当は告白なんてしてほしく無いけど、幸せになってほしい。

岳は俺の方を向き「高嶺の花の君と俺はきっと釣り合わないと思うけど、俺は高二の時有紗に一目惚れをしました。そして、実際に喋ったら素敵な人でもっと好きになってしまいました。好きです。付き合ってください。」と言った。

これが、有紗に対する岳の気持ち。言葉。愛の言葉。

俺にはこういう言葉はもらえないのかと思うと悲しくなったが、今の練習の言葉が俺に対するものだと無理矢理思った。

俺は少し俯き「よし。これではいって返事があったら」と言い、ハグをした。そして顔を近づけてた。「成功したらキスしよう。」といい近づけた。いっそのことこのままキスをしてしまおう。あと数センチで唇が触れてしまうというところで俺は止まり、岳を突き放した。何をしているんだ。今は明日の告白の練習。だめだ。そう言い聞かせ、俺はそっぽを向いて笑いながら「ごめんごめん。笑。まあ、練習。今は俺がしたけど、本番は岳がするんだよ!」と言い岳の方を向いた。涙をグッと堪えて。

そして俺は「もう一回手を繋いで。」と言い今度は恋人繋ぎをした。半分口実だけれど。

そして、公園に行き、「これは練習とかじゃなくてただの休み。公園で一休みしよう。」とベンチに座った。

さすがにその時は手を離していた。

離したくなかったけど、離した。

ベンチに座ると、一瞬で岳がうとうとし始めた。

今日、慣れないことばかりで疲れたのかと思い

「膝、枕代わりに使って。」と言った。何言ってるんだ。と思って「やっぱりいいよ。」と言おうとしたが岳は膝の上に寝っ転がっていた。仰向けになり、この公園に人はいなかったので、ベンチのスペースを全て使い、足を伸ばして寝っ転がっていた。

岳は一瞬で寝てしまい、「岳?」と声をかけても起きなかった。「寝たか。」と呟き、俺は手元にあったスマホを触っていた。二十分ほど経った時、岳が「ドーナツサンドウィッチ…」と寝言を言い始めた。

可愛いな。と思いながら、俺は寝ている岳に顔を近づけて、唇を近づけて、「俺のものにできないのかな。」と呟き、

キスをした。

すると岳が「ん…。」と起き始めたので、俺はすぐに顔を上にあげた。

俺は「も、もうちょっと寝ててよかったのに。二十分しか寝てないよ。」と言って、岳に目線を落とした。

「ありがとう。でももう大丈夫だよ。」と岳は起き上がった。そして二人で立ち上がり、家に帰った。

家に帰った後電話をかけ、「明日頑張れよ!」と言った。


次の日。

俺は岳と動物園に行ったあと、俺は木に隠れて有紗を待っていた。

「お待たせー。ごめん待った?」

「全然まってないよ!俺もさっき来たばっかり。」

「まじ!じゃあ、行こう!」

昨日言ったことができているな。と思い一安心している時、岳がこちら見てきたのでグッドポーズをした。

グッドポーズを返してもらったあと、

有紗に手を引っ張られ、岳はペンギンのところまで走っていた。俺はそれについて行った。


岳たちは、多分有紗の要望でペンギンを見た後、ライオン、猿、パンダ、象、キリンと俺が教えた順番で色々な動物を見て周った。

そのあと岳たちは動物園のフードコートに座った。よし。昨日の練習通りだ。

俺は岳たちが楽しそうに笑っているので、順調なのかなと思い、スマホを開き『今どんな感じ?』と送った。

『文化祭の話はしないで楽しもうだって!今雑談中。』

と来た。だから『まじ!その調子じゃん!行け!』と送った。岳は『うん!』と元気そうなビックリマークをつけて返してきた。とても楽しそう。俺もその時は微笑ましくて思わずニコニコしてしまった。

少し経つと、二人の顔が真剣な表情に変わった。文化祭の話はしないんじゃ…?と思ったが、二人の話だ。割り込むことはない。

そのまま有紗が立ち上がった。岳も立ち上がって有紗の横に行った。その表情は笑顔に変わった。よかった。

その後も色々な動物を見て周っていた。

俺は木に隠れながら見守っていた。

予定通りの順番で動物を見た後、二人は動物園を出た。

俺も一緒に動物園を出た。

俺はカフェに一分後くらいに入り、二人の斜め前の席に座った。そしてスマホを取り出し『順調順調!』と送った。岳は昨日やった練習のように「コーヒー一つお願いします」と言ってコーヒーが届いた時の「ありがとうございます」ができていた。俺はスマホを取り出し『斜め前の席で見守ってるからねー!』と送った。すると岳から視線を向けられ、俺は小さく手を振った。

岳は微笑んでくれた。するとその微笑んでいる岳を見て「どうしたの?」と有紗が不思議そうな顔をしてこっちを向いたので、岳は焦りながら「あ、あの絵!カフェとかに飾られてる絵って綺麗だなって。」と紛らわした。すると有紗は「なるほど!確かに、綺麗。」と納得してくれていた。

俺は『びびった。笑』と送り、岳からは『俺のファインプレー』にドヤ顔の絵文字をつけて返事が来た。

そして岳は、有紗にバレないように机の下で小さくグッドポーズをした。俺も小さくグッドポーズをした。

コーヒーが飲み終わり、岳が払った後、「ご馳走様でした。」と言って岳が先に店内を出た。そしてドアを押さえ、有紗が出やすいようにして店内を出た後桜の連なる道で二人並んで歩いていた。俺は急いで店内を出て、木に隠れながら『手、もうそろ繋いじゃおう。』と送った。岳はそっと有紗に手を差し伸べて、握った。「よし。」と俺は思わず呟いてしまった。そして有紗はびっくりして手を見た。

俺は『順調。』『最高!』『ナイス!』『これ勝ち確だよ。』『いける!成功する!』と送った。当然、二人の時間なのだから、スマホは見れないのはわかっていたが、どうしても送りたかった。そして昨日告白の練習をした場所で止まり、岳は有紗の方を向いた。

昨日の通りだ。

有紗も岳の方を向いた。

そして岳は有紗に告白をした。

すると有紗がお辞儀をした。どっちのお辞儀かわからなかったが、ニコニコしていたので、多分成功だ。

俺は『え、成功!?』『まじ!』『やばい、俺泣く。』『おめでとう!』『すごいよ!』『頑張った甲斐があったね!(泣)』などと送った。

岳はハグをした後、昨日の練習の通り、キスをした。

唇と唇が触れた。

そして恋人繋ぎをし、歩いた。

俺が教えたこと、俺がこうしろと言ったこと。それは知っていたが、キスをしているのを見てやっぱり胸が苦しくなった。早くその場から離れたかった俺は『おめでとう。』『俺もう帰るね!』とだけ送って、その場から離れた。

チラ見した時、『俺もう帰るね!』と来ていた。

帰って、俺は部屋の中でずっと泣いていた。

情けない。情けないけれど、涙が止まらなかった。

こうするしかない。この二人を結べば全て解決すると思っていた。でも俺の心はそう簡単には動かなかった。

数分経って岳から『ごめんね、ありがとう』と来た。

『俺も楽しかったわ!』と送ると、岳から電話がかかってきた。どうしよう。鼻声だ。…嬉し泣きということにしよう。

俺は電話に出て、「おめでとう!俺嬉しいわ!嬉しくて泣いちゃった。」と言った。

「丸わかり。鼻声だもん。でも、本当ありがとうね。色々ここまで。」

「いや、俺こそ。いいもの見せてくれてありがとって感じ。ていうか、ここまでじゃなくてこれからも色々サポートするからね!」

「ありがとう。じゃあ今日はもう夜遅いから。また明日!」

「うん!また!」

電話を切り、俺はスマホを強く握りながら泣いていた。

スマホには数滴、涙がついていた。

楽しい一日でもあったが、それは俺に辛さを与える日でもあった。


(有紗編)

男の人に初めて遊びに誘われた。

それも好きな人。

私はとりあえず家の近くのカフェに和哉を呼び出した。

「よっ!」

「よ。」

「今日はありがとう。和哉、デートとかしたことある?」

突然の問いに「なんだ急に。」と戸惑っていた。

私は「いや、実は明日さあの岳くんに遊びに誘われて。」

「それって危険なやつじゃないよな…?」と和哉が眉間に皺を寄せて言った。

「動物園!」と言うと「…んだよ…びびったじゃねえか。」

と怒ってきた。

「ごめんごめん。で、色々聞きたくて。」

「とりあえず告ったら?」と普通の顔で言われたので私は「は!?!?!?」と店内に響く声で叫んだ。

「すみません…。」

謝って座ったあと「いやいや、流石に無理だよ!」とコソコソと言った。

「いや、一緒に遊びに行くとか告白のチャンスすぎだろ。」

「でも急になにこいつ、きもって思われるかも」

「そんなこと思う奴こっちから願い下げだよ。」

「まあ確かに…。」

「あとは手を繋ぐとか?」コーヒーを飲みながらまた、平然とした顔で言った。私は口に含んでいた水を吹いてしまった。

「おい!」

「手、手、手を繋ぐ?!」

「それは一旦いいからこれどうするんだよ。」

「んあー!!!!ごめん!!!」

私はすぐにハンカチで拭いた。

「んで…キスするとかは?」また平然とした顔ですごいことを言うので、もう一度水を吹いてしまった。

「お前まじ許さねえ。」

「いや、き、き、キスはやばいよ!!」

「だから、それは一旦いいから、これ!」和哉は自分のTシャツを指さした。

「んあー!!!!ごめん!!!」

「もうお前飲み物禁止。」

「ごめん…」私はハンカチでめちゃくちゃ拭いた。

和哉は私のハンカチを持っている手を引っ張り、

「そいつはこんな面知らねえんだよな。」と顔を近づけてきた。

「見せたくもないわ!」と言ってティッシュやハンカチなどで拭いていると、カフェの前を刃くんが通った。

「あ。」と見つめていると和哉が「例の岳くん?」と言ってきた。

「例の岳くんのお友達。刃くん。」

すると、刃くんの認知度はすごいらしく「あー、あの。」

と、あの和哉でもわかるくらいだった。

席に座り直し、水を飲もうとすると和哉が水を奪い取ってきた。「じゃあ、何も言わないで。水飲み終わったら喋っていい。」と言うと、水を返してくれた。

無事、飲むことができた。

そして、水を没収された後、「ちょっと家行っていい?」と言われたので、お会計をして家にあげた。

「あらー、和哉くんじゃない!いらっしゃい。」とお母さんが出迎えた。そして上の階の私の部屋に行った。

「服、決めるぞ。」と唐突に言われなんのことか分からず呆然としていると、「だから明日の服。こんなダサいのじゃダメだ。」と服の中心に《ジャパン》と書いてあるTシャツを指を差してきた。

「いいじゃんこれ!可愛くない?」

「超ダサい。クロゼットの服全部出せ。」と言われたので全部出した。

でも、服は《納豆》だったり《ラーメン》などと書いてあるものばかりだった。

「これじゃあ選びようがねぇな。」

「えぇー。全部可愛いよー。」

「何言ってんだよ。全部ダサ…いけど、これはいいな。」

とピンクの花柄のブラウスと白の膝丈スカートを手に取った。

可愛い系は着るのに抵抗があって着ていなかった。

「これ、可愛すぎる感じで着れなくて。」

「ファッションってそう言うもんなんじゃねぇの?ま、とりあえず着てみて。俺外出て待ってる。」

着てみて、鏡で確認した。

「うーん…」

ドア越しに「いいー?」と聞こえる。

私は「うん。」と答えた。

部屋に入ってきた和哉は、

「めっちゃ似合ってる。」と言ってきた。

「そ、そう」

「髪も変えて。」和哉が「明日、アレンジしてあげる」と言っていた。こう見えて和哉は、妹がいる。妹のやつをよくやるうちに身についたらしい。


当日。

和哉が家に来た。

「お願いします。」

部屋にはヘアゴムやヘアアイロンを用意しておいた。

「やってもらう気満々だな。とりあえず床座れ。」

和哉がベッドに座り、アレンジをしてくれた。

「へぇー!可愛い!」

「ハーフアップした後結んだ髪を二束に分けてそれぞれくるくるしたあとくるくるした二束をさらにくるくるして一つにしたあと毛先を結んでお団子にしたらピンで止める。

お花みたいなお団子完成ってわけよ。」

「詳しい…」

「とりあえず頑張れよ。告白、手繋ぐ、キス。忘れずにな。」

「だからそれは…」

振り返った時、和哉が私の顎を持ち上げた。顎クイだ。

「キスとか、恥ずいの?もしかしたらあっちから、かも。しれないな。笑」とバカにしたように笑ってきた。

「は、恥ずかしくない!できますとも!見てなさい!」

「はいはい。」

和哉はそのまま自分のバッグからバッグを取り出した。

「あの服にはこれが合う。」

サーモンピンクのハンドバッグを渡してきた。

「これ、どこで?」

「姉ちゃんが。使わないからあげてだって。」

「えー!ありがとうございます!!」

「言っとくわ。はい。荷物用意したら出るぞ。送る。」


動物園まで和哉に送ってもらったあと、先に待っている岳くんがいた。

「お待たせー。ごめん待った?」

「全然まってないよ!俺もさっき来たばっかり。」

「まじ!じゃあ、行こう!」

「岳くん、ペンギン好き?」

「うん。」

「じゃあペンギン見に行きたい!」

私は岳くんの手を引っ張り、ペンギンのところまで走った。

岳くんとペンギンが見れるのが嬉しくてつい舞い上がってしまった。

「わー!可愛い!」

「有紗くらい可愛い。」

と、とても面白い冗談を言うんだな!岳くんは!

「…ちょっとやだなー、もう!」

「いや、本当に。」

じょ、冗談じゃない!?!?どういうこと!?なんで!?

「て、て、て、照れるなー!…ありがとう!」

「いえいえ。」

私たちは、ペンギンを見た後、ライオン、猿、パンダ、象、キリンと色々な動物を見て周った。

私が「少し疲れたからどこか座ろう」と言った。

そして動物園のフードコートに座った。

「岳くん、今日は文化祭のことは話さずゆっくり楽しもうよ!」

普通に楽しみたい!好きな人と出かけるんだもの!

「全然いいよ!」

優しいんだな…岳くんって…。

すると、岳くんがスマホを見てニヤニヤし始めた。

私はつい、「誰から?めっちゃニヤニヤしてたけど」と聞いてしまった。

「刃から。」

「刃くんか!二人は本当仲良いよねー!」

よかった。女の子じゃなくて…。

「中学の頃、友達いなかったんだよね。唯一の友達が刃でさ。他校だったんだけどね。」

「ほぉー。それで意気投合して同じ高校に…。もう運命じゃん!」

「そうかな?でも、確かにこんなに自分を大切にしてくれる友達いないよ。」

「そっか…刃くんがそんなに大切にしてくれるのであれば、岳くんも刃くんを大切にしないとだね。大切にしてくれる友達こそ、手が離れてどこかへ行ってしまうものだから。大切にしないと。」

中学の時、親友だと思っていた子に大切にされていた。

でも、自分が大切にできず離れて行ってしまった。

岳くんも同じ目にあって欲しくない。

「…うん。」

私は立ち上がって「さあ、第二回戦と行きますか!」と言った。

「だね!」岳くんも立ち上がり、一緒に歩き始めた。

「ていうか岳くんの私服ってこんな感じなんだ!めっちゃかっこいい。」

「ありがとう。有紗の服もめっちゃ可愛い。似合ってる。」

「ありがとう!嬉しい!」

その後も色々な動物を見た。

たくさん見て満足となった時、動物園を出た。

そして「カフェで一休みしよう」と言われた。

「アイスコーヒー一つお願いします」

「ホットコーヒー一つ。」

岳くんはお願いしますまだ言うんだな。

感激していると、アイスコーヒーとホットコーヒーが届いた。岳くんは「ありがとうございます」とはっきり言っていた。しっかりお礼も言えるんだ。とまた感激してしまった。

感激していると、岳くんが私の後ろの方を見て微笑んでいた。なんだろう…と思い、「どうしたの?」と聞きながら後ろを向いた。

「あ、あの絵!カフェとかに飾られてる絵って綺麗だなって。」

「なるほど!確かに、綺麗。」一瞬、なにか見えていたのかと思いびびった。

コーヒーを飲み終わり、岳くんが払ってくれた。

岳くんは「ご馳走様でした。」と言って店内を出た。

礼儀正しいな。と思っていると、私が出やすいようにドアを押さえてくれた。

桜の連なる道で二人並んで歩いていた。

ロマンチック…いつ告白しよう…。そればっかり考えながら桜を見ていると、岳くんが手を握ってきた。私は思わずびっくりして手を見た。

岳くんは一旦止まり、「ちょっとお話ししたいことがあります。」と私の方を向いた。

「なに?」と顔の赤みを抑えながら岳くんの方を向く。きっと少し赤かったと思う。

何を言われるのかとドキドキしていたら

「高嶺の花の君と俺はきっと釣り合わないと思うけど、俺は高二の時有紗に一目惚れをしました。そして、実際に喋ったら素敵な人でもっと好きになってしまいました。好きです。付き合ってください。」と言われた。

私の返事は一択しかなかった。

私はお辞儀をして「ありがとうございます。私も好きです。よろしくお願いします。」と言った。

岳くんは嬉しそうにニコニコしながら「よろしくお願いします」と言ってハグをしてきた。

そして、キスをしようとしてきた。

でも岳くんはあと数センチで唇が触れるというところで止まった。

今日言われた、「キスとか、恥ずいの?もしかしたらあっちから、かも。しれないな。笑」を覆してやる。

と思い、私からキスをした。

そして恋人繋ぎをし、歩いた。

帰り、私は岳くんと別れた時和哉に電話をした。

「もしもし!」

「その様子、告白されたな。」

「なんでわかるの!」

「お前が自分から言えるわけない。」

「くそー!まあ、無事恋が叶いました!」

「よかったよかった。今どこ?電話してるってことは一人?てことは…駅?」

「そう!」

「じゃあ行くわ。」

和哉は電話を切り、数分後、駅に来た。

「よ。」

「よっ!」

「おめでとう。」

「和哉、そんなこと言うんだ。」

「お前、俺をなんだと思ってるんだよ。」

「うーん…ゴリラ?」

「お前、今すぐ破局させに行くぞ」

「嘘嘘。色々ありがとうね。」

「お前そんなこと言うんだ。」

「和哉、私をなんだと思ってるの?」

「地球外生物。」

「それゴリラより酷くない!?」

「ははっ笑。まあ、帰るか。色々聞かせろよ。」

「えっとねー…」

今日一日、めっちゃ楽しかった。

まさか、あっちから告白されるとは思ってなかった。

この両思いは幸せをくれるのだろうか。辛さをくれるのだろうか。怖いけど、好きなうちに好きでいておこう。



第三者)

岳の告白が成功してよかった!

そして有紗の恋が叶ってよかった…

けど、刃ー!刃がキスしようとして突き放した時、もどかしくてもどかしくて…。でもベンチでキスしたのはびっくりした。

自分のものにしたいけど、好きな人のため、好きな人には好きな人を好きでいてもらいたいってことなんでしょうね。

苦しい…(泣)

部屋で泣く刃が苦しくてやばいです。


次回が気になるな。

次回。

岳、ラブラブ。

刃、岳と距離を取る。

有紗、刃の秘密に気づく…?


ぜひ見てください!

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