雪は積もれど春は来る ―ユキヤナギ―

 しなやかな枝に、のある小ぶりで純白の花を鈴なりに咲かせるユキヤナギ。

 人の背丈ほどもある株全体に雪が積もっているかのようなたたずまいは、自らの存在を主張している感じはない。それとは反対に、気品があって柔らかく包み込むような印象を受ける。


 ひかえめな甘い香りを春風に乗せて、誰かが振り向くのを待ち続けるユキヤナギ。内に秘めたるはきっと、誰かに届くはずだ。


 その人が振り向けば、そこには春が訪れる。

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