テクニック6 氷山理論
次にご紹介するクリエイティブ・ライティングのテクニックは「氷山理論」です。氷山理論は、物語の表面上に見える部分(氷山の頂上)だけでなく、その下に隠れた部分(水面下の氷山)も意識して描写する方法です。このテクニックは、アーネスト・ヘミングウェイが提唱したもので、彼の作品に特徴的なシンプルで簡潔な文体と深いテーマが隠された物語が成立する理由となります。
氷山理論を用いることで、読者は物語の表面上の出来事だけでなく、登場人物の心情や背後にあるテーマを自分で考察することができます。これにより、読者は物語に深く没入し、自分なりの解釈を楽しむことができます。
例を挙げて説明します。
ある物語で、兄弟が家の中で緊張した空気の中で会話をしているシーンがあります。氷山理論を用いた場合、この兄弟の会話を短く、具体的な言葉によって描写し、直接的に彼らの葛藤を明かさずに、読者にその背後にある感情や関係性を推測させます。
練習として、物語のシーンや登場人物の会話を、氷山理論を念頭に置いて書いてみてください。表面上の描写や会話に留まらず、登場人物の心情や物語の背後にあるテーマを考慮しながら、読者に解釈の余地を残す文章を目指してください。この練習を繰り返すことで、氷山理論を効果的に活用した物語を書けるようになります。
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