テクニック4 チェーホフの銃

 次にご紹介するクリエイティブ・ライティングのテクニックは「チェーホフの銃」と呼ばれるものです。チェーホフの銃とは、物語の中で重要な役割を果たす要素を、初めから伏線として張り巡らせておくテクニックです。ロシアの劇作家アントン・チェーホフにちなんで名付けられました。彼が「もし第一幕で銃が登場するなら、それは最後までに発砲されるべきだ」と述べたことからこの名前がついています。


 このテクニックを使うことで、物語の結末や重要な展開が突然であっても、読者は納得感を持って受け入れることができます。また、伏線が回収される瞬間は、読者にとって驚きや喜びをもたらすことがあります。


 例を挙げて説明します。


 物語の序盤で、主人公が遺品整理をしている最中に、亡き祖父から受け継いだ一本の古い鍵を見つけるシーンがあります。その時点では、鍵の意味は明らかにされていません。物語が進むにつれ、主人公が祖父の秘密や家族の過去を探る中で、鍵が重要な役割を果たすことが明らかになります。


 練習として、物語の初めの方で伏線として登場させるアイテムや出来事を考えてみてください。そして、物語の後半でそれらがどのように回収されるか、どのような意味を持つのかを考慮しながら、物語を構築してみてください。この練習を繰り返すことで、チェーホフの銃のテクニックを効果的に使いこなせるようになります。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る