第30話 夏の合宿 ぶつかり合う

一輝「いくぞ!!!」

一輝は勢いよくタックルに向かった。

しかし、先輩方のフィジカルにあっけなく吹き飛ばされた。

練習とは訳が違く本気のぶつかり合いなのだ。

一輝「はぁはぁ...ふぅ」

斎藤先輩(9番ハーフ)「丸山!!よそ見するな!パスだすぞ!」


一輝「は、はい!!斎藤先輩!」

一輝はボールを受け取った。

しかし、目の前から猛烈なスピードで敦(6番)がタックルにきた。

一輝は綺麗に腰に入られターンオーバーするほどのタックルを食らった。

一輝「ぐっふぅぉぉぉぉっっ」

胃液が多少出るほどの衝撃だった。


敦の後ろから後続選手が一輝の持つボール前に並んだ。

そして守道チームの選手達もラックに入った。

しかし、一輝は身動きが取れずのノットリリースザボールの反則を食らった。

ノットリリースはタックルされた選手がボールを放さなかった時に取られる反則だ。


種美選手(10番)「おい、なにやってんだよタコ。ぶっとばすぞ...」

近くにいたからはっきりと聞こえた。

一輝は少し体がすくんだ。

守道(1番)「一輝、気にすんな」

相手チームのスクラムで試合が再開された。

そのあとも志免島(15番)や村雨キャプテン(8番)、坂戸双子によって点差が開いた。


チームの雰囲気も段々悪くなってきた。

試合が終わり選手達は休憩をした。

守道先輩「この試合は負けたけど次は気を引き締めて頑張るぞ」

次の試合も負けてしまった。

そして、野太いがらがらの声で「集合!!」と呼ばれた。

一斉に監督の元に集まった。


監督「お疲れ様、今回Aチームが素晴らしいゲーム展開だった。その調子でどんどん技術を伸ばしてくれ。他のチームは負けた回数分の×10本で走り込みをするように。以上」

一輝は真っ青になった。

伊沼「まぁ、今日はしょうがない。20本頑張ろうか...」

守道先輩「おい!!気合い入れて走れ!!!」


100mもあるグランドを往復で走った。

一輝「夕飯まで間に合うのか...はぁはぁ」

伊沼「諦めんな、頑張ろう」

すると後ろからパンッと頭を叩かれた。

種美先輩だ。

一輝「いって~っ...」

守道先輩「おい!!!種美!!!!」

種美「あ?なんだよ」

守道先輩「オメーまた一年にちょっかいかけてんのか?そんなんだから色んな人に嫌われんだろうが!」

種美先輩「うるせー、こいつの指導だよ。舐めた態度とかプレーしないようにな」

守道先輩「ふざけてんじゃねーぞこのやろう!!」


二人は取っ組み合いの喧嘩になった。

それを見かけたAチームの先輩や他の人達も止めに入る。

牧 ゆうなマネージャー(3年)「ちょっとやめて!二人とも!!」

村雨キャプテン「おい!やめろ!二人とも!!」

辺りは修羅場になった。

しばらく喧嘩が続くと雷を打つような声がした。

監督「おい!!!なにやってんだテメーら!!!」


皆がシーンとなった。

喧嘩してた二人も借りてきた猫のように大人しくなった。

監督「くだらねー喧嘩してんじゃねーよ。これがチームか?ワンチームじゃないんか?俺はあえて走り込みさせたんだよ。Bチームはなにかとギスギスしてたからなにか原因があるかなってな。正直今日の試合はつまらん。皆が本気で楽しくラグビーしてないからな。」

続けて

監督「こんなんじゃ、県ベスト8なんか越えられねーぞ!!!もっと気合い入れて仲間を大事にしろ!!全員連帯責任で本気走り込み20本だ。やれ」


一輝は更に青ざめた。



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