第22話 下準備
一輝は走り込みで疲れきった。
進藤コーチに弱みを握られつつ、次の合宿でも頑張るように言われた。
敦は途中から走り込みに参加して先輩達からしごかれていた。
宇佐見はちょっかいをだされているけど、とりあえずは何事もなく事が進んだ。
いよいよ、夏休みに突入して一試合してから合宿に向かう予定である。
そして合宿前の練習試合当日。
相手は、いつもお世話になっている
篠原高校のラグビー部達である。
合宿でも宿屋が同じの学校だ。
監督はいつもの自前の椅子でどっしりと構えながらお相手の監督の到着を待う。
我ら羽瀬和高校は、ストレッチをして軽くパスやタックル練習をした。
しばらくするとお相手の高校が到着した。
監督「どうも、今日はよろしくお願いします」
相手の監督「本日もよろしくお願いします。先日の飲み会楽しかったです!それから...」
二人の会話を聞くときほどヒヤヒヤした時間が過ぎる。
そう、練習試合では怒られる事がほとんどなのだから。緊張しまくるのである。
お相手のチームと楽しくラグビーの基礎練習をした。
モールの組み方やスクラムでの押し合い。
タックルの練習からラインアウトの競り合い。
それからバックス達のライン練習。
ラグビーは2つの種目に別れてやることがたくさんなのだ。
戦術的な部分でも相手を疲れさせディフェンスの数を減らす攻撃をしなければならない。その駆け引きがラグビーの醍醐味である。
そして、選手達は準備を終えて試合を開始した。
まずは先輩方が試合にでて、キックオフをし試合開始!
先輩方は横に一列を成し相手を向かい入れた。
激しく守道先輩(1番)のタックルが鳴り響く。
相手は勢いのあまりボールを手放した。
3年の井部矢先輩(4番)の大きな「ターンオーバー!!」と声と共にボールを獲得した。
3年の金井先輩(12番)にボールが渡った。
端には3年の志免島先輩(15番)、最速のエースが待っていた。
すると間から種美先輩(10番)が「こっちによこせ!!」すかさず志免島先輩もパスを要求した。
金井先輩は志免島先輩にボールが渡ると思い。種美先輩に渡した。
すると種美先輩は逆の方向にクロスし始めて相手のスキをついて突破してしまった。
種美先輩「俺にかかればチョロいチョロい」
種美先輩は後続のディフェンスを軽々避けてトライまで持ち込んだ。
キックの得点もありさらに2点追加。
志免島先輩「金井、なんで俺に渡さなかった?」
金井先輩「渡そうと思ったけど種美が間にいたし渡してくれるのかなと」
志免島先輩「馬鹿か、奥がフリーだから突破できた。真ん中突っ切って突破する方がリスキーだよ。まあアイツのことだからチームなんて関係ないと思ってるだろ」
金井先輩「そうですね、次から気を付けます」
再度キックオフで試合が再開された。
相手に得点を許すも村雨先輩率いるモールでトライや志免島先輩の圧倒的なスピードで得点を繋いだ。
試合は21対12で羽瀬和高校が勝利した。
一年生は、相手チームと合同練習になった。
一輝「敦、最近元気ないけど大丈夫?」
敦「ああ、大丈夫だ。それより足痛くね」
一輝「そうだね、走り込み連続続きだったから辛かったよ」
敦「俺も途中参加で申し訳ないけど」
一輝「気にしなくて大丈夫だよ!補修は大丈夫だったの?」
敦「なんとかな」
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