第21話 それでも
昨日は疲れすぎて宇佐見に話すことができなかった。
お昼休みに宇佐見の教室に向かった。
一輝「宇佐見君、昨日は大丈夫?」
宇佐見「え?昨日?ああー、大丈夫だよ。いつものことだから」
一輝「いつもやられてるの?」
宇佐見「ちょくちょくやられるけど、大したことじゃないよ。中学時代に比べたらね」
一輝「僕と同じ...辛い思いしたんだね」
宇佐見「全然平気、一輝君は大丈夫なの?」
一輝「ぼ、ぼく?僕は大丈夫だよ。先輩達と上手くやってるつもり」
宇佐見「そっか、上手くやれてていいな。そういえば敦君とも仲良かったね」
一輝「そうだね!今度一緒に話そうよ!見た目は怖い奴だけどいい奴だよ!」
宇佐見「ありがとう、でもそういうの苦手でお誘いありがとうね」
一輝「そ、そうか」
横から2人の声がした。
宇佐見と同じクラスの渋谷と鴨川だ。
渋谷「昨日見てたぞ、酷かったな」
鴨川「そ、そ、そ、そうだね。酷かった、うん」オドオドしながら答えた。
一輝「鴨川君、なんでいつも不安そうなの?」
鴨川「え、え、え、ふ、不安?そんなことな、ないよ。き、きみは不安じゃないの?」
一輝「う、うん」
更に後ろから大声がした。
伊沼「辛気臭ぇぇ、顔すんなよ皆!楽しくいこうぜ!がははは!」
一輝「伊沼君はポジティブでいいね👍️」
伊沼「当たり前だろ!先輩にやられたかなんだが知らねーけど、見返してやれ!ほら宇佐見!今日もがんばるぞ!」
伊沼は宇佐見の背中を軽く叩いた。
伊沼「おっと、そろそろ休み時間終わるから一輝教室戻っとけよ」
一輝「うん!また後で!」
一輝は教室をでた。
キーンコーンカーンコーン
一輝の心の声「やっべ、次体育だった!!」
一輝はすぐに体操着に着替えてグランドに向かった。
残念なことに体育担当の進藤コーチがクラスを集めて点呼を取っていた。
進藤先生「10番大島!」
大島「はい!」
進藤先生「11番丸山!」
シーン
進藤先生「あれ、丸山いないのか」
グランドの奥から大きな返事が聞こえた。
進藤先生「あいつ、遅刻か」
一輝「ぜぇ、先生、はぁ、すいません、ぜぇ」
進藤先生「そこに立ってろ。点呼続けるぞ」
しばらくして点呼が終わった。
進藤先生「これは監督に報告だな」
一輝「先生そんなぁぁ、ここはこの笑顔に免じて許してください!」
進藤先生「やめろ、その不気味な笑顔!んー、じゃあ今日の練習で人一倍がんばったら内緒にしといてやるよ」
一輝「先生~、だいすき!」
進藤先生「いいから、真面目にやれよー。ほい次の科目いくぞー」
冷や汗をかいたがなんとかなった。
体育が終わり残りの授業を済ませ部室に向かった。
そこでは何事もなく皆が着替えていた。
バックスの釜崎や伊藤その他メンバーは早くグランドに出ていた。
一輝「宇佐見君、がんばろうね。なにかあったら言ってね」
宇佐見「うん、ありがとう」
一輝は宇佐見を支えながら部室を出た。
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