第14話 成果

ここ1ヶ月間一輝は岡本先輩や敦の指導の元タックルが上達してきた。

先輩とも仲が良くなり笑い合う姿が敦の目に写った。

ある土日の練習の日。

本格的な試合形式の練習試合が行われた。

お相手は立教高校が相手だ。

県内ではそこそこの実力のある高校だ。

スターディングメンバーが呼ばれた。

村雨キャプテン率いる3年生メンバー14人と2年生の岡本先輩がでた。

一輝は初めて岡本先輩の凄さに気づいた。


午前試合前アップ練習が行われた。

一輝は2年生の西岡先輩とタックル練習を行った。

西岡先輩はOBとのタックルをさせられてるときに笑った先輩だ。

一輝は怒る素振りはなくむしろ練習成果を試す時とわくわくしていた。


一輝は勢いよくバチっ!!っと西岡先輩にタックルを浴びせた。

すると西岡先輩は鳩に豆鉄砲を喰らったような顔になり勢いよく倒された。

一輝は思わず喜んだ。

監督もチラチラっと一輝の方向をみた。

少しニヤッとした顔が浮かんだ。

西岡「おま、少しは手加減しろ」

一輝「すいません、でもどうでしたか」

西岡「あの時よりは強くなってる。ビックリした。だれに教わった?」

一輝「岡本先輩です!」

西岡「岡本ねー、なるほど。それは上手くなるわけだ」


西岡「岡本は一年の時から異彩を放っていてな夏辺りからレギュラーに選ばれてたよ。将来は大学ラグビーを目指すんだと」

一輝「うわぁぁ、凄いですね!!」

西岡「よかったな、教わって」

一輝「今度西岡先輩も練習しましょう!」

二人は談笑した。

野太いがらがらの声で「集合!」

部員は一斉に駆け寄った。

マネージャー達は自分の持ち場で準備をしていた。


監督「よし、学年変わった1発目の試合だ。気合い入れてけ。上学年は一年にラインアウトやスクラムを教えてやれ。バックスの素質のあるやつはパスの練習と3on3をやってくれ、以上。」

部員達「はい!!」

一斉に散らばり科目ごとに別れた。

ラグビーにはフォワード(FW)とバックス(BK)に別れる。

フォワードはスクラムを組むのとラインアウトはボールが左右のラインにでたさいに行われるサッカーのスローイングのようなものだ。


バックスは攻めの際に斜めにラインを張り素早くパスを回し敵陣を突破する役割がある。

説明しているうちに試合が始まりそうだ。

進藤コーチ「集合!!」

部員達は一斉に集まり、進藤コーチからユニフォームを受け取った。

スタメン(スターディングメンバー)にユニフォームが行き渡り、交代の人はビブスを着た。

一斉に着替え監督の話を聞いた。

監督「いつも通りに展開してくれ。ディフェンスはしっかり徹底するように。攻めは積極的に毒島や飯田に回して突破するように」

毒島先輩と飯田先輩は3年のバックスの選手だ。

足が非常に早く突破力もある。


選手達はグランドにでた。立教高校の選手達もグランドに出て対極する形で挨拶をした。

そして選手達は位置に着いた。

先行は羽瀬和高校。

村雨キャプテンが大きく前方にボールを蹴りあげた。

キックオフで相手の陣地にボールを蹴って跳ばすルールだ。

一斉に村雨率いる選手達が一本の棒になり敵を迎え入れた。


ボールをキャッチした相手選手は左に展開した。

一人にパスし真ん中に突っ込んできた。

するとバチンッ!!と凄まじい音が鳴り響き相手選手は身動きが取れず押され倒された。

凄まじい音の正体は岡本先輩だ。

岡本先輩の上を選手達が「オーバー!!」と叫び倒れた体の上でラック(ボールより越えないように組み合う)を組んだ。羽瀬和高校の選手が押し勝ちボールを奪還した。

この時ラグビーではターンオーバーといいボールを奪うことができる。

羽瀬和高校の選手は一気に右にパスで繋いで展開しゴール直前まで押し込んだ。

羽瀬和高校のフォワード陣が集まりモール(前傾姿勢で体を繋ぎ合わせて固まりを作る)を組んだ。

相手選手はモールに入り込み押さえますが一気に押されてトライ!!

控室から拍手が起きた。一輝も思わず喜んだ。

追加得点のキックを入れて7点を先制した。


スクラム(サッカーの点数を入れられた時の開始方法)を組み更に試合は展開していき途中トライをされたが14対7の結果で羽瀬和が勝った。

すると野太いガラガラの声で「集合!!」

選手たちが集まった。

監督「いい試合展開だった。岡本ナイスタックルだった。それから村雨蹴りからのターンオーバー見事だった」

村雨先輩は8番だった。8番はスクラムの一番後ろで司令塔だ。フォワードの中では優秀な人がそこの位置につく。バックスとの連携もできて蹴りも上手い、申し分のない技術の高さだ。


そして今日は一年生の初初陣の日だ。

一年生は準備をして試合に臨んだ。




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