第18話 ◼️と◼️の◼️◼️

  

 日が変わり、龍樹が眠っている横で、龍はソレに気づいた。


 白亜の龍アルビオンだけが、ソレに気づいていた。


 ──見られている。


 自分龍樹人間を見ている。


 その事実に気がついた、瞬間。

龍樹を守る為にすぐさま行動した。

概念干渉により、寝室の空間をアルビオンの空間に書き換える。

 白亜の龍は現状出来る対処を全てそばで眠っている少年を守ることに費やした。


『貴様、覗き見とは感心しないな』


 アルビオンは虚空に、見ているであろう者へと声をかける。


「「────」」


 笑い声。


 瞬間。


 アルビオンは暗闇の中に囚われた。


『!?……何用だ?警告でもしに来たか?あぁ、それかダンジョンを崩壊させたことへの報復でもしに来たか?』


「「いやぁ、久しいなぁ?◼️◼️──いや今はアルビオンだったか?何、そう警戒するなよ。別に何かするわけではないよ?私/僕はただ話に来ただけだと言うのに。」」


 男と女の声。

二つの声が全く同時に発せられる。


『貴様と話すことはない。』


 アルビオンはその呼びかけに対し拒絶する。


「「なんだよつれないなぁ……何で呼び出したの聞いたりしないの?聞かれれば答えようと思ってたのに」」


 その声の主は、陽気に、軽々しく、まるで友人と喋ってるかのように話す。


『…………』


 それでいて尚、アルビオンはその存在に対して警戒を解くことはない。


「「へぇ、まだ警戒を解かないか。そんなに大事かい?その存在人間が。別に私/僕は何かするつもりはないよ?干渉する気もない。」」


『どうだかな……では何故来た?』


「「えぇーほんとだよ?別にキミがその存在人間を気に入っていたとしても、としても、私/僕には関係無いし、興味は無い。──故には干渉しないし、何やろうとキミの勝手だ。」」


 神を名乗るその存在は、白亜の龍アルビオンの在り方を認める。


『ほう?貴様程の物語狂い英雄狂いが我が干渉するの認めるとはな。』


「「いや、だってねぇ?私/僕が何か言う義理はないだろう?それに、キミが干渉しようが、しまいが、どうあれ結果は変わらない。

物語は動いていく英雄は現れる。」」


「「あぁ、でも一つ言っておくとしよう」」


 先程の声とは一転。

無機質な、抑揚の感じさせない、声へと変化する。


「「最終個体。お前のを忘れるな。お前が何しようと、何をやろうと、神は干渉しない。だが、お前が役割を放棄するならば、分かっているな?」」


『役割を忘れてなどいるものか。』


「「ならいいんだよ。キミが役割を果たすならば問題はないさ。」」


 声が元に戻る。


『なんだ、その確認でもしに来たか?』


「「まさか……キミにお気に入りの存在人間ができたと聞いてね。話したくなっただけさ。」」


『ならば、我はもう帰るぞ。』


「「なんだ、もう帰っちゃうのかい?もっと話したかったんだけど?」」


『我は話したくなぞないがな。』


 白亜の龍アルビオンはそう吐き捨てるように言うと、この空間から抜け出して寝室へと戻っていった。


「「────」」


 それを止めることはなく、◼️◼️の神は静かに嗤う。




「「さあ、より良い物語英雄譚を見せておくれ」」







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