映画は人がたくさん死ぬ方がえらい

 今日はあの話題で持ち切りでしたね。


 と書いて、今日明日に読めば何の話かわかるが、すぐにわからなくなるのでちゃんと書いておく。

『RRR』が暴力的で辛かったというnoteの件だ。別にそれ自体はいい。血も出るし理不尽な虐待や拷問もあるしな。それが苦手という人もいるだろう。

 だが、例の記事がバズったのはたぶんそこではなく、「そういう暴力的な映画だと言わずにおすすめした人たちに怒っている」というくだりだろう。


 は〜〜〜〜〜〜? である。


 わたしは建設的な性格なので、そういったいわゆるをチェックできるDOES THE DOG DIE? というサイトを紹介し、狙い通りプチバズするに至ったが、どうせワンクリック先にあるこの文章はほとんど読まれないと思って本音を言うと「クソくだらねえ、じゃあ映画なんか見るなよ」と思っている(脱線するがTwitter上でのこのという言い回しについての話のほうが面白かった)。


 いや別にいいんですけどね。自衛した上で好きなものだけ見ている人にはなんの文句もないです。映画産業も斜陽ですからね。なるべく多くの人が映画館に行ったほうがいい。「映画」という文化やアクティビティのファンとしては心からそう思う。

 一方で、わたしはの神様に心臓を捧げている。映画にせよ舞台にせよ小説にせよ、そういった表現物が「面白い」ということに何よりの価値を感じている。

 優れたのためには、あらゆる要素が使われて良いはずだ。作品それ自体の面白さよりもそれを構成するたった一要素を重視するようなやつは、別に人生において表現物に触れる必要はないだろう、と思っている。過激思想である。

 まあこれは極論なので、社会的な態度としては「こういうサービスがあるから自分で調べなね〜〜〜〜〜〜」になる。


 しかしくだんの人の主張はいくらなんでも無理があるよなあ。

 アレルギーに例えるならば、めちゃくちゃ美味しい! とメディアやSNSで話題のガレット屋さんがあり、そこに蕎麦アレルギー持ちの人が訪れて食べて「ガレットに蕎麦粉が入ってるなんて知らなかった! 絶賛する時に蕎麦アレルギー持ちに配慮しない奴らが全員悪い! 謝れ!」と言っている感じだ。

 当然、アレルギーの場合そんなことはほとんど起こらない。命に関わるから、自分で調べるはずだ。たとえガレットの原料が蕎麦粉だと知らなくても、知らない食べ物を初めて食べる前にかならずアレルゲンを調べるだろう。メニューには「蕎麦粉」と書いてあるはずだが、入店時や注文時に「こちら蕎麦粉を使用しておりますが、お客様は蕎麦アレルギーはお持ちではないでしょうか?」なんて聞かない。

『RRR』がアクション映画であることは、『RRR』のことを聞きかじった人の大半が知っている(≒ガレットの原料が蕎麦粉だということは大半の人が知っている)し、公式サイトや公式予告を見れば暴力描写があることはわかる(≒メニューに蕎麦粉と明記してある)。それなのに「RRR面白かった(〇〇のガレット美味しかった)」と言っている人にキレるのって……ねえ。ワンクッションあってもさすがに言葉を濁すが、アレである。


 日頃泥ママスレやロミオメールといったヤバい人間のまとめ動画を嬉々として見ているわたしであるが、それに近い思考回路をリアルタイムで実際に見かけると「うおお……」となるものなのだな。


 人がたくさん死ぬ映画の話もしようと思っていたが、意外と長くなったのでこの辺で切り上げようと思う。



 ぜんぜん関係ないけど、最後に少しだけ爽やかな話題を。

 最近スーパーでよく見る「清見タンゴール」という柑橘を買った。みかん(TANGerine)とオレンジ(ORenge)のかけあわせでタンゴール(Tangor)らしい。みかんみたいに酸味が少なく甘みが強いオレンジって感じでおいしいのでおすすめです。

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