タコ凧たこ

夏伐

襲来

 その日はおかしかった。

 スマホのアラートで起きた俺は、その内容に驚愕した。宇宙人の襲来だというのだ。

 窓の外には何もない。事件も事故も起きてはいないようだ。しかしアラートが鳴らされた地域は日本中全て。


 急いでニュースをつけると、緊急特番だとかでどのニュース番組も宇宙人について話している。

 どうやらタコ型宇宙人がやってきたらしい。


「またありきたりなやつだな……」


 ワレワレハウチュウジンダ……とかいうああいうやつだろ。けれど、被害の様子は流れない。アラートまで流して被害を隠すなんてことはないだろう。

 テレビでは天気図がうつっていた。


 アナウンサーが泣きそうな顔をして説明をはじめる。


「現在、タコ型宇宙人とされるものは政府と交渉しておりますが、徐々に高度を下げています」


 日本全部を覆い隠すほどの大きさの『C:。ミ』だった。このいくつかの記号でそれっぽく見せる顔文字の一種がそのまま日本地図にかぶっていた。


 俺の住んでいる地域はたまたま記号がない部分だったらしい。


「世界各地に現れたタコ型宇宙人は、地球への滞在を要求し、そして自分たちの自治を求めています。早急な判断が求められております!」


 アナウンサーはもはや叫んでいたが、俺だって叫びたい。

 なんなんだよタコって! 凧みたいに浮かびやがって! しかもふざけたC:。ミの形をしてやがる!!!!

 ふざけんなたこやろう!!!

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