時空旅行RPG "Veiled" 存在確率0のボクが生きるための物語

広田こお

第1話 消えた日常

卒業式のあと、ボクは意中の異性に告白した。

「キミが存在しない世界なんて、赦さない!」

「なにを言っているの?私は居なくなったりなんてしないよ?」

涙がこぼれる……。


彼女の存在は限りなくゼロに近い「0+」にすぎない。

かろうじてボクは彼女が存在したことを覚えている。

それだけが、彼女が存在している証明。


そんな夢を見た。


ベットから跳ね起きる。今日は卒業式だ。

遅刻するわけにはいかないのに……。


「あれ?なぜボクは目覚ましをかけていないんだ?」

……そうだ。だれかいつもボクを起こしてくれる「存在」があったはず。


それは誰だったろうか?いや何考えている。

「妄想ひどいな、ボクは……。幼なじみのひとりでも居れば良かったのにな……」

……ひどーい。私が居るのに?ふーん、そういう事言っちゃうんだ?


っていつもなら、ボクのひどい言葉に反応する存在があった気がする。


「さて扉を開けるか……」

扉をあけると目の前には見知らぬ少女が居た。


「おはよう……。寛人くん、すっごく……すっごく久しぶりだね」

「あ?あれ?キミ誰だっけ?」


「突然だけど、私と旅にでない?」

「いや?おれ今日卒業式でそんな暇ないけど?」


「卒業式に行ってはいけない……」

「なぜ?」


「……それ以上は言えない。私のこと覚えてないの?」

ボクはずっと考える。

よくわからないが……目の前にいる彼女は、ボクが妄想するボクの理想の幼なじみと思いたいぐらい、可愛らしい。言っていることは怪しくて電波なんだが……。


「なぁ、突然だけどさ……。ボクの彼女になる気ない?なーんてね?」

とボクはおちゃらけてみた。


彼女は意外にも満面の笑みで

「うん、いいよ!」

と答え、目を拭った。

「でも、私と今すぐ旅に出てくれるなら……、って条件付きかな?」


マジか!付き合ってくれるのか!こんなカワイイ女の子が!

「いくいく!行きまーす!」


「じゃ、こっち来て!目をつぶって!!」

お、これはキスされるのか!

ボクは目をつむった。


そうすると彼女はボクをやさしく抱きしめた。

きゅーっと強く強く抱きしめた。


「あの……、目を開けてもいいかな?」

「うん、いいよ?」

目を開けるとそこは不思議なことに森の中だった。

「森だ……」


「お久しぶり、キミにとっては、はじめまして、かもね?」

と目の前の少女は言った。


彼女の雰囲気はさっきまでと変わらない。

違うのは彼女が王冠とお姫様のようなドレスを着ていることだった……。


「誰?」

「わすれちゃったの?あんなに小さいとき仲良く遊んだのに??」

……ボクは考え込む。

「すまん、わからん」

「はぁ……」

彼女は落胆した様子だった。

「酷いよ!ヒロ=トくん。王国一の黒魔道師になったからって、そんなに私を邪険にしなくてもいいじゃん!!」

「?」

オレが黒魔道師?なんのこっちゃ?

そう思ったとき、奇妙な格好の小人のような化け物が目の前に現れた。














































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時空旅行RPG "Veiled" 存在確率0のボクが生きるための物語 広田こお @hirota_koo

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