無駄

「チナツ...ここにいたの!!!」


無駄に綺麗な声がして。

無駄にきれいな女が走り寄って来た。


「あ、さっきの美人なおねーさん!!

え、もしかして、チナツちゃんのおねーさんなの??」とヒナ。


こくこくこく、と両手でポカリの缶を包みながら飲みつつ、チナツちゃんは頷いていた。

そして。

缶の口から口を離しいうことには。


めっちゃこの場から逃げ出したいんですが。


「このお兄ちゃんが助けてくれたのよ」


「おんぶもしてくれた」

「飲み物ももらった」

「ケガ治してくれたのよ」


いや、まだ治ってねーけどな。


「ほら、ばんそーこー」


「あのね、とても優しかったのよ」


俺氏。さすがに顔が赤くなる。


「妹を助けてくれてありがとう

と、取り敢えず、御礼したいから

あすこにあるレストランでご飯奢ってあげるからっっ」


「え、お礼なんていいよ、別に...」


「だ、だめよ。

お礼しないと私の気が済まないんだからっっ」


「そ、それより、山吹くん。

その、その、かわいい女の子はまさか、

あなたの娘じゃないでしょうね!!!」


「はい!!娘ですっっ!!」


「あ、おい、ヒナ...!」


ヒナのやつ、なぜ嘘を!?


「け、結婚したの!?い、いつ!??

まさか、子供もいるなんて...そんな...」


な、なんか慌てふためいているけど、

俺はまだ独身。

んでもって、子供なんていませんが。


「と、取り敢えず、レストラン行きましょう...」


「なんでも好きなもの頼んでいいわよ。

娘?ちゃんもね」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る