第23話 対決新対山本
その日の、3科目のテストが終わった。そして、なんとも驚く発言が、新の口から放たれた。
教科書や、問題集を鞄に詰め込んでいる茉白に、新が声をかけて来た。
「なぁ、水無月、今日、また勉強見てくんない?」
「え!?」
「…そんなに驚かんでも…。だって、テスト中部活もないし、100位入りたいんだよ」
「ん…別に勉強見るのは構わないけど、私の復讐に、そんなに忠実だとは思わなかった」
「…んー…復習に付き合うって言うか、何となく、水無月の期待に応えたくてさ」
「うん。復讐と言う字は未だに覚えていないのね…」
「え?間違えてた?…って言うか、マジ、俺の頭をこれ以上読むな。それはやばいんだ」
「まぁ、そうね。貴方の馬鹿な漢字変換にいちいち付き合ってたら、私のhpが減る気がする…」
「………」
「何?」
「あ、いや、じゃあ、図書室、頼むよ」
「うん。いいよ。じゃあ、行こう」
ふたりは図書室に、向かうべく、席を立とうとした。その時、
「篠畑。少し話がある。付き合ってくれないか」
新に用があったのは、山本だった。未だに、新の名字を間違えている。しかし、神妙な面持ちだ。新も何かを察知したように、応える。
「あぁ。でも、俺らこれから勉強すんだ。手短に頼むぞ。…って言うか、もう一ついいか。俺は篠原だ…」
「…すまん。解った」
「………」
ふたりは教室を出て行った。茉白はとりあえず、その後ろ姿を見送った。
*****
「お前は、水無月のことをどう思ってるのだ。俺は、すきだぞ」
「は?いきなりなんだよ」
「いきなりではないはずだ」
「いきなりだよ。なんでいきなり水無月のことをすき宣言を俺にしなきゃなんないの?」
「じゃあ、教えておいてやる。俺は、賭けをしている。この中間テストで水無月に順位で勝ったら、付き合ってくれと告白した」
「…!」
「君は、どうする?」
「…どうする…って…」
「良いのだな?」
「じゃあ!!俺が100以内に入ったら、お前告白取り下げろよ!?」
「何故だ」
(なんでだろう…)
新は、確かにおかしな話だと思った。茉白が誰に告白されようと、誰と付き合うことになろうと、関係ないはず。100以内に入れば、もう茉白との勉強会も開かれなくなる。そうすれば、茉白との関係は、友達以下になるかも知れない。
(それは困る!!)
新は、理由も解らないのに、そう思った。そして、思わぬ言葉がぽろっと零れた。
「俺だって、水無月と話せなくなるのは困る!!俺たちは、きっと…きっと…きっと…友達以上ではある!!」
「…なんなんだ、それは」
「お!俺も!水無月がすきなんだよ!!」
「…やっと認めたか…。馬鹿な男だ。そんなことに気付くまで、1か月もかかるとはな…。では、俺が水無月を超えるか、お前が100以内に入るか、勝負と行こう」
「…受けて立つ」
ふたりは、そう言ってその場を跡にした。ふたりの闘争心は、メラメラと燃えていた。
そんなこととは知らない茉白は、図書室で新を待っていた。
しかし、ふたりは肝心なことを忘れている。
茉白自身の、気持ちだ―――…。
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