その願いの成就は幸せか?
「日向ってアコナイトさんと知り合いなの?」
「んぶぅっ!」
唐突な質問に思わずむせてしまう。
二つの好奇心に満ちた眼差しが私に向けられていた。
いつもの自室、そこに置かれた机を囲んで私たちはお茶会に興じていた。
そもそもの始まりは、深淵内で体調の悪そうだった自分を心配して神崎さんがお見舞いに来てくれたことからだった。
別に自分が嘔吐したのは精神的な問題なので、お見舞いの必要はないんだけど……
虐めの問題を内緒にしているから、そこはまぁ勘違いされても仕方がないか。
思ったより元気そうだった私を見て神崎さんは藤堂さんまで呼び出してしまった。
そうして、二人が持ち寄った茶菓子を広げてお茶会がなぜか始まったのだ。
訳もわからず席につかされたのだけど…………
多分二人ともこの間のことが知りたかったんだろうなぁ。
藤堂さんの質問でそのことを察してしまう。
深淵での私とアコナイトの会話、それは明らかに見知った者同士の会話だった。
彼女と私の関係を疑問に思うのは当然のことだ。
でもなぁ……
『うぅん……虐めの問題は明かさない方がいいかもしれないユ……特にハイドランシアには』
私の契約精霊であるパプラが病室で話し合った末に出した結論である。
概ね同感だ。
魔法少女ピュアアコナイト、彼女はあまりにも有名で、憧れを集め過ぎた存在だった。
彼女の作った正義の偶像は、あまりにも大きい。
私が下手に彼女を否定すれば魔法少女たちから村八分にされることは必至だろう。
言葉は、選ばなければならない。
「ぁ、う、ぅ、うん。同じぃ……学校で……は、ハハッ」
明らかな挙動不審。
私隠し事が下手すぎるよぉ……
でも私は普段から挙動不審なので、多分怪しまれないだろうな。
「何、同じ学校ですって。星林学院中学校?超名門なんだけど!?」
「ぅぅ、う、ん」
あ、知ってるの?詳しいね。
確かに有名な学校だけど。
アコナイトの出身校まで知っているって、もしかして藤堂さんって結構魔法少女マニアだったりする?
「ええ!!」
彼女との関係をぼかしつつ説明する前に、神崎さんが一際大きな声を上げて立ち上がった。
彼女はビシッと私を指差す。
こら、人を指差すのはやめなさい。
「日向ちゃんって中学生なの!?!?」
……………………
あ〜〜〜……うん…………
そういえば私って、二人から年下に見られている節があったなぁ。
「確かに、何年生なの」
「に、2年生……ですけ、ど」
「………………」
二人の視線が私に集まる。
神崎さんは自分より低い私の頭身を、藤堂さんは私の胸部を凝視した。
私の身長はこの三人の誰よりも低く、胸部は誰よりもなだらかだった…………
な・に・を・見・て・い・る・ん・だ・な・に・を?
「んなぁああああぁうううぅぅぅっ!!!」
私は頭を机に打ち付けた。
悪かったな!チンチクリンな身体で!!
こんな貧相な体つきでは年下にしか見えなかったでしょうねぇぇ!!
うわぁああああん!!
顔が熱い、多分今私の真っ赤だろう。
もうどうとでもなれと、いうように涙目で机に突っ伏す。
結局、私が機嫌を直すまでには長い時間がかかった。
神崎さんが幼子をあやすように慰めるのでさらに腹が立ったというのもある。
お前の胸部だって、そんなに大きくはないだろうが!
ぐすん……
まぁ、これでよかったのかもしれない。
この騒動のせいで私とアコナイトの関係についての話は有耶無耶になった。
二人との関係を崩さずに済んだのだ。
その代わりに私は心に深い傷を負ったがな!
……………………………
…………………
……
「合同任務?」
ホワイトリリィは首を傾げた。
私も彼女と同じように首を傾げる。
私たちの前には、微かに光を放つ大きな扉が鎮座している。
各地の花園へと繋がる門、召集されたチームリリィはその前に集合していた。
「そうだユ。今回の任務は難易度が高いから、もう一つのチームと合流して対応してもらうことになったユ」
「そのチームの一人は俺のもう一人の契約主だゼ!」
ふーん。
チーム同士が組んで戦うこともあるんだ。
いや、深域の対処には複数の魔法少女たちが投入されたって話もあるし、今まで私が体験していなかっただけで、こういうことは普通なのかもしれない。
他のチームと合同任務ってことは今までよりも強い深獣が相手なのだろう。
気を引き締めなければ。
で……そんなことよりも心配なことが一つある。
知らない魔法少女と、仲良くできるかなぁ…………
陰キャは初対面の人間に恐怖する、当たり前のことである。
そっとリリィの背中に隠れる。
優しそうな人だったらいいなぁ。
戦々恐々としていると、門が点滅するように光を放った。
ゆっくりと門が開き二つの人影がこちらに歩み寄ってくる。
今回ご一緒する魔法少女だろうか。
あれ……でもなんだか変だな。
逆光でよく見えないけど、一人がもう一人を引きずっているように見えるんだけど。
「やーやー、こんにちは。今日はよろしくねぇ!」
「びぇ!や、やめ。アカシアちゃんだめ、い〜や〜だぁぁああ」
いや、見間違いじゃない。
完全に引きずられているな。
黄色いカラーを基調とした魔法少女が、むせび泣く深緑色の魔法少女を引きずりながら登場した。
「ぴぃっ!」
私たち三人が怪訝な視線を向けると深緑色の魔法少女は悲鳴を上げ、隠れるように黄色い魔法少女の背中にしがみついた。
「……………」
二つのチームの間に若干の沈黙が広がった。
黄色い魔法少女はリリィの背に隠れる私をまじまじと見つめた。
逆にリリィとハイドランシアは黄色い魔法少女の背に隠れる魔法少女を見つめている。
そして私はリリィの背に隠れながらそろーりと二人の魔法少女の様子を窺った。
ばっちりと深緑色の魔法少女と目が合う。
なんか……似たようなやつがいる!
奇しくも、ここに集まった魔法少女の考えが一致した瞬間だった。
……………………………
…………………
……
「僕はパステルアカシア!それでこの後ろのがノイズィサイプラスだよ」
場所を深淵の付近の花園へと移し、私たちは改めて自己紹介を始めた。
パステルアカシアと名乗った少女は魔法少女には珍しいショートパンツ姿に、黄色いマントを羽織ったボーイッシュな魔法少女。
ノイズィサイプラスはガーリィなゴシックドレスを着込んだ上に包帯を随所に巻きつけた奇抜な格好の魔法少女だった。
「よろしく!あたしはホワイトリリィ」
「ミスティハイドランシアよ。こっちの後ろのはブラッディカメリアね」
ハイドランシアが私の頭を小突いて私の分の自己紹介もしてくれる。
別に、私は自分で自己紹介できるのに……
少し不服だがそれはまぁいい。
そんなことよりも…………
サイプラスに目を向ける。
陰の者だ…………陰キャではないか!?
まさか、私以外にも存在したとは。
魔法少女という華々しい存在故に、この業界には陽キャしかいないと思っていたのに。
これは嬉しい誤算だ。
目を合わせないようにしながらサイプラスにじりじりと近寄る。
そうして彼女に手を差し出した。
陰の者同士、仲良くしようじゃないか同胞!
陰キャは同じ陰キャだからといって無条件で友達になれるわけではない。
むしろコミュ障同士、話がはずまず気まずい関係になることも多々あるのだ。
だが、陽の者と違って陰キャは陰の者だけが持つ苦しみを知っている。
魔法少女という陽キャ集団に囲まれて生きる苦しみを私は知っているぞぉ。
私はこの少女の理解者であり、その逆もまた然りなのだ。
それが分かっているのかサイプラスはハッとしたように顔をあげ、私の手を握り返した。
私たちは硬く、硬く、握手を交わした。
「なんか仲良くなってるよ……」
「あの人見知りのサイプラスちゃんが、珍しいこともあるもんだね〜」
外野がなんか言っているが、私たちは気にせず繋いだ手をぶんぶんと振るった。
「仲良くなってもらったところで、詳細を説明するゼ。今回の深淵はまだ深域にはなっていない、でもかなり危ういかもしれないゼ」
精霊が説明を始めると、サイプラスは手を振り払い、アカシアの背後にまた戻ってしまった。
どうやらそこが彼女の定位置のようだ。
「でも、犠牲者0じゃない。取り込まれた人がいないのになんで成長しているのよ」
デバイスに送信された情報を確認しながら、ハイドランシアが疑問を投げかける。
今回、深淵が発生したのは人気のない山中。
登山者もいなく、深淵に引き摺り込まれた人はいないようだ。
「鳥や栗鼠なんかの小動物にも魂はあるゼ、問題はそれらの魂をどれだけ取り込んだか分からないってことだゼ」
確かに、出現した場所が場所だ。
ちょっと辺鄙すぎる。
資料には発生時期不明と記されていた。
辺鄙な場所すぎてこの深淵がいつから存在していたかも分かっていないのだ。
「出来立てのしょぼい深淵かもしれないし、あと一歩で深域になりそうな危険な可能性もあるってことだね」
アカシアが、情報をまとめる。
なるほど、最悪の可能性も踏まえての2チーム編成というわけか。
深獣の姿が確認できていないらしいから、出来立ての可能性は低いだろうし妥当だろう。
「深淵に入っての討伐になると思うゼ。それを踏まえての人選だゼ」
私たちチームリリィは全員深淵に入ったことがある。
私にいたっては前回深淵内での戦闘経験ありだ。
そんなところも討伐チームの選定に関わってくるらしい、初耳だ。
「ぁ、あの……私深淵なんて入ったことないんだけど」
「安心してくれ、僕は深域の鎮圧に同行したこともあるぞ」
う、うん。
サイプラスはともかくとして、アカシアは結構頼りになりそうだ。
深域の鎮圧に同行したことがあるって、そうとうベテランでは?
口にしたわけではないけど、この中でのリーダーはアカシアが適任そうだと私たちは頷き合った。
「では。出発しようか」
それを察したのか、アカシアが音頭をとり私たちは出撃した。
……………………………
…………………
……
人の訪れぬ山中。
鬱蒼とした木々を縫って歩みを進める。
「あれか」
そう言われて、顔を上げるとそれが目に入った。
山の斜面に現れた黒いドーム。
それは虹色の光沢を発しながら、ゆっくりと脈動していた。
…………大きいな。
先日私が入った深淵ほどじゃないけど、私が見てきた中でも大きめの部類に入りそうだ。
発見が遅れないでよかった。
このまま大きくなれば深域に成長してもおかしくないサイズだ。
私はこれから侵入すべき敵地を睨んだ。
「ストーップ」
その黒い膜を潜ろうとした時、アカシアが両手を広げて待ったをかけた。
「知っていると思うけど、深淵の中ではあらゆるルールが通じない」
「ね、ねぇ、私知らないけどぉ……」
彼女の言葉に私たちチームリリィの三人は頷き、サイプラスは不安そうに縮こまる。
アカシアはそんなサイプラスの頭を安心させるように撫でた。
撫でられると彼女は静かになる。
そんな適当な対応でいいの?と思わないでもないが、二人はチームメイトなのだし暗黙の何かがあるのかもしれない。
「深淵の侵入経験は僕が一番豊富みたいだし、中では僕が動きを指示するね。だけど…………本当に中では何が起こるかわからない。僕が動けなくなる場面もあるかもしれない」
彼女の言葉に改めて深淵の危険性を再認識する。
今回は私一人だった前回と違い大人数での侵入だから、正直それほど緊張はしていなかった。
だけど、全員無事で深獣のもとにたどり着けるとは限らないのだ。
「もしもの時は、自分の身を大切にして欲しい。この深淵が僕たちの手に負えなかった場合、情報を持ち帰るだけでも次の魔法少女への助けになる」
アカシアは落ち着いた様子だ。
さすがは深域への侵入経験者、この討伐が成功しない可能性も当然のように考慮に入れている。
彼女が侵入したという深域はもしかしたらあの深域だったのかもしれない。
そんな可能性が、私の頭をよぎった。
「念のため、まずは僕が一人で侵入する。安全を確認して、すぐに中から合図を出すからそれを確認してから侵入して欲しい」
随分と慎重だ。
でも、そのくらいの方がいいのかもしれない。
もしかしたら侵入した瞬間そこは深獣の口の中なんてこともあるかもしれないのだから。
ぶるりと身体が震える。
うぅ……嫌な想像をしてしまった。
「もし……僕からの合図がなければ、1分待ってから位置をずらして侵入してくれ」
…………あ!
そう言うと、アカシアはなんの躊躇いもなく深淵へと入って行ってしまった。
止める暇すらなかった。
すごいな、あんなに私たちに危険だと釘を刺していたのに自身は何も躊躇わないなんて。
私たち四人は不安そうに視線を交わす。
安全を確認次第、合図を出してくれるらしいけど…………
「………………」
じっと目の前の深淵を覗いているけど、変化はない。
私たちはもう一度、顔を合わせる。
「ぇ、と……合図、ないね」
合図がないということは安全ではないか、それとも前の深淵のように戻ってこれないタイプなのか。
彼女の言葉に従うのなら、合図がない場合は1分待て……か。
ハイドランシアがデバイスを取り出した。
時間を計るためだろう。
「………………」
1分間。
私たちはじっと待った。
合図は…………無かった。
「1分経ったね」
ハイドランシアが、デバイスを持っていた腕を下す。
えっと、位置をずらして入るんだっけ。
この場合はみんなで侵入した方がいいのかな?それともまた一人ずつ?
「つ、次、私行く。合図出す、なかったらまた待って」
サイプラスが震えながら、しかし意思の籠もった目をしてそう言った。
そして、私たちの反応も聞かずにズンズンと深淵の中に入っていってしまう。
あらら……
もしかしたら、アカシア不在で初対面の私たちといるのが気まずかったのかもしれない。
それか、合図を返さないアカシアを心配したのだろう。
どちらにしろ、彼女は行ってしまった。
彼女が入って行った深淵を覗く。
そこには黒と虹の虹彩が蠢くだけだった。
…………また合図がこない。
「………じゃあ一応1分待ちましょうか」
ハイドランシアはまたデバイスに目を落とす。
え…………この調子で一人ずつ入っていくのぉ。
次は誰が入るの?
私はゴクリと唾を飲んだ。
「この深淵に何かあるのは分かったんだし、次はあたしたち三人で侵入しようか」
リ、リリィ……!
少し恐怖を感じていたので、その提案はとても嬉しかった。
私もそれがいいと思う。
コクコクと頷く私、ハイドランシアも深淵に目を向けて頷いた。
「はぐれないように、手を繋いで行こうね!」
でも続いた次の言葉でハイドランシアは嫌そうに顔を歪めた。
リリィが手を差し出すけど、ハイドランシアは手を引っ込める。
「何よ、文句ある。リーダー命令よ!」
手を繋ごうとリリィが迫り、ハイドランシアはそれを身軽に躱している。
本当に仲がいいね、この二人。
「1分経った」
「うぶっ」
ハイドランシアはそう言って急に動きを止めた。
いきなりの静止だったためリリィがずっこけた。
「行きましょうか」
侵入は万全を期してアカシアチームとは反対側からにすることにした。
深淵の周りをぐるりと歩き、反対側に移動する。
念のため手も繋ぐ。
リリィを真ん中に、左手を私が、右手をハイドランシアがとった。
ゴクリと唾を飲む。
深淵は、私たちの前で静かに脈動していた。
「いっせーの」
リリィの掛け声と共に、私は足を前に出し、深淵へと足を踏み入れた。
黒い幕を潜る瞬間、なんとも言えない嫌な感触がした。
粘つくヘドロを全身に浴びたような嫌悪感。
鳥肌を立てながら、私は深淵内に降り立った。
ぱしゃりと、足元で水の跳ねる音がする。
足元に目を向けると、水たまりが広がっていた。
濁った水たまりに私の影が映る。
頬に水のあたる感触。
景色は木々の生い茂った山の中と変わっていない。
でも、深淵の中では大ぶりの雨粒が降り注いでいた。
空には厚い雲がかかり、薄暗い。
雨風にさらされた木々がざわざわと騒めいている。
「な、なんだか不気味だね……」
隣にいるリリィにそう声をかけようとして……私は動きを止めた。
先ほどまでリリィの手を握り締めていたはずの手は何もつかんではいなかった。
「……ええ?」
雨が身体を打つ。
虚空へと伸ばした手から雨粒が滴った。
私は一人だった。
短く息を吐き、私はすぐさまあたりに視線を走らせる。
リリィも、ハイドランシアもいない。
木々の間からは動くものは確認できず、深獣の気配も感じなかった。
「探して」
味方でも敵でもなんでもいい。
花を咲かせ、金魚たちを呼び出す。
私を中心にして、金魚たちを散開させる。
アカシアとサイプラスの合図がなかったことから、入った瞬間別の場所に飛ばされるのはなんとなく想定していた。
でもまさか手を繋いでいる仲間とすら引き離されるとは思っていなかった。
私は別にいい、私は一人でも魔障壁を破壊できる。
だが他のメンバーまで離れ離れになっているのはまずいかもしれない。
早く、見つけて合流しないと。
「ん!」
金魚が、何か見つけた。
前方に人影がある。
仲間かな?誰だろう。
私がほっとしたのも束の間。
「んん?」
後方の金魚も、人影を見つけた。
そして右の金魚も……左の金魚も…………
「?????」
私の放った金魚全てが、人影を見つけた。
おかしい、離れ離れになった仲間は四人、こんなに人影があるはずがない。
それらの人影が全て私を包囲するようにこちらに迫ってきていた。
なんだ?何がいる?
前方の草むらが揺れ、それは姿を表した。
人…………に見えた。
形は人のそれだ。
だがそれを形作っているのは水だった。
水人間は、ゆったりとしたスピードでこちらに近づいてくる。
半透明なその身体に、雨があたり輪郭線がぼやける。
その出来損ないの人間たちが木々の隙間から、次々とこちらに向かってくる。
な、なんだこれ?
金魚を操り、そのうちの一体に攻撃する。
金魚はそれを啄み、呆気なく霧散させた。
だが、形を崩したそれに雨が降り注ぎ失った身体を補っていく。
これ……深獣じゃない。
金魚で啄んだ瞬間分かった。
魔力が満たされるこの感触、深淵だ。
前回の深淵で見た黒いビルや桃色の空と同じ、深淵内を構成する物質。
それがなぜか、人の形をとって迫ってきている。
「寄るな!」
金魚の数を増やし、近づいてくる水人間たちを穿つ。
でも、それらは体勢を崩すだけで、すぐに修復し、こちらに縋り付いてくる。
完全に破壊するのは無理だ、だってそれらを構成する水は今なお空から降り注いでいるのだから。
『……けて……』
雨に混じって、水人間たちの低い唸り声のような声が聞こえる。
『もう、ぶたないで……』
『やめてよ……なんでそんなことをするの』
ひどく掠れた、だけどどこかで聞いたことのある声。
いや、聞いたことがある程度の聞き覚えじゃない。
いつも聞いていた声。
「これ、私の……声?」
いくら金魚で啄んでも、穿っても水人間たちは近づいてくる。
気付けば、私は無数の水人間たちに包囲されていた。
『どうして虐めるの』
『人が怖い、嫌い』
『逃げたい……学校なんて行きたくない』
『助けて』
『帰りたい、どうして私は布団の中にいないの』
水人間たちが呻く。
それは、覚えのある嘆き。
一人で抱え込んだ、私の苦しみ。
私の中に生じた傷がえぐられ、血が吹き出す。
「や、めろ!!」
聞きたくない、今すぐこの嘆きを止めたい。
その思いで、金魚たちを生み出す。
『本当は……戦いたくなんてない』
『痛いのは嫌』
だけど、言葉が私を押しつぶすかのように投げかけられる。
それは私の本当の気持ち。
あ……れ?
生み出された金魚たちは、力なく飛んで……地面に落ちた。
私の手から生じる花たちは、金魚に変化もせず私の足元に落ちて土にまみれる。
私……なんで戦ってるの?
私の願いって…………なんだっけ?
水人間の手が、肩にかかる。
四方八方から腕が伸び、私は地面に押し倒された。
ぬかるんだ地面の感触を背中に感じる、気持ち悪い。
深淵が、私を吸収しようと脈動した。
「っっっだらあああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああッ!!!!」
吠えるような、怒号が聞こえた。
「は?」
衝撃が走り、水人間が、周りの木々が吹っ飛ぶ。
木々が裂け、地面に倒れる。
「あわ、あわわわ」
私は、正気に戻り、慌ててその場から退避した。
倒れる木々に水人間たちが押し潰されていく。
あれらを倒すことはできないだろうが、足止めにはなりそうだ。
誰だ?こんな非常識な破壊行為を行う奴は?
怒号がした方向に目を向ける。
そこには、ゴシックドレスに包帯を巻いた少女がいた。
少女の両手には、大きな、大きな両刃の剣、クレイモアが握られていた。
「深獣はぁ!どこだァアアア!!」
クレイモアを振り上げ、少女が吠える。
闘志を漲らせ、まるで獣のようになったノイズィサイプラスがそこにはいた。
あの…………サイプラスさん?
あなた先ほどとキャラ違くありません……?
「ぁ、ぁ、あのぉ…………」
私は恐る恐る彼女に声をかけた。
すると彼女の首が急回転してこちらを向いた。
血走った瞳が私を捉える。
「深獣!!どこ!!!」
ひえっ!
知らないよぉ。
なにこの子、やっと味方に合流できたと思ったのに全然安心できないよ。
大人しい子かと思ってたのに、なんだかすごい凶暴なんだけど。
息荒く凶器を握りしめるサイプラスと涙目で答えに窮する私。
そんなバッドコミュニケーションをしている間にも、水人間はまた体勢を整え私たちに迫ってきていた。
『殺して』
「え?」
水人間が呻く。
先ほどとは違う声。
彼らはサイプラスの声で呻き始めた。
『殺して』
『殺して』
『殺して』
『殺して』
水人間たちは、まるで合唱のように同じ言葉を紡ぎ出す。
「殺せるもんならぁ、コロしてミロォォオ!!」
その呻き声をかき消すように深緑の魔法少女は吠え、クレイモアをなぎ払う。
圧倒的な力で振られた剣は空気を裂き、その空間が歪むほどの衝撃を生み出した。
水人間が木々ごと真っ二つにされ、吹き飛ぶ。
先ほど私を助けた攻撃はこれか。
ものすごい威力だ。
ちょっと背筋が寒くなる。
私が押し倒されていたからいいけど……そうじゃなかったら今頃私も真っ二つだったのでは?
「ウリィィイイイ!!」
サイプラスは呻き声などものともせず、水人間を切り裂きまくっている。
すごいな……
すごいけど、これじゃジリ貧だ。
水人間は深淵そのものであって深獣じゃない。
深淵の主を倒せなければいくら暴れたって意味がない。
その主は……どこにいる?
近くには、いるはずなんだ。
私とサイプラスに仕掛けられた精神攻撃。
こんなものを遠くから仕掛けられるとは考えにくい。
どこかから、見ているはずだ。
サイプラスが木を切り倒してくれたおかげで視界が開けている。
金魚を召喚し、サイプラスをサポートしつつ深獣を探す。
どこかに、いるはずだ。
……ポタリ
私の鼻頭に、雨粒が落ちて私は足を止める。
雨……?
降り続く雨。
この雨は、この深淵の特徴の一つだ。
降り注いだ雨が、水人形となって襲いかかってくる。
これ、どっから降ってきている?
顔を上げ、頭上を見上げる。
空いっぱいに広がる雲、そのちょうど私たちの真上に…………黒い、鳥のシルエットがあった。
「見つけた!上だ」
空に突き出した掌から紅い花を咲かす。
それは風に吹かれたように空を舞い、形を変えていく。
私の願いを込めた金魚たちが空を駆け、頭上のシルエットに殺到する。
鳥のシルエットが、動いた。
鳥が羽ばたき、雲から姿を表す。
それは黒い、梟だった。
速い!
頭上に放った金魚たちが梟を啄もうと迫るけど、それよりも遥かに速いスピードで梟は空を舞った。
私の金魚のスピードじゃ追いつけない。
以前戦った、蜂型の深獣を思い出す。
あの深獣も空を飛んでいたけど、あの時はハイドランシアが拘束してくれたから金魚で攻撃することができた。
ならば今回も仲間と協力して!
「サイプラ…………」
「っラァあああ゛あ゛あッ!!!!」
深緑の魔法少女に協力を求めようとした瞬間。
彼女は雄叫びを上げて地面を蹴った。
まるで弾丸のように少女は空へと飛び上がり、梟に切り掛かった。
空中で、クレイモアと鉤爪が交差する。
羽が宙を舞い、腹を斜めに裂かれた梟が金切り声を上げた。
その圧倒的な暴力で、魔障壁を突破したんだ。
でも、浅い……あれじゃ倒せてない。
魔障壁の性質上、サイプラスが次に攻撃を通すにはさらに威力の高い攻撃を通さなければならなくなってしまった。
「っ!」
深獣を切り裂いたサイプラスがバランスを崩し、落下する。
当たり前だ、彼女はなんの飛行能力も持っていないのだから。
金魚たちをクッションがわりにして彼女を受け止める。
よし、難しいかもしれないけど次は翼を狙ったらいけるかもしれない。
飛行能力が落ちれば、金魚の攻撃も届くはず……
私は彼女に作戦を伝えようとして…………絶句した。
彼女はお腹を押さえて蹲っていた。
血が……溢れていた。
血が滴って、彼女の足元の水たまりを赤く染めている。
梟を傷つけた彼女もまた、負傷していた。
でも、私を絶句させたのはそんなことじゃない。
私を絶句させたのは彼女の表情だった。
笑っていた。
目を血走しらせ、荒く息を吐き、腹から血を流しながら。
彼女は笑っていた。
『殺して』
『殺して』
『殺して』
『殺して』
水人間たちが、呻く。
「いい感じじゃない…………ねぇ、私を殺してよ!!」
深緑色の魔法少女が、吠えた。
―――――――――――――――――――――
「ねぇ君、魔法少女にならないかネ?」
「ぇ、と……今、それを言うの?もっと他にかけるべき言葉があるんじゃない」
その蛇の姿をしたその契約精霊との出会いは、鮮烈で、印象深いものだった。
その時私は椅子の上に立ち、天井から吊り下げたロープに首を通しているところだった。
「今勧誘しなければ、君は首を吊ってしまうネ?そうしたら君を魔法少女にできないネ。私は何も間違っていないと思うがネ?」
頭にツノを生やした蛇はそうほざいた。
ふざけているのだろうか?
なんだか馬鹿らしくなって、私は首からロープを外し蛇と向き合った。
死ぬのはいきなり現れたこのふざけたマスコットと、少しお喋りに興じてからでもいいのかもしれない。
「ねぇ、私早く死にたいんだけど」
「おやおや、悲しいことをいうネ。どうしてそんなに死に急ぐネ?」
蛇は全く悲しんでいない声音でそう言った。
「家族に会いたいのよ」
パパとママは私を残して行ってしまった。
第13封印都市、そのふざけた空間が二人を飲み込み……二人は帰って来なかった。
ママの中に宿っていた生まれるはずだった私の弟も、一目も見ることができなかった。
私はその時修学旅行に行っていて、馬鹿みたいにお土産を渡すのを楽しみにしてた。
でも帰ってきた私を待っていたのは、黒くて訳が分からないドーム状のナニカ。
それに町は飲み込まれ、そこからは誰も出て来なかった。
家族を失ったあの日から、何もかもがうまくいっていない。
「天国で再会するネ?そんな非科学的なもの信じるなんて随分夢見がちだネ」
非科学の塊である精霊が何を言っているんだ。
お前みたいなのが存在するから、私みたいな少女が夢を見てしまうんだろ。
私は呆れてしまった。
根本的に、こいつとは話が合わない。
話をしていても時間の無駄かもしれない。
私はロープを首にかけ直した。
「今ここで、君が自殺すれば周りにどれだけ迷惑がかかるかネ」
蛇の言葉に、私は動きを止める。
「死体の処理は、誰がするネ?葬式は誰がお金を出すネ」
嫌なことを言わないでほしい。
両親を失った私を引き取ってくれた親戚の叔母。
確かに私は彼女の優しさを、献身を裏切ろうとしている。
そんなことは、分かっている、分かっている……つもりだ。
「そもそも、首吊り死体ってどうなるか知ってるネ?顔は鬱血して紫色になり、糞尿は垂れ流しネ。そんな醜い状態になりたいなんて奇特なやつだネ」
嫌なことの次は心底気分の悪くなる話を始めた。
なんなんだこの蛇。
「…………何が言いたいの?」
私はジトッと蛇を睨んだ。
「死ぬのなら、もっと意味のある死に方をしないかネ?」
蛇は、そう言った。
「どうせなら、魔法少女になって英雄的に死んでみたらどうかネ」
それは提案だった。
首吊りではなく、もっと他の死に方を選んでみないかという。
よくよく思い返すと、蛇は悲しいとは言ったが、私の自殺自体は一度も否定していなかった。
「君には才能があるネ。人に迷惑をかけて死ぬのではなく、正義のヒロインになって人を救って、惜しまれながら逝ってみたらどうかネ」
ふざけた提案だった。
でも同時に、甘美な提案でもあった…………
……………………………
…………………
……
「アハ!」
裂かれたお腹から血を流しながら、私は大剣を構えた。
お腹の他にも、包帯を巻いた箇所が痛む。
まだ、前に戦った時の傷が癒えていないのだ。
来い!私を殺してみろ。
頭上の黒い梟を睨みつける。
自分を傷つけた脅威を消さんと、梟は上空から鋭い奇襲をかけてくる。
私はそれを正面から迎え撃つ。
防御はしない、そんなもの必要ない。
「させない!」
絶好のチャンスで、梟が私の命を刈り取ろうとしていたのに、黒い魔法少女が私たちの間に割り込んできた。
紅い花が渦巻き、形を変える。
花は和傘となり、梟の鋭い鉤爪を阻んだ。
それどころか傘と接触した鉤爪は金魚に啄ばまれ、ボロボロと崩れていく。
私はムッとした。
またこれだ。
私以外の魔法少女というやつは、どうやら底抜けに優しい人間らしく、すぐこうやって私を助けてくれる。
今回はいつもと違ってアカシアちゃんがいないから、うまくいくと思ったのに。
このカメリアとかいう魔法少女も私のチームメイトのアカシアちゃんと同類みたい。
優しい人。
自分が傷つくことなんて厭わず、人を助けようとする。
私はいいのに。
助けてくれなくて。
これは私と蛇が計画した壮大な自殺であり、ショーなのだ。
私を庇う必要なんて存在しない。
そう、必要ないんだけどなぁ…………
「だ、大丈夫?私が守るから、攻撃をお願い」
はぁ……
なんだか萎えてきた。
今回も失敗しそう。
黒い魔法少女は和傘を構えて鉄壁の守りを展開している。
ここから私が相討ちまで持っていけるビジョンが浮かばない。
このショーは必ず相討ちじゃなくちゃいけない。
ただ、負けて死ぬのだと周りに迷惑がかかるし、英雄的じゃないからだ。
私たちはそこに拘った。
梟が再度上空から奇襲をかけてくる。
だがそれは予想どおりカメリアによって阻まれた。
金魚が梟に纏わり付き、魔障壁を剥がしていく。
金魚のスピードでは敵を捉えられないと悟った彼女はカウンター戦術に切り替えたようだ。
でも、こんなに簡単に魔障壁をはがすなんて、この魔法少女大人しい子かと思ったけど結構強い?
防御が彼女、攻撃が私だったね。
「うらぁあっ!」
大地を蹴り、クレイモアを振りかぶる。
そして無防備なそいつの首筋に剣を叩きつけた。
これで終わり。
今回も失敗。
テンション下がるなぁ。
私は、油断していた。
普段ならば、私のクレイモアは深獣の首を両断していただろう。
でも、今回私は早くもショーの失敗を悟っていた。
『深獣と壮絶な死闘を繰り広げ、命を落とす』という私の願いは、弱まっていた。
「……ぁあ?」
クレイモアは、首を半ばまで切り裂いて止まってしまった。
まずい!と思った時にはもう遅かった。
どこにそんな力があるのか、首が半分千切れているというのに、梟は鋭い嘴を繰り出し、私の首筋を穿った。
「あああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
激痛が走る。
でも意識だけは絶対に手放さない。
負けるのはだめだ。
それは正義のヒロインらしくない!家族に自慢できる死じゃない!
腕に力を込め、クレイモアを首にめり込ませていく。
深獣も、負けじと嘴を押し込んでくる。
こうなれば、もう我慢比べだ。
どちらが先に命を落とすか。
私の口に、笑みが浮かぶのを感じる。
なんだ、成功しそうじゃないか…………
ようやく会えそうだ、パパに……ママに……
願いの成就の瞬間だというのに、私の頭に浮かんだのは両親の顔じゃなかった。
チームメイトの顔だった。
アカシアの、悲しそうな顔。
やめてよね…………決心が鈍るじゃない。
「サイプラス!!」
声が聞こえた。
聞きたくなかった声。
同時に、雷鳴の音が鳴り響いた。
目の前の、深獣の横っ腹に穴が開きその巨体が霧散する。
「……あ〜〜あ〜」
彼女が、私のチームメイトが、敵を狙撃したのだろう。
魔法少女パステルアカシア、雷を打ち出す狙撃銃を操るベテラン魔法少女。
いつも、彼女は私を助ける。
いつも、私のことを心配そうに見守ってくれる。
今回も、また失敗だぁ。
私は、死にきれなかった。
そう思いながら、私は意識を手放した…………
……………………………
…………………
……
目を覚ますと。
私は地面に横たわっていた。
山の中、雨が降っていないということは、もう深淵は鎮圧できたのだろうか?
私の首筋とお腹には、きっちりと包帯が巻かれていた。
顔を上げると、私を覗き込んでいた人物と目が合う。
「め、目を覚ましたか!!よがったぁああぁ。もう無茶な戦い方はやべてくれよぉおおお!!」
アカシアだ。
彼女は私が傷つくと、いつも泣く。
泣くといつものクールキャラが崩壊するからちょっと面白い。
でも今日は泣いているのは彼女だけではなかった。
「よかった、よかったぁああ。もうダメかと思ったよぉ」
白い魔法少女も涙を流している。
二人に抱きつかれて、私はオロオロするしかなかった。
基本的に、私は陰キャだ。
戦闘時やショーの最中はアドレナリンがどばどば出て自分でも驚くくらい強気になれるが、そうでない時、私は自分に自信を持てない。
私のために泣いてくれる二人になんと言えばいいか分からない。
黒い魔法少女も、青い魔法少女も心配そうに私を見ている。
う、うう……
私はまた迷惑をかけてしまったようだ。
誰にも迷惑をかけずに、死にたいのに……いつもうまくいかない。
「僕を一人にしないでくれよ、サイプラス」
アカシアの涙が、私のドレスを濡らす。
そういうことを言うのは止めて欲しい。
決心が、鈍るから。
罪悪感で、自殺しにくくなるから。
もう、だいぶ彼女に……魔法少女たちに絆されてしまっている。
彼女が、大切な人になってしまっている。
だめだなぁ……
願いの成就を望んできたはずだったのに、彼女の泣き顔を見ているとそれが幸せなことなのか自信が持てなくなってきていた。
きっと、彼女の存在が失ったものより大きくなった時、私は願いを、魔法少女の力を失ってしまうのだろう…………
―――――――――――――――――――――
「随分と、ご機嫌ね」
白金の魔法少女が呟く。
蛇は、彼女の首に巻きつきながらその体をぐねぐねと動かしていた。
「ああ、私は天才だネ」
蛇はとってもご機嫌だ。
「死にたがりには、他人の死が許せないパートナーをあてがってやればいいネ」
チロチロと舌を出し蛇は笑う。
白金の魔法少女は気怠げに頬杖をついた。
「パステルアカシアは第13封印都市の数少ない帰還者ネ。第13封印都市で両親を失ったノイズィサイプラスをほっとけるわけがないんだよネ」
「さっきからなんの話、私の興味の無い魔法少女の話は止めてよね」
白金の魔法少女が不満そうにむくれる。
彼女にとって自分以外の契約精霊の契約主など興味を引く話ではなかった。
「君の興味といえば、ブラッディカメリアは元気そうだったネ」
蛇の言葉に、白金の魔法少女は表情を一変させ、にっこりと微笑む。
「それはよかったわ。ハイドランシアと連絡先を交換したから、今度ゆっくりお話でもしようかしらね……」
白金の魔法少女はさらに笑みを深めた。
―――――――――――――――――――――
糸杉 Cypress
糸杉の花言葉は死、哀悼、絶望。
総じて喪うことと関連した花言葉が多い。
これらの花言葉はその伝説や神話が由来となっている。
また、そんな花言葉とは裏腹に糸杉は生命や豊穣のシンボルとして用いられることもある。
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