第10話「王の目覚めの時」

「貴女は!」


「蒼祈誰か知ってんの?」


「ええ、彼女はアリス、龍が行く幻学園の生徒会の人間よ…生徒会の人間の事は今度話そうと思ったのに、なぜ急にあなたのような人が」


「ふぁ…眠い、なぜって?簡単でしょって生徒会長に言われてそこら辺で力使ってる人を見たら面白そうな人を見つけただけよ」


アリスと言われる人物は目を擦りながらそう言った。


「王が目覚めた…何それ私でも知らないんだけど…」


蒼祈は頭を悩ましていたどうやらこのことは知らなかったようだ。


「まあそれで近くに下見に来ていたら明日入学するっていうの君を見つけて面白そうだからちょっと戦いに来たってわけ、それにしてもほんと眠いわ」


「なるほど…じゃあ俺は貴女と戦わないといけないのか」


「ふふ物分りが良くて助かるわ」


アリスはそういうと持っていた枕を遥か天空に投げ目にも見えぬ速度で俺の懐に入ってきていた。


「ガハッめちゃくちゃはえぇ…それに尋常じゃないほどに力が強いじゃねぇかよ」

ドサッ

俺は腹を殴られその場に倒れ込んだ、余りにも強い力で殴られて意識がもうろうとする。

以下に回復が早かろうがダメージ負うのだ。



「貴方がそんだけ弱いなら王ではなさそうだね、てかほんと眠いなぁ、それに武器が体にあってないじゃない、暗殺者としての武器がね…?」


「蒼祈、お前が持ってるナイフを貸してくれ」


俺は回復したことを確認するとすぐさま蒼祈にそう冷静に言った。


「あ、分かった」


蒼祈は少し状況が飲めていなかったがすぐさま龍にナイフを渡した。


「ふぅ暗殺者としてならこっちの方が体に合うと思ったんだけどどうだろうね」


俺はにやりと笑い言い放った。


「眠いって言ってる場合じゃなさそうね、気配がまるで違うじゃない、…まったくほんと面白いわ」


俺はアリスと言われる人物がさっきよりも強く殺気を放っていることに少し恐れてしまった。


「くっ早い」


俺はアリスの攻撃を間一髪避けることに成功したが額には少し傷を負ってしまい血が流れた。


「あら、避けるなんて素敵じゃないつくづく面白いわね」


「そうかよ!」


俺は避けると同時にすぐさま攻撃をしようとしたがそれすらも可憐に避けられてしまう!

なんという繊細な動きなんだと俺はアリスの動きに多少ながらも見入ってしまった。


「頭の回転が早いようね、ふふ気にいったわ、貴方私の旦那にならない? そこの蒼祈の旦那のようだけどここは一夫多妻制だから大丈夫よ」


「へ?」


マヌケな声があたりを木霊した。


「ちょ、ちょ、ちょっと! 何言ってるのよ! まだ嫁が増えるとか聞いてないんですけどぉ!? どうせ増えるとは思ってたけどあんた自由過ぎるのよ!!」


「あらあら、ならいいじゃないの、私はね?自分より強い男が居ないからこうやってめんどくさい生徒会にまで入っているんですもの私はこの殿方が私を越えゆる存在と思っているからこうやって言っているんですの」


俺は放心状態だった、だってさっきまですごい殺意を向けられていた相手から次は好意を向けられているのだ仕方が無いよね?そうだよね?ね?


「そうじゃないのよ!!、まだ私ひとりで営みすらやってないのよ!? 嫁が増えるまでに堪能したかったのに!!」


「まあまあ良いじゃない、それじゃあ宜しくね旦那様♡」


アリスはいつの間にか俺の腕を組んで枕を片手にたずさえていた。

何故かアリスは顔が少し赤く、それに胸を俺の腕に押し付けられて理性崩壊まったなし…


「あ、ちなみに私はサキュバスだからその所よろしくね♡」


ちなみにサキュバスは男の精液を食べて生活するため本来ならばもっと強いのだがアリスは自分が好いた男しか食べないといい。


人間で言うところのまさに栄養不足なのだ!だから何時も眠たそうに枕を抱えている、そのため龍は夜の営みを毎日やるかもしれないのだ!!


「えぇ俺蒼祈だけでもかなりやばいのにまた増えるの勘弁してよぉ…」


俺の虚しいその声は風と共に消えまた1人嫁が増えたとさ。


だがこの時俺は分かっていなかったんだ…事の重大さを、王が目覚めるというこの言葉の意味が今後どのように俺に降りかかって来るかということを…

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