第28話:メスガキ、磯部ミヒロにわからせられる


 ミユさんに強引ながらも連れて行かれた穴の中は薄暗くて、何があるのかよくわからない。うーん、これじゃあモンスターがいるかどうかわからないよぉー。


「ミユさん、何か明かりになるものとか持ってませんか?」


「……」


「あれ、ミユさん?」


「……はっ! な、なに!? わ、私ここが思ってた以上に怖くてビビってたなんてことないから!」


———

「あからさまにビビってて草」

「ミヒロ、スマホのライトを使うんだ!!!」

「ホチノミユわからせてぇ……」

「俺的にはカズサと一緒に行ってほしかったけど、これはこれで面白そう」

「チビ同士頑張れwwwwwwww」

「ミヒロなら辺り何にも見えなくてもなんとかなるだろ」

「ホチノをわからせろ、ミヒロ」

———


 そっか、スマホのライトを使えばいいんだ! ふふっ、本当に私のリスナーさんはいろんなことを知ってて頼りになるなぁ〜。よしっ、ライトをつけてっと……あ。


「!? あ、あばばばばばばばびびばばばばぼばばばばバカ巨大な蜘蛛が出てきたぁあああああああ!!!」


———

「ライトつけた瞬間めちゃくちゃでかい虫が出てきて草なんよ」

「さすがEXダンジョン、強そうなモンスターはいくらでも湧いてくるな」

「えー、SSSS級の地獄蜘蛛です。普通の人間は太刀打ちできません。普通は」

「俺らのミヒロは普通じゃないからなぁwwwwwwww」

「ミヒロにとってこれは雑魚戦に過ぎないわ」

「ああ、また虐殺が始まるぞ!!!」

「伝説を見せてくれ、ミヒロ」

「ホチノミユ、その目に焼き付けておけ。ホンモノってやつをな!」

———


「おっきいスパイダーだぁ! うわー、すっごい可愛いなぁ〜ペットにしたい!!!」


「あ、あんたなにを言ってるの!? あ、あれを!? は、配信上の冗談だとしても笑えないって!」


「冗談? 私は本気ですけど……ミユさんはあの子可愛く見えないんですか?」


「え? わ、私がおかしいの? え? そ、そんなわけないでしょ、り、リスナーたちだって……」


———

「めちゃくちゃ可愛いぞ」

「あれを可愛く見えないやつは目が腐ってるよなぁ!?」

「ホチノミユが何故人気が出ないのかよくわかるなwwwwwwwww」

「ホチノ、あいつを可愛がれ。そうすればお前はミヒロを越えられる」

「やってみろよクソ雑魚底辺配信者のホチノさんwwwwwwwww」

「おいメスガキ、年下のミヒロに負けんのか?」

「ミヒロならなぁ……」

———


 ほら、リスナーさんたちも可愛いって言ってくれてる! そうだよね、ホチノさんがちょっと変わってるだけで、これぐらい普通だよね!


「い、イカれてる……で、でも私があいつを倒して可愛がれば配信人気が上がる……ふぅ、よし。やるのミユ、これはチャンスなんだから!」


「ミユさん!?」


 ミユさん、背負ってたカバンから剣を取り出してスパイダーちゃんに襲い掛かっちゃった。でも、ミユさん神獣商会の人らしいしこれぐらいなら楽勝……


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああやっぱ無理いいいいいい!!!」


 だと思ったんだけど、ミユさんもしかしたら田中さんやカズサさんより弱いかもしれない。剣の振り方、明らかに初心者って動きだったし、スパイダーちゃんにあっけなく反撃されちゃった。

 でも逃げ足はすごい早い。多分私もあんな早く逃げられないや。


「ミユさん、下がっててください。来て、ですとろいやーちゃん!!!」


———

「ですとろいやーちゃんきたあああああああああああああああああああああああ!!!」

「地獄蜘蛛、南無」

「えー、勝利確定演出です。金保留より固いです」

「見ろよホチノミユの顔、めちゃくちゃおもろい間抜け面してるぜwwwwwwww」

「さぁ、ミヒロの虐殺が始まります」

「こいつ多分今回蜘蛛ペットにするんじゃね?」

「磯部ミヒロ最強!磯部ミヒロ最強!磯部ミヒロ最強!磯部ミヒロ最強!磯部ミヒロ最強!磯部ミヒロ最強!」

———


「ですとろいやーちゃん、あの子ペットにしたいからちょっと弱めで倒そっか。よし、いっくよー!!!」


「きしゃー……ぎゃっ!?」


「え、あ、あの蜘蛛を一撃で……!?」


 よし、殺さない程度で倒せた! これでポケ●ンみたいに仲間にできるかな? 

 あ、捕まえる道具がないや……いや、きっと仲良く戦った時に芽生えた友情で仲良くなれるよね!


「スパイダーちゃん、私とお友達になってくれる? あ、君はなってくれるんだ! 嬉しいなぁ〜」


———

「ビビり散らかして断れないのが見え見えだwwwwww」

「恐怖政治とはこのことか……」

「ミヒロの笑顔可愛くて怖くて最高だ!!!」

「ホチノドン引きしてて草」

「みたかホチノ、ミヒロはお前と格が違うんだ」

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおあおおおおお!」

「磯部ミヒロ最強磯部ミヒロ最強磯部ミヒロ最強磯部ミヒロ最強磯部ミヒロ最強磯部ミヒロ最強」

「こりゃミヒロだけならどんなEXダンジョンでもクリアできるわ。今回は他の奴らも活躍しないとだけど」

「スパイダーが仲間になりたそうな目をさせられているwwwwwwwww」

「みんなは友達を作る時は暴力で強要しちゃダメだよ!」

———


「もう、リスナーさんたち酷いです! 私たちはかたーいかたーい絆で結ばれたんですからね! あ、ミユさん。スパイダーちゃんと遊びます?」


「嫌に決まってんでしょあんたおかしい!!! どういう思考回路してるのよ!?」


「え? 普通ですよこれぐらい。あ、もしかして照れてます? もう、そんな照れなくてもいいのに〜。スパイダーちゃん、ミユさんと遊んであげて!」


「え、ちょ、まっ……い、いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


———

「メスガキわからされてて草」

「こりゃ楽しみだわこの二人の関係」

「ミヒロに下手に絡むからこうなるやwwwwwwwww」

「これミヒロとコラボしたい人減るだろwwwwwwwwww」

「何気ミヒロをある程度制御してたあの二人ってすげーんだなwwwwww」

「あと何回わからせられるのか楽しみ」

「ミヒロ、俺もわからせてくれ……」

———

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る