第27話:配信にメスガキが乱入してきました♪

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【蟲穴の地底要塞】

そこは、天翔る楼閣とは正反対の地下にあるダンジョン。そこには無数の宝や上質な素材が眠っているとされているが、それらを手にしようとした人間は無情にもそこに巣食う蟲たちの餌食になることは珍しくない。


また、このダンジョンはある特殊な仕掛けがある。それがさらにこのEXダンジョンが難所と呼ばれるが所以となっている。故にこのダンジョンもまた、誰もクリアしたことがない。

 最下層に眠っていると噂されている素材を追い求めてテクノロジアが地下50階層まで開拓することはできたものの……そこから先は全く進めていないのが現状である。


 だが、それも今日で終わり。なぜなら、あの天翔る楼閣を余裕でクリアした磯部ミヒロがこのダンジョンに挑戦するからだ。

 

 ミヒロ。また私たちに、新たな伝説を見せてくれ。


*本配信で使用する予定の株式会社テクノロジア様の商品はこちら!

https://www.----------------------------------------------------------


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 私たちは今、EXダンジョンの一つ【蟲穴の地底要塞】にやってきてる。ここはテクノロジアが地下50階まではエレベーターを通していて、あっという間にビューンって50階まで来ることができた。

 ちなみに天音さんも一緒にきてるの、なんだか遠足みたいでウキウキするな!


 配信前、田中さんも一生懸命概要欄を作ってくれてるし、カズサさんはガチガチになりながらも個人配信で先にリスナーさんたちとお喋りしてる。モモさんは……あ、寝てる。本当に寝るのが好きなんだなぁ。


「概要欄こんなもんでいっか。どうスカ天音さん?」


「いいですよ。この前も田中さんが書かれていたんですか?」


「いやーそれほどでもあるかな〜!!!」


「調子に乗りやすくて楽ですね。さて、ではミヒロさん以外に着てもらうパワースーツです。どうぞ」


「い、意外とスタイリッシュだ……しかも軽い。でもこれ本当に大丈夫なの?」


「多分大丈夫です」


「多分じゃ困るんだけど!? ま、まぁいざとなったらミヒロちゃんに助けてもらえるからいっか」


「カズサさん、ご存知ないのですか? このダンジョン、50階からはそこの三穴から2人ずつしか進めないんですよ」


「……はい?」


———

「やっぱり知らなかったかwwwwwww」

「【蟲穴の地底要塞】は50階から2人組の三チームで挑まないといけないんだよ。しかも誰か1人やられたら即50階に戻される」

「カーチャン絶望してて草」

「これミヒロと一緒なのが一番安パイやん」

「でも5人しかいないけど。あ、ミヒロは1人で行くのか」

「さっさと頑張れカーチャン!」

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「リスナーたちやけに詳しいな……。そ、そしたらこのパワースーツが機能しなかったら私ら終わりじゃん! み、ミヒロちゃん私と一緒に行こう!」


「おいおいカズサ、田中×ミヒロが至高だってリスナーも言ってるし私がミヒロちゃんと一緒に行くべきでしょ」


「誰もそんなこと言ってないだろ!!!」


「じゃあ間をとって私がミヒロちゃんと一緒に行く〜」


「なんでだよ! と、とにかく私は絶対ミヒロちゃんと一緒に行くから!」

「いや私だって!」

「え〜、私だよ〜」


 みなさん私と一緒に行くかどうかで言い争ってる……こ、これって……。


 わ、私、モテ期が来たってこと!? う、うへへ……可愛い人たちが私を取り合ってる光景を見ると、自己肯定感がすごいぶち上がるよぉ〜。


 で、でもダメですよ〜わ、私を取り合うなんて〜うっへへへへへへへへへ。


「ではいっそミヒロさんに選んでもらうのはどうでしょう。ミヒロさん的にも、一緒に行きたい人といったほうが楽しいでしょうし」


「え?!」


「そ、それもそうか……そうだね、ミヒロちゃんに選んでもらおう。選ばれなかったら仕方ないか」


「ミヒロちゃん、もちろんこの田中を選んでくれるよね? 誰のおかげで今配信活動できてるのかな???」


「ミヒロちゃん〜前回一緒に行けなかったから今度は一緒に行こうよ〜」


「ちなみに私と一緒に行ってくれてもいいんですよ(メガネくいっ)」


 た、大変なことになっちゃった……。


 カズサさんは遠慮がちだけど、やっぱり選んで欲しそうにしてるし。

 

 田中さんはニコニコ笑いながら恩着せがましいこと言ってるし……。


 モモさんはギュって私の手を握りながら訴えかける目で私を誘ってくれるし……。


 天音さんもドヤ顔で「実は私こと選んでくれるはず」って言いたげな表情をしてるし……。


 も、もう、私は誰を選べばいいの!?


「よし、この場面は配信に載せよう。ミヒロちゃん、配信始めて!」


「え、ええ!? え、えっと……み、みなさんこんミロ〜。たまこし学園の清楚担当、磯部ミヒロです! 今私、EXダンジョンの【蟲穴の地底要塞】にきてるんですけど……実は今、一緒に行く人を選ぶことになってて」


———

「カズサの配信からきました」

「みーちゃんモテモテで草」

「俺を選べミヒロ!!!」

「てかまたEXダンジョンきてて笑う。しかもテクノのやつもいるしw」

「俺はカズサと一緒に行って欲しい」

「はっ? モモと一緒に行けよ。俺らそいつのことなんも知らねーし」

「テクノの天音と一緒に行くのもあり。なぜならエロいから」

「なおここまで田中の名前は出ていない模様」

「ミヒロ、俺を選べば全て解決するぞ」

———


「うう……わ、私は誰を選べばいいの! 私だって皆さんと一緒に行きたいのに……!!!」


「なら私を連れて行ってちょうだい!」


「え!? だ、だれ?!」


 いきなり、知らない人の声が聞こえてきた。一体誰なんだろうと声の聞こえてきた方を見てみると、そこには私より身長が低くて、とっても可愛らしい女の子がいた。


 あ、あれ……迷子なのかな? 


「迷子? お母さんはどこにいるのかな?」


「あ、あんた……わ、私はこれでも19歳だってのおおおおおおおおおおおおおおおお!」


「ええ!?」


 わ、私より年上!? し、しまった、すごく失礼なことを言っちゃった。で、でも本当に年下にしか見えないよ……。


「いい、覚えておきなさい。私はあの神獣商会お抱えの配信者であり、超絶可愛い天使ちゃんこと「ホチノミユ」よ!!!」


「……だれ? 田中、知ってる?」


「知らん。てか神獣商会に配信者いたんだ」


「うわ〜小物くさ〜い」


「ぷぷっ」


「な、なに笑ってんの天音!!! くそっ、あんたはリアルでも掲示板でも私のことをばかにしてきて……も、もう! ならあんたら全員、見返してやるんだから!!! こうしてやる!!!」


「え!? み、ミユさんいきなり私の手を……ええ!?」


 いきなりミユさんはスマホを持っていない方の私の手を掴んで、半ば強引に私と一緒に右端の穴まで入ってしまった。確かこれ、2人までしか入れないって言ってたから……私、ミユさんと一緒に進むことになっちゃった!


———

「配信乱入者だ!!!」

「配信乱入女きたああああああああああああああああ!」

「まさかの伏兵がミヒロを連れて行ってしまった」

「草」

「えー、面白くなってきました」

「残された奴らどうするんだwwwwwwwww」

「予言しよう。ホチノはミヒロにわからせられる」

「メスガキわからせ期待」

「うほっ、このダンジョンに待ち受けている試練を思えばきっとこの先濃厚な百合が咲き誇りますなあwwwwwwwwwwww」

「ミヒロ、選んだのか。俺以外のやつを……」

「新たな磯部ミヒロ伝説が刻まれます」

「みっさんに置いてかれてカズサたち呆然としてて草なんよwwwwwwwww」

「まぁ、ミヒロなら大丈夫だろ」

「ミヒロハーレムにまた1人加わりますと……」

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